産業医の価値

こんにちは。コンフィスト産業医事務所です。

皆さんは、産業医の価値って何だと思いますか?

そもそも、産業医って事業主寄りなのでしょうか?従業員寄りなのでしょうか?

そのあたりの、核心に迫る答えにくい部分について、書いていきたいと思います。


産業医の価値

産業医の価値は、働く人の健康を守り、病気や怪我を未然に防ぐ事。

これはまず、間違いありません。

誰しも怪我や病気は、可能なら避けたいものです。マイナスでしかありません。そのようなマイナス面を受けずにすむなら、相対的にプラスの効果があると言えますよね。

産業医が与えるプラスの効果は、そこにあります。

この程度のことは、教科書的に当たり前に書かれていますが、もう1つ、大きな役割があると思います。それは

社員が健康だと、経営的にも嬉しい

という事です。

社員が健康に働いてくれるからこそ、会社が利益を上げる事ができます。

社員の健康は、ひいては会社のためにもなる、というわけです。

ここをトータルで考えられる産業医こそが、提供できる価値が多い、価値のある産業医だと思います。

具体的にはどういう事か?

例えば、倉庫業の産業医をしたとしましょう。夏は暑く、冬は寒いので、温度管理は作業環境管理における重要なポイントです。

ここで

温度管理のために、エアコンを20台つけてください

と、簡単に言ってしまう産業医は、失格だと思います。

なぜならば、経営サイドの立場、コスト管理の立場に立てていないからです。エアコンは高いですよね。数台ならまだしも、20台はかなり難易度が高い。

ましてや倉庫という膨大な空間を冷やしたり温めたりするのは、電気代もかかってしまいます。

コストに対する意識をしっかりもって、経営サイドの気持ちも理解しつつ、コストと効果の妥協点を一緒に模索していくのも、産業医の価値だと言えます。

電気配線はどこにあるのか?エアコンはそもそも設置可能か?
かけられるコストはどれくらいか?
エアコン20台は無理でも、業務用の強力な扇風機の設置は可能そうか?
冷蔵庫と簡単な休憩所の設置、およびそこに扇風機を固めて、夏場の暑さだけでも一時凌ぎできる場所を設けられないか?

など、コストとパフォーマンスの妥協点を、衛生管理者及び経営サイドと模索していく。そんな産業医にこそ、価値があると考えています。


産業医は会社の見方?

一体、なぜそんなに会社のことを考えなくてはならないのか?産業医は従業員の見方ではないのか?

そう思われる方も、いらっしゃるかもしれません。

結論から言えば、産業医は従業員と会社の見方です。

そもそも、会社と従業員は敵対関係ではありません。従業員がいるから会社があって、会社が儲かっているから従業員に給料を出せる。いわば一心同体の、仲間です。

産業医は従業員の健康をなるべく高いレベルに維持するという意味もありますが、そこを通じて会社全体に利益をもたらす存在でなければなりません。

いくら会社が健康でも、その健康維持に会社ばかりがコストを多大にかけていれば、会社の経営に悪影響を及ぼし、言ってしまえば「会社の健康が保たれない」わけですね。

社員の健康を維持し、会社にも利益をもたらしつつ、そのコストをある程度見極めて、必要性とパフォーマンスから、会社側にトータルで見て利益をもたらす水準の提案を、会社側に行う。

こうする事で、好循環を回すのが産業医のもう1つの役割だと思っております。

社員が健康、たくさん働く。会社が儲かる。会社も健康になる。余ったお金で、経営が傾かない程度に、社員の健康面をさらに支えるべく効率的な方法を、産業医とともに考え実行していき、さらに社員が健康になる。会社も健康さらに健康になる。

産業医の価値は、ここをバランスよく回すための、バランス機能付きの、サブモーターのような存在である事じゃないでしょうか。