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劇場鑑賞『ROMA/ローマ』アルフォンソ・キュアロン

ROMA 覚書き

●内容について
・映画館でみないといけない作品だった。自宅モニターやテレビでの鑑賞では本作の本質の半分以上が損なわれている
・特に音響の素晴らしさ。家族でテレビをみるシーン、レストランでのシーンといった何気ないシーンで、緻密に音が動く(後方や横から画面に映らない隣人の会話が聞こえるなど)。
・映像配置が直接ドラマとなっている。ぼやけた奥が主となり手前の主人公が副となることも。全て主観が主人公であること、そして「今」であることからブレていない。あの海のシーンのラストで、やっと、主人公は「内」をうちあげた。常に、人は表を見ていることとは違う内の考えや音をききながら生きている、二面性の中で人生を歩んでいる。bgmが一切ない今作においての何と豊かな音楽よ。
・先日観た「ビール・ストリートの恋人たち」との共通点を多く感じる。両方とも傑作。
・‪ハリーポッターとアズカバンの囚人から入り、天国の口、終りの楽園や、大いなる遺産、小公女、そしてトゥモローワールドで衝撃を受けて以来、今も生きている映画監督において高校生の頃から十数年間たった今においても変わらずアルフォンソが一番特別だ。本作でまるで晩年のような集大成的かつ余白ある私的な描写をし、トゥモローワールドは特別であるけど、けれども彼の最高傑作はROMAである、間違いない。フェリーニの群衆描写、タルコフスキーの夢想的空間描写も交差する(安っぽい二番煎じではない)、そして長回しや暴力の過剰性もない、必要な描写を、必要のみ、突き詰めてつくられた、隙のない、完璧に近い名作。人生のうちにあと何度繰り返し本作を観るんだろうか。

●上映工程について
・2019/03/09 13時上映回にて鑑賞
・大宮イオンシネマにて鑑賞(旧ワーナーマイカル期、中学生の頃に地元から通った思い出深い映画館だったが、当時とは異なり映画世界へ入る非日常感は薄れた印象)
・公開三日前の唐突なsnsでの告知、配給会社を介さないスピード感ある上映決定、その弊害として、ホームページ、ポスター、チラシの類い一切無し、パンフレットも無し。前作、前々作と配給会社による邦題が原題と印象が変わるものでもやっとする部分があった反面、今回配給会社がないことでこれまで当たり前に恩恵を受けてた事がない、トップダウン的な上映への流れにまた違和感をもつ矛盾した気持ちをもってしまう。
・上映十分近く、ずっとピントがずれてぼやけたまま上映をしてしまうトラブルが。冒頭のCMや予告とのピントが異なってた?急な配給で調整が追いつかなかったのか、何れにせよ残念だった。同時に無事観れてよかった。(最近急に近視になったために周りの世界に対して自信が持てない)

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