見出し画像

『公爵夫人レディ・サファイアの秘密』線画担当・フェイさんインタビュー

今回の作家インタビューは、現在連載中の『公爵夫人レディ・サファイアの秘密』の線画担当・フェイさんにお話を伺いました!

comico編集部noteの作家インタビュー企画では、初の線画担当作家さんインタビューとなります。
ロマンスファンタジーならではの制作の裏側や、作画のコツを教えてもらいました。

フェイさんインタビュー

『公爵夫人レディ・サファイアの秘密』
原作:西根羽南 構成:飴屋ハルユキ 線画:フェイ

STORY
「この子の母親として、あなたを俺の妻に迎えたい」

ある日、記憶喪失の男の子デヴィットを保護したサファイア。本当の家族ではないけれど仲睦まじく暮らしていた二人の元に、警察長官を務めるクリスト・ガルブレイス公爵が現れる。デヴィットの父親だと名乗るクリストは、サファイアと離れたくないと言うデヴィットの様子を見てサファイアに結婚を申し込んでくる。
しかしサファイアには誰にも言えない秘密があってーー。

秘密がバレたら離婚どころか即処刑!? このちぐはぐ家族、どうなってしまうのか?

――自己紹介をお願いします!

フェイさん

フェイ こんにちは! フェイと申します。
comicoで『転生した世界、私以外全員2周目』で漫画家デビューし、『孤高の王は囚われの姫から愛を知る』と『公爵夫人レデイ・サファイアの秘密』では線画を担当しています。 よろしくお願いいたします。


――comicoで描くことになったきっかけは?

フェイ 専門学校生の時、先生からcomicoの漫画賞「学生選手権2019」のチラシをいただいて応募したことがきっかけで、最初の担当編集さんと出会えました。その担当さんに「一緒に頑張って連載会議を目指して、異世界テーマの漫画を描きましょう」と言われてできた作品が『転生した世界、私以外全員2周目』です。
その編集さんには本当にいろいろなことを助けてもらったので、次の担当さんに変わった時は泣きそうでした(笑)。

――その2020年のデビュー以降、フェイさんにはずっとcomicoで描いていただいています。作品制作におけるやりがいは何でしょうか?

フェイ 子供の時から漫画が大好きで、漫画を読むたびに得る様々な感情は、今でも私の支えになっています。 なので、読者の方のコメントを見て「自分でも漫画で他人を喜ばせることができた」と思えた時が、一番やりがいを感じます。

――なるほど。ちなみにその「漫画が好き」というところから、ご自身でも漫画を描こうと思ったきっかけはありますか?

フェイ 元々は鳥や猫などのイラストを描くのが好きだったんですけど、『聖闘士星矢』を初めて読んだ時に、かっこいい! 描きたい! と思い、人を描くようになりました。それを母に見せたら褒めてもらえたことがきっかけだと思います。私は出身が中国なんですが、漫画を学ぶために日本の専門学校に留学し、そのまま日本でこうして漫画を描いています。

――いいご縁をいただけて嬉しいです。では次に、1週間の制作スケジュールを教えていただけますか?

フェイ 1話にだいたい5日かけて線画原稿を制作しています。朝8時に起床して夜9時半くらいまで作業しているのですが、集中力が続くよう、学校の授業みたいに45分集中したら休憩をとるように心がけています。
休みの日は家の掃除とか、健康が心配なのでジムにも行きたいと思っています……。

――時間を区切ってやることが効率化になっているんですね!
続いて作画についての話を伺いたいのですが、フェイさんのドレスの作画は毎回豪華でとても素敵です。何か参考にしているものはあるのでしょうか?

フェイ キャラクターの服装は、中世ヨーロッパを舞台にしたドラマや、ファッションショーの映像を見たりしてデザインの着想を得ています。フリルやレース、アクセサリーなどのかわいい装飾素材は、ダウンロードしたらすぐ使いたくてワクワクしますね。

――『公爵夫人レデイ・サファイアの秘密』は、ヒロイン含め登場キャラクター全員がほぼ毎話違う服を着ていますよね。凝っているデザインにすると、その分たくさんのコマで同じように描くのが大変ではないかと思うのですが、工夫していることなどはありますか?

フェイ 最初に原稿を描き始める時に、フリルなどの装飾素材をどう使うか、しっかり決めてから作業に入るようにしています。ちゃんと決めておかないと、後々「やっぱりこのシーンにこのデザインは合わなかったな」という箇所が出てきてしまったり、素材の貼り忘れがあって修正を都度行ったりするので、効率が悪くなってしまうんです。

『公爵夫人レディ・サファイアの秘密』第7話より
装飾素材をふんだんに使用していることで、画面の華やかさが増しています

――背景は3Dの背景素材を使われていますよね。背景の配置で工夫している部分や楽しい部分、逆に難しいところもあれば教えてください。

フェイ  背景に使用する素材もすべて、原稿作業に入る前にあらかじめどれを使うか決めるようにしています。先に決めておくと原稿作業中に手が止まらず、効率よく進めることができます。ネームの要求通りの背景がなかなか見つからない時はちょっと焦りますが、華やかで綺麗な背景素材を配置するのは楽しいです。
難しいのは「2階の窓際にいるヒロインが外の庭にいるヒーローを見下ろす」などの、複雑な位置関係の時ですね。人物をどこに置くかきちんと想定して背景を置かなくてはならないので、とても慎重になりますし苦労します。

――背景の配置と人物の作画、どちらが先なんですか?

フェイ  私は最初に背景を置いてから人物を描きますね。

――ほかに制作で工夫していることはありますか?

フェイ できる限りレイヤーに名前を付けて、分かりやすくフォルダに分けています。あらかじめ整理されたレイヤー構成を素材として登録して、作業開始時に簡単に呼び出せるようにしています。

フェイさんが線画制作時に使用しているレイヤー構成のテンプレート

――1つの作品を複数の作家さんで分担して制作する分業制作では、他の作家さんが作業しやすいように、わかりやすいレイヤー構成にすることが大事なんですね。
ちなみに、制作で悩むことはありますか?

フェイ どうしたらもっと上手くキャラの感情を伝えられるか、いつも悩みますね。 私は「綺麗な絵を描きたい」という気持ちが常にあるのですが、もっといろんな感情を読者に伝えるためには、それだけではいけないなと思って。悪い表情とか。

――いわゆるゲス顔ですね(笑)。

フェイ そうです(笑)。『公爵夫人レデイ・サファイアの秘密』にもアイリーンという悪女キャラが出てきて、綺麗なだけではない、人間らしい感情の乗った表情をします。

『公爵夫人レディ・サファイアの秘密』第8話より
表情の変化でキャラの特徴がより掴みやすくなります

――感情表現に悩んだ時はどう解決されていますか?

フェイ アニメも結構観るんですけど、やっぱり実写のドラマが一番参考になるので観るようにしています。あとは、ネームに表情や感情の指定がしっかり入ってると描きやすいですね。

『公爵夫人レディ・サファイアの秘密』第1話より
線画作家さんにとってはネームでの細やかな指示が重要!

―― 『公爵夫人レディ・サファイアの秘密』のお気に入りのシーンを教えてください!

フェイ サファイアがデヴィットを救った時のシーンです。この出会いがすべての始まりとなり、運命が動いた感じですごくゾクゾクしました!

『公爵夫人レディ・サファイアの秘密』第1話より

――次に、作業環境について教えてください。

フェイさんの作業机

パソコン:Surface Studio 2
ペンタブ:Wacom Intuos pro M PTH-651
液タブ:Wacom Cintiq Pro 32 DTH-3220
線画に使用するペン設定:Gペン(デフォルトのもの)

フェイ 人物の作画は液タブで行っています。ただ、ずっと液タブを見ていると首に悪いので、背景とか素材はペンタブで配置しています。キーボードはショートカットキーを押すために利用していて、作業時は左手をずっとキーボードに置いています。

――大きい液タブですね!

フェイ サイズを間違えて買ってしまったんです。なんだか値段が高いなとは思ったんですけど……。

――(笑)。ペン設定はデフォルトのものなんですね。何を描くかによって使い分けることはないんですか?

フェイ 全部Gペンで描いてます。髪を描くときに少し細めのサイズにしているくらいです。

――そんなフェイさんの、おすすめのcomico作品はありますか?

フェイ 好きな作品はたくさんありますが、『死神さんは余命半年』はすごくおすすめです! ヒロインの生き様に魅了される作品だと思います。

他にも、『彼と彼女の魔法契約』は、世界観や色の統一感がすごく好きです。


―― 最後に、作品の宣伝とファンに一言どうぞ!

フェイ 『公爵夫人レデイ・サファイアの秘密』のヒロインは、命に関わる秘密を抱いていながら、一生懸命に子供を愛しヒーローに寄り添う、すごく健気な人です。あたたかい作品ですので皆さんも是非ご覧ください!
作品を読んでいただいている読者さんに本当に感謝しています。これからも頑張って描きます!

『公爵夫人レディ・サファイアの秘密』はcomicoで好評配信中!

フェイさん、ありがとうございました!
『公爵夫人レディ・サファイアの秘密』皆さん是非ご覧ください!

『公爵夫人レディ・サファイアの秘密』©フェイ・飴屋ハルユキ・西根羽南/comico