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Thom Yorke ‎– Tomorrow's Modern Boxes


http://tomorrowsmodernboxes.com/



今年最も過小評価されてるような気がしてしまう、Thom Yorkeの新譜。

思えばタイミングも悪く、Appleの新型iPhoneと同時にU2の新譜が強制配布された後ということもあってか、あのThom Yorkeの新譜の突然の新作発表にも関わらず、余り衝撃的ともいえなく、こっそりとtorrentにアップロードされた9月。

その後WARPのこの秋の2大スターになっているAphex TwinとFlying Lotusの新作の影に隠れてしまったように思えてならない。

時代の音を革新してきた2000年前後のRadiohead、そして音楽流通の意味を問いたIn Rainbows、その間に発売されたソロ一作目も非常に話題となってラジオのCDランキングでは何週間も(他のヒットソングアルバムに比べて)上位に異質な音が流れるThe Eraser。それから結構な年月が立って、ようやく発売されたこのセカンドアルバム。革新さばかりでなく、エレクトロニクスの音楽的な成熟さがRadioheadでも際立つ中で、Tomorrow's Modern Boxesもまた、とてもうまくまとまっている。余計な音がない、とても波長のある作品だった。

個人的には最後の3曲におけるカセットテープのような歪みのある音が、Boards of Canadaなどに求めているエレクトロニクスの温もりだったのがツボだった。

情景としては、その場では聴いていなかったのに(歩きながらOK Computerなどを聴いていた)八ツ場ダムに沈む前の半ば廃墟のような風景をぶった切るように真新しい鉄筋コンクリートの道路やトンネルが印象的だった川原湯温泉の最後の風景と被る。

http://kollsstrains.blogspot.jp/2014/09/blog-post.html (写真と日記)

何年か立った後も、1番再生してしまうアルバムは、もしかしたらこの作品になるのかもしれない。いわばBill Evansの晩年の傑作、You Must Believe in Springのような1枚になる気がする。


http://www.discogs.com/Thom-Yorke-Tomorrows-Modern-Boxes/release/6127488


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