SAPでコミュニティをはじめてみた話

※この記事は、SAP Advent Calendar 2019 の12/25分の記事として執筆しております。

https://adventar.org/calendars/3908

SAPアドベントカレンダーは、今年が2回目ということで、昨年から新しいメンバーに参加いただけたり、2年連続で参加いただいた方にはより深掘りした記事を投稿いただくなど、忙しい12月ではありますが、毎日新しい記事が開くのを心待にしていらっしゃった方も多かったのではないでしょうか。

コミュニティ活動を始めてみようと思ったのは、普段懇意にさせていたいだいてるSORACOMさんやCMC小島英揮さんの活動を横目にみて、クラウド界隈は楽しそうだなぁ、よし、SAPでもなんとかやってみようという勝手な意気込みからはじまりました。オフラインではSAP TechJAMというイベント、オンラインではソーシャルメディアを活用して相互の行き来を行い、気がつけば5年の月日が経っていました。コミュニティも有志グループchillSAPが様々なとイベントを企画してくれるようになりました。

きっかけ

そもそものきかっけは、SAP HANAの技術情報が日本で検索した時に全く見つからないという問題意識でした。SAP HANAは2010年12月にリリースしたインメモリデータベースですが、進化が激しく、主要な技術情報は全て英語ドイツ語でした。私も製品担当者としてサービスパックの最新版が出るたびに新機能ブログをかいていたりしましたが、限界があります。SAPのエコシステムのみなさんが情報共有できるようになればよいのではないかという問題意識でした。

最初のオフラインイベントは、SAP TechJAM 2015でした。もともとSAP HANA祭りという企画ではじまったのですが、今振り返ってみると、TechJAMという名前にしたのは正解でした。技術者が「集まって」なんかやろうというイベントです。こういうのは、マーケティング部門の方にアイデアをいただくのがキャッチーでよいです。SAPというと、ビジネス色が強いイベントが多いため、過去日本でも開催していたTechEdの終了以降は目立ったテクニカルイベントはありませんでした。300人も集まるか不安な中、ベルサール神田を会場に実施しました。当日は会場のキャパシティの限界を感じるほど多数の方にお集まりいただき、SAPジャパンのイベントでは初めての試みとなるであったであろう、Lightning Talk大会を開催しました。持ち時間5分程度で、好きなテーマでお話をいただくというものです。SAP HANAのデータ型の話からいろいろとコアなトピックが展開されました。

過去5回のイベントはそれぞれ思い出深いのですが、思い出にふけると書き終わらなそうなので、少し時計の針を進めます。

ファーストピン

コミュニティマーケティング理論では、ファーストピンは指名してはいけないのですが、実は指名してしまいました。

TechJAMも回数を重ねてSAP TechJAM 2018では、基調講演でABEJA岡田CEOとSORACOM玉川CEOのお二人に登壇いただき、次世代エンジニアの学ぶべきスキルとはというテーマでパネルディスカッションをさせていただき、マシンラーニングおよびIoTそれぞれの観点からのSAPエンジニアに向けてメッセージを発信いただきました。

その際に、SAPのすみっこというブログを書いている すみっこさん @mahko2 とお会いする機会がありました。SAP界隈でいわゆる「やってみた」ブログといった、クラウド界隈でみかけるテイストのブログを書いてる非常に珍しい方だと思って、注目しており、社内のメンバーにもことあるたびに紹介していました。

ファーストピンは彼だろうと思い、SAPからのTECHED招待プログラムでラスベガスのTECHEDに招待しました。

参加したご本人も得るものがあったようで、詳細は御自身のブログにてご確認ください。

コアメンバーとの出会い

3というのはマジックナンバーです。

ひとりが新しいことをはじめても、あいつなんやってんだろう程度で気にもとめてくれない場合がありますが、ファーストピンにフォロワーがついたらどうでしょうか。

実はこれもコミュニティマーケティングの教えでは禁じ手のなのかもしれませんが、セカンド・ピン、サードピンも指名してしまいました。

SAP TECHEDのJAPANナイトで、以前からパートナーイネーブルメントなかでも、SAP Cloud PlatformやSAP Leonardo といった最新技術のイベントに貪欲に参加されている中でも特に目が止まった方たちがいました。

みのさん @minok104 は、募集数の少ないLeonardoのトレーニングに積極的に参加を熱望されたり、デザイン思考に興味を持ったり、SAPの目指している新しい人材像に近い方だと思い非常にパッションを感じました。

@tiga102 さんと名刺交換させていただいたのはかなり前なのですが、実直なイメージでSAPのエンジニアに多いタイプを感じるとともに、積極的にSAPの最新技術をキャッチアップされていて、口数は多くないものの内なる情熱をかんじました。先の二人がわりと行動重視型なので、ブレーキ役というか、一歩立ち止まって考えてくれる慎重そうな方です。

すみっこさん、みのさん、@tiga102 さんでコミュニティよろしくね!と、無茶振りをしました。

その後の、コミュニティ活動は、すみっこさんが12/24のエントリーで紹介しているのでそちらに任せます。

私なりのイベントプランとオフラインオンラインの垣根を超えた流れ

1年間を明確にイベントを決めてスケジュールしていました。以下の3つが主軸となるイベントとして明確に位置付けており、ほかのイベントはそれを補足するためのサブイベントと定義しています。モメンタムといって、常にSAPとの繋がりを感じてもらえるように、常に頭の中にSAPが存在している状態を作り出すようイベントや企画を波打つように実施していくことが重要です。

SAP TECHED みんなが集まる一番大きな技術イベント
Inside Track Tokyo 日本国内でみんなが集まる有志勉強会
TechJAM  SAPジャパン主催の一番大きな技術イベント

SAP TECHEDはある種の憧れイベントと位置づけ、行けばこんなに知的好奇心が満足させられるイベントなので、みんなも参加してもらいたいと思って特別な位置付けをしていました。ラスベガスではキーノートから始まり、まるまる1週間SAPのトレーニングをたっぷり受講することができました。SAPの最新の技術戦略の方向性や、実際にハンズオンを通じて体験もできます。そして、プロダクトマネジメントや開発マネージャといった、製品を開発している本人達と触れ合い、意思疎通することで製品の背後にある思想を感じ取ることができます。例年開催してきたJAPANナイト(2015-2018)では、参加したエンジニア同士での所属組織のを超えた横のつながりが生まれる場所でもあります。

Inside Track Tokyoは、SAP TECHEDの日本でのフィードバックイベントとして、SAPテクノロジーアンバサダーの関原正之さんと関口やすこさんと私が中心となり、5回ほど実施してきました。2019年はコミュニティメンバーへ主催をバトンタッチしました。SAP TECHEDの情報をフィードバックすることが会の目的ではありますが、「自分も実際にTECHEDに参加したい」と参加者に思わせる送客イベントであるというのが大きな目的のひとつでもありました。

TechJAM

SAPのプラットフォーム技術のイベントですが、5回ほどすべて私が企画を担当しており、完全にワンマンステージとして自由に好きなことをやらせていただきました。

未来のSAP技術の方向性を紹介し、それに繋がり学びを得られるイベントを意識していました。

クラウド、マシンラーニング、IoTで、SAPと関係のあるABEJA、NVIDIA、PIVOTAL、SORACOM(アルファベット順)といったパートナー企業の方々をお招きした基調講演やセッション、LT大会で今後SAPが進んでいくべき方向で学んで準備して置かなければいおけないことを聴衆の皆さんにはお届けできたのではないかと思っています。

特に、2019年のTechJAMでは、SAP DemoJAMと題して、SDGsをテーマに、SAPの社会実装をテーマとしたハッカソンを実施しました。最新技術はどんどん生まれて来ますが、社会にどのように実装してビジネスに役立てていくかを考えないと、で何が出来るの?で終わってしまいます。

これはまたの機会にお話ししたいと思います。

コミュニティで出来た繋がりを共通の目標をもってかたちになるものを作り、確固たるものにしていく舞台装置としての側面を持たせました。

この3つの大きなイベントそれぞれを1年間に回していくことで、大きな流れを作り出し、それがどんどん昇華していくようになったと思っています。

アウトプットファースト

インプットしただけだと勉強にした気になって終わりです。人は得た知識をアウトプットしてみることによって再整理し、自分の中で再定着化することができます。

イベント用twitterハッシュタグを必ず定義し、セッション中のツイート推奨を促しました。だれもが気軽にSAPのことを聞ける #教えてSAP にはほぼ毎日、何かしら話題が提供されています。twitterはやはり、情報の速報性は高いのですが、蓄積性は薄いのが特徴です。そのため、蓄積性の高い技術ブログも重要です。 

イベントに参加する前から参加者同士の交流が生まれ、当日会った後でもそのネットワーキングの場はオンラインへ引き継がれます。参加ブログが挙がることで当日参加できなかった方も学びを得ることができ次回参加へのモチベーションへ繋がります。

ブログ自体がイベントの記録媒体としての役割を持ちます。

人間きっかけがないと、なかなかアクションにつながりません。

2018年度から、ブログ投稿を促すために、SAPアドベントカレンダーをはじめました。今年も2年目となり、合計50本の記事が公開されました。冬休みの息抜きに、目を通していただき、SAPの技術をつかってこんなこともできるのだとしっていただくよいけきっかけになればと願っています。執筆していただいたみなさんありがとうございました。

コミュニティのKPI

毎回チェックしていたのは以下です。

・イベント毎の新規参加者数(2割が健全)
・ツイート数
・グループ登録者の伸び率

コミュニティは即座に営業成績に直結する活動ではありません。長い時間かけて醸成されていくものです。


ディベロッパーアドボケイトとしての私のスタンス

基本的には、コミュニティ運営メンバーの自主性にお任せし、会場やケータリングのサポート、集客やSAPがオフィシャルにサポートしている活動であることをしめし、ただ三人が勝手に踊っているのではないことを裏付けることをしていました。その間に、もくもく会等いろいろなイベントを企画運営いだけました。

トラブルは幸いありませんでしたが、既存のSAPユーザー会であるJSUGとの棲み分けは?といった質問がくることもありました。ユーザー会はユーザーであることが条件ですし、パートナーの場合サポーター費用を払う必要があります。コミュニティには参加条件は特になく、ユーザー会への送出機能も持つものなので、対立するものではなく共存するものだと考えています。

最初は、伴走が大事です。ある一定規模になるまでは、SAPがオフィシャルに介入していることで、参加者の方がイベントへ参加する(所属組織に説明する)理由にもなり得ます。

chillSAPは、伴走期を終えて、自走フェーズに入りました。

今後

chillSAPメンバーは30代が中心なので、すでに20代のメンバーを中心として chillSAPNextGen をこちらもまた、私が指名してしまったのですが、活動準備をはじめています。また、卒業生も気軽に参加できるように、chillSAPAlumniも活動を開始する予定です。

コミュニティ活動はどなたが運営していただいてもよく、様々な関心軸で新しいグループが誕生していただいて行くことを望んでいます。

そしてコミュニティ同士が緩やかに連携しさらに大きなコミュニティに成長していくことを願っています。

私はSAPのコミュニティ運営、ディベロッパーアドヴォケイトとしてのロールを本日をもって卒業します。

みなさん様々なイベントへのご参加ありがとうございました。

25のアドベントカレンダーの記事お楽しみいただけましたでしょうか。

Happy Holiday!!

SAPディベロッパーアドヴォケイト 松舘 学








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