見出し画像

高田渡 - ファーストアルバム ごあいさつ

ひとり暮らしをした時に、親父の(クラシック以外の)レコードも持って行ってしまった。そのなかの1枚がこれで、草子ブックガイドを読んで、レコード棚からようやくターンテーブルに乗せて、針を落とした。

ブックレットに、昔の親父の書き込みがあった(歌詞のつきたしと、弾き語れるように「R」と矢印で書いてあった)

生活の柄を、去年の秋のプレイリストに入れて、それを何度も聴いて、そして泣いてしまったりもした。ハンバートハンバートのカバーだけれど、素晴らしいカバーなんだ。

歩き疲れては、

夜空と陸との隙間にもぐり込んで寝たのである

草に埋もれて寝たのである

ところ構わず寝たのである

寝たのであるが

ねむれたのでもあったのか!

このごろはねむれない

陸を敷いてもねむれない

夜空の下ではねむれない

揺り起されてはねむれない

この生活の柄が夏向きなのか!

寝たかとおもふと冷気にからかはれて

秋は、浮浪人のままではねれむれない

 ―生活の柄  山之口貘


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?