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WEBTOONのツカミとヒキの作り方【#WEBTOONのいろは】

この記事では、大人気のロマンスファンタジー『キズモノ令嬢は契約夫に愛される』を例として、WEBTOONならではの「ツカミ」と「ヒキ」の3つのポイントについてご紹介します。


1. 作品のコンセプトは第1話で伝えよう

WEBTOONは、スマートフォンでの閲覧に最適化された表現で、スキマ時間でも気軽に読めるように作られている漫画です。
日々、たくさんの新しいWEBTOON作品が生まれる中、しっかりと読者の興味を惹くことができないと、無料で公開されている作品であっても、途中で離脱されてしまうことが珍しくありません。

そのため、「〇話まで読めば面白くなる」や「〇話からストーリーの本題が始まる」といった構成ではなく、最初の1話で作品の面白さやコンセプトを伝えられる導入(ツカミ)がより重要になります。

まずは企画時に作品のログライン(※ストーリーを1行程度で簡潔に記したもの)を作り、それを意識しながら、第1話で表現できているかを繰り返し確認すると良いでしょう。
下記は『キズモノ令嬢は契約夫に愛される』のログラインです。

捨てられた傷ありの不幸妻と、その妻に契約結婚を持ちかけた『氷血の侯爵』と呼ばれる男の恋物語。

では実際に、『キズモノ令嬢は契約夫に愛される』の第1話を見てみましょう。第1話の冒頭は、物語の少し先で展開される、主人公(ヒロイン)とヒーローが契約結婚した後のシーンから始まります。

身体に傷のあるヒロインに詰め寄る、横暴な元夫。しかしその窮地を現在の夫であるヒーローが救います。ヒーローは表情こそ冷ややかですが、ただの契約結婚とは思えない親密な雰囲気ですね。

このように、物語が進んでからのワクワクする展開やクライマックスの一部、あるいは作品のダイジェスト的な内容を作品の冒頭で伝えているパートは「アバンタイトル(アバン)」と呼ばれるものです。
かつては、映画やアニメなどの映像作品において多用される手法でしたが、最近のWEBTOONの冒頭ではこのアバンを上手く活用している作品が多く、「この作品は誰が何をする話なのか」、つまり作品のコンセプトが端的に伝わるように構成されています。

2. 各話の見せ場を意識して作ろう

WEBTOONは1話単位で作品が販売される仕組みになっています。そのため、各話ごとに読者が「今回も面白かった!」「読んで良かった!」と思える見せ場が必要です。原作者と作画者が異なる分業作品の場合は、原作シナリオの制作段階から各回の見せ場を意識して作る必要があります。

『キズモノ令嬢は契約夫に愛される』の第1話では、ヒロインの父親が再婚した事から悲劇が始まります。

義母にドレスを切り刻まれてしまうヒロイン。
その直後のシーンでは……

義姉に熱湯をかけられ、身体には痛々しい火傷の痕が残ってしまいます。

このようなインパクトのあるシーンがあると読者の印象に残りやすく、1話ごとのストーリー内でメリハリも生まれます。また、作品によってはWEB広告などを展開することもありますが、こういう強いシーンがあると、広告でこの作品を初めて知ったユーザーの興味喚起にもなるため、使われやすい。

3. 次回へのヒキを意識しよう

次回を読ませるための仕掛けとして、各話の最後のコマやシーンで表現される「ヒキ」は、あらゆる続き物……見開きの連載漫画や連続ドラマなどでも重要な要素です。
WEBTOONも同様で、comicoをはじめとする多くのプラットフォームでは毎週1話ずつ更新されるシステムなので、翌週に忘れず読みに来てもらうためのヒキはとても大事です。

それでは再び『キズモノ令嬢は契約夫に愛される』に戻り、第1話の最後のシーンを見てみましょう。

全てを失ったヒロインが、祖母の遺した屋敷で一人生きていく決意をする。しかし突然、背後で大きな物音が――。

というラストで第1話が終わっています。一体何が起きたのか、思わず続きを確認したくなりますよね。続く第2話では、義母と義姉が屋敷に押し入ってくる展開から始まり、ヒロインは祖母の屋敷まで奪われてしまうという更なる苦難に直面します。

まとめ

今回のポイントのおさらいです。

  1. 作品のコンセプトは第1話で伝えよう

  2. 各話の見せ場を意識して作ろう

  3. 次回へのヒキを意識しよう

ストーリーを考える時は、この3点を意識しましょう!

『キズモノ令嬢は契約夫に愛される』には、記事内で紹介したシーン以外にもヒキの参考になる話がたくさんあるので、ぜひ読んでみてくださいね。

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