見出し画像

American Football Live in Japan 感想

@Shibuya O-EAST 29th June 2015.

夕焼けの差す、一軒の家。ただそれだけの写真がスクリーンバックとして降りた時に、大きな歓声があがった。90年代を象徴する偉大な一枚、"American Football" 。

たった一枚を残し、解散をしてしまい、本国ならいざ知らず、日本でLIVEを見る事だなんて、あり得ないと思われていた。昨年、奇跡の再結成をし、半年前には「日本で」ライブが行われるとニュースが入った時には、もうそれだけで息が詰まった。

エモだとか、ポストロックだとか、如何様にもジャンルに収めて満足しているだけではもう何の意味もない。異なる土地ではあるものの、かつて「そこにある、いつもある」風景だった世界が、いつの間にか遠い幼少期の幻となってしまった、自分の町だったはずの場所。

そのノスタルジアを、淡いレイヤーを重ねるような清んだエレクトリックギターの音の重なりと、丁寧に抑揚をつけていくドラムのビート。

僕は、初めてライブという場で、アメリカンフットボールの演奏を観た時、色々な風景で聴き続けていった馴染みの沁みる音楽が、こんなにもライブ演奏として形として取り出される時に、それらのノスタルジアの具現化がより色濃く現れて、それらに目頭が熱くなってしまった。

数曲目、ドラマーがトランペットを持ち、たった一人で吹くその素朴な音、所々掠れてしまうところもあったのだけれど、その音の打ち付ける情景は、目を閉じた時、数十年前の色々な景色が蘇ってきた。

そんなように、あの一枚のアルバムを、より立体的に拡げた、そんな貴重な体験だった。

(蛇足だけれど、前列のいい場所にいるのに、ギターの長い演奏時に平気でスマホを見続けていたり、ふと顔を上げたと思ったら写真を撮ったり、髪の毛をいじり続けたりする観客が目の前に居たのが少し残念だった。終盤は殆ど目を閉じてのライブだった)

#americanfootballband

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?