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自分だけが大変なんじゃない。子育ては誰もが大変。

うちの小学5年生になる一人娘には、小児慢性特定疾患に指定されている持病がある。

3歳になるちょっと前に発症し、今に至る。

「慢性」とついてしまっているように、治る病気ではない。

良くなったり悪くなったりを繰り返し、それに合わせて薬を変えたり量を調節したり。

時には入院しての治療が必要になる。

発症してから8年弱経つけれど、「寛解(症状や検査異常が無くなった状態)」に至った事はまだ無い。

小さな頃はちょっと風邪引いたな…と思っていたら、どんどん体調が悪くなり、慌てて主治医のところに連れて行くと「はい、即入院!」という事が何度もあった。

その為幼稚園の行事には満足に出た事がない。

3年間の幼稚園生活で、運動会、お遊戯会、お芋掘り、遠足などなど、楽しみにしていた事を何度も泣く泣くお休みさせてきた。

だから、「小学生になっても同じ様にいっぱいお休みして、いっぱい行事に出られないんだろうなぁ…」と私は思っていたけれど、娘はそんな私の気持ちなんか全く知らずにわくわくしながら近所の小学校に入学した。

娘の病気は自分の身体の中だけで悪さをしているもので、他の人に感染すものではない。

だけどこの子の病気の事を知らない人にとっては、クラスの中に病気の子供がいて、時々入院してまた戻ってくる…というのは、何となく怖かったり不安だったりするものだろう。

だから、入学して最初のクラスの懇談会で、自己紹介の番が回ってきた時に病気の事を話させてもらった。

幼稚園の時からやっているから、すらすらと台詞は出て来る。

「うちの娘は小児慢性特定疾患という、大人でいうところの国の難病に指定されている持病があります。

ですが、人に感染す事はありません。

具合が悪くなると入院する時もありますが、学校に通えている間は元気なので、どうぞ仲良くして下さい。」

パチパチパチパチと控えめな拍手が聞こえて、次の保護者の方が話し始める。

30人位の保護者の方が代わる代わる発言したその日の懇談会を聞いていて、気付いた事があった。

私は病気の娘と暮らすようになってから、自分の子もその子を育てている自分も、人とちょっと違うと思っていた。

自分は健康なお子さんを持っている親御さんより、苦労や悩みが多いと思い込んでいた。

だけどこの日の懇談会では、色んな保護者の方から、お子さんに関する心配事や、不安な事、悩み事が飛び出し、それを聞いているうちに、「私だけじゃないんだ!」と、目から鱗が落ちる思いがした。

健康なお子さんをお持ちの親御さんにだって、小学校に入れるにあたって不安な事は沢山ある。

子育てって苦労や悩み事の連続。

(いや、勿論「全く手が掛からない素晴らしいいい子!」というお家もあるだろうけれど。うちの娘は残念ながら病気の有無に関係なくそういうタイプの「いい子」ではない。そして、それは育て方だけでなく、本人の持って生まれた性質みたいなものも大いに関係していると信じている。信じたい…。)

そんな当たり前の事に、私は気付いていなかった。

この日の懇談会を経て、ちょっと肩の荷が下りたような気がした。

大変なのは自分だけじゃないんだ。

誰にとっても子育てって試行錯誤しつつやってるものなんだ。

そう思えるようになったから。

あの日、西陽が眩しかった教室で色んな親御さんの話を聞けた事。

とても有り難い時間だったなぁと、大切に胸に仕舞っている。

#一人じゃ気づけなかったこと