じゃあ夏バトルしようぜ!夏バトル!!

 楽しさのお裾分けをされた者として、精一杯の感想を綴らせていただきます。

ち の 「夏バトル」

 (多少の内容変更があったとはいえ、)一度聴いたプレイリストを再度聴かせていただくことになったこのラインナップ。ヒップホップを軸とした曲目は全体として気の抜けた洒脱な雰囲気を纏っていますが、一貫してある種の緊張感を漂わせています。この一筋縄ではいかない攻撃性はちょい待ちという人間の一側面を表しているような気がしてなりません。
 冒頭2曲、かせきさいだぁとクチロロによって、これでもかという程ジリジリとした夏の粘り気が身体に絡み付きます。3曲目のくるり「ソングライン」のカオスで目まぐるしい楽曲構成は聴く人の正気をいとも簡単に奪ってしまいます。個人的な解釈ですが、暑さ(夏)とは狂気であると考えます。以上ここまで、丁寧に聴者を狂わせることに機能した3曲という印象を受けました。
 一転して4曲目「BREEEEZE GIRL」は私も大好きな曲です。初めて聴いたのは中学生か高校生か、忘れましたが、夏はこれを聴かずして終われません。この異常な爽やかさは本リストの中でも異彩を放っています。
 BREEEEZE GIRLの爽やかさを引き継ぐような形で「Summertime」「Breeze」「Pretenders」が続きます。この3曲で、涼しさの中に徐々に熱を帯びてくるのを感じます。これも私の夏に対する解釈ですが、夏は夜になるにつれて情熱的になってくる(なって欲しい)と考えます。特にその熱が最高潮に達するPretendersは、C.O.S.A.の情熱的なフロウにSTUTSのビートとYo-Seaの流麗なボーカルがバランスを取っている、正に私が上述したような状態が完全に立ち上がってきています。とても格好いいです。
 プレイリストは後半に差し掛かります。ザ・おめでたズ「Summer Wave」で若干のクールダウンが行われます。どこまで意図したものかは図りかねますが、ここでこの一曲を挟むことの凄みを感じてください。次曲「長く短い祭」というスーパーアンセムに向けての落ちサビみたいなものです。後に控えるクライマックスまでの曲目を最大限聴かせるため、非常に効果的に差し込まれていると感じました。
 長く短い祭→Night Riderがこのプレイリストの大サビだと考えます。ここ、曲間が0秒です、素晴らしい繋ぎです。思わず叫んでしまいそう。
 そしてこのプレイリストの最も白眉な点ですが、帰宅までちゃんと面倒みてくれます。ODD Foot Works「Summer」と「サマージャム'95 (Cover)」この終わりゆく1日、あるいは過ぎ去る夏に想いを馳せるような2曲でしっかり酔いは覚めていきます。丁寧です。非常に誠実さを感じます。恐らく翌日は仕事です。
 夏は決して毎日が最高な訳ではありません。むしろ平日サラリーを稼ぐ我々とってこの暑さは脅威と言っても差し支えありません。そんな日々をやっていくためのプレイリスト。ハーゲンダッツみたいです。この夏が終わった時「そういえば一番聴いてたのってこのプレイリストだったな」と、後で気付くようなさりげなさ、寄り添いの選曲だと感じました。終(おわ)


Misawa の 「2023夏」

 初めまして。私の名前はけちやと言います。ちょい待ちさんの友人です。何故か審判を下すことになっており恐縮/困惑しておりますが、よろしくお願いいたします。
 殆どが初めて聴く曲だったので、とても楽しかったというのが最初の感想になります。これこそプレイリスト遊びの真髄と言いますか、人のオススメというのは強烈な付加価値であると私は考えていて、知っていた曲でも当然聴こえ方は変わります。この尊さは何ものにも代え難いと思っています。
 プレイリストの前半、アコースティックなアレンジが印象的な曲が続きます。柔和で朴訥とした曲たちは夏に吹く一瞬の風の涼やかさを何倍にも増幅させます。畳の上に寝転がって風鈴の音を聴いている、そんな趣を感じさせます。しかしながら、ただ穏やかなだけかといえば決してそういうわけではありません。People In The Box「八月」の後奏は驚きました。曲が終わったかと思えば再び同じ展開が数回に渡って繰り返される構造には揺さぶりをかけられました。タダでは終わらせない気概はちょい待ちさんのプレイリストとも共通するところかなと感じました。
 小島麻由美「真夏の海」存じ上げておりませんでしたが、とても好きです。情感たっぷりに歌い上げる様は椎名林檎や吉澤嘉代子を彷彿とさせ (ある楽曲について語る時、他の音楽家の名前を出すのはなるべく控えたく思いますが、あまりにも私の好きなアーティスト達と通ずるところがあったため話さざるを得ませんでした、すみません) 、本リストの中でも強い存在感を放っていました。聴き終えた時に一番最初に思い出したのはこの曲です。
 「サマー・ソルジャー」から「夏の日、残像」あたりで少しずつオルタナティブな感性が強まってくる印象を受けます。このあたりも狙って選曲されているのでしょうか。アジカンってやっぱかっけ~。めっちゃ良い。「止まらないで」というコーラスが好きです。
 そしてcero「Summer Soul」ここからさらにプレイリストの自由度が上がります。イントロでガッツポーズしちゃいました。cero大好きです。私もちょい待ちさんと夏バトルに興じたのですが、私のプレイリストにもSummer Soulは入っていました。Summer Soulってその一曲だけで夏の全概念が立ち上ってくる感じがあるというか、凄すぎますよね。後奏で髙城晶平の金切り声みたいなシャウトが入ると思うのですが、ただエモいだけじゃない夏の狂気性がここで一気に解放される感じが堪らなく好きです。最近のceroに顕著ですが、生活と地続きでありながら、その隙間で蠢く神憑り的・宇宙的な非日常性のバランス感覚が私は大好きで、三途の川の上を綱渡りしているような危うさを感じます。Summer Soulはその感覚が特に強く出ていると思っていて、まさしく夏を体現した曲だと感じます。
 Summer Soulでガッツポーズした私は次もニコニコしてしまいます。ぷにぷに電機が好きです。ぷに電さんの声が一番映える季節は夏だと思っています。ひんやりしています。ひんやりしているのに、その奥に熱を感じます。良い曲だ~。
 ひんやり感はさらに増します。私の角銅真実さんの印象といえばceroのサポートをされているくらいのもので、石若駿と曲を作っていたのは存じ上げておりませんでした。なかなか自分ひとりではカバーしきれない部分に突然アクセスできるのがプレイリストの良いところですね。カンカン照りで眩しいコンクリート、そう、美術館です。コンクリート打ちっぱなしの美術館。そこに出来る静謐な日陰を見つめているその瞬間を切り取ったかのような、暑いのに暑くない、何故かその瞬間だけは暑くない気がしている。そう感じさせる曲でした。
 一転して等身大の愛を歌う「Fireworks」ここで終わりが来ていることにふと気付きます。ここまで充足感が強かった。バラエティに富んだ選曲に夢中で終わりを意識していませんでした。小学生の夏休みです。終わりなんか無いと思っている。それがここに来て一気に現実に引き戻されます。地に脚をつけた歌声にハッとさせられます。
 最後。どうもありがとうございます、本当に嬉しいです。イントロで「マジか」ってホントに笑っちゃいました。私がInner Blueをどれくらい好きかというと、この曲が収録されているアルバム「DREAM WALK」のジャケットになっている「ジョナサン熱海サンビーチ店」にDREAM WALKのアナログ盤を持参して写真を撮るくらい好きです。もはや夏は過ぎています。過ぎた夏を思う一時の夢を見る。まさかこの曲で締まるとは!意外すぎました。
 Misawaさんのプレイリストはちょい待ちさんのそれとは対照的に、特別な夏を感じさせました。一人で箱根に行った夏みたいな感じです。後年、何故かその時のことはよく覚えている。誰かと共有するものではなく、私だけが私のためだけに覚えている特別な夏、良い孤独感がありました。素敵です。終(おわ)



以上、手短ではありますが審判となります。お読みいただきありがとうございました。


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