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読書ノート「個人的なことは社会的なこと」貴戸理恵著

 

 このタイトルと帯に惹かれて買った本。もともとはフェミニズム運動で用いられた言葉だそう。「その生きづらさの理由はあなたの中にではなく社会の中にあるのかもしれない。」
 個人的に感じる社会の理不尽や差別は実はいつもは自分が関係ないと思っているような社会問題と地続きなんだということ、自分の責任じゃなくて社会的な構造の問題が大きいんじゃないかってのをなんとなく感じ始めていたんだけど、まだ腑に落ちていない感じだったので読んでみた。

 新聞の連載をまとめているので、数年間の間にいろんな話題が出てくるんだけど、自分としては教育問題にあまり縁がなくて実感が持てないなあって感じた。「いじめ」「フリースクール」「子育て」「不登校」あたり。そのへんが自分の持つ問題意識「ジェンダー」とどうつながってくるのか。

 なんとなく思うのは、すべての人を同じシステムにおさめて均質化して効率よく進めていこうとするのは無理があるって言うこと。
 学校も職場も地域も。人種や性別、年齢、性格、それぞれが違うから同じシステムでスピードで生きていくっていうのはムリ。どこで勉強してもいいし何で輝いてもいいし、がんばらなくても生きているだけでよいということ。

 著者の貴戸さんは「自分の足元から考える」ことの重要性を書いている。
 たとえば「いじめ」に関わるのは加害者と被害者と傍観者。傍観者が加害者に加担してしまっているかもしれない。そしたらどこかで起きている問題は無関係とは言っていられなくなる。

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