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あの時のあの言葉のおかげ

 シングルになりたての頃、引き寄せられるように知らない方々から助言のような言葉がけをしてもらう事が多かった。

それも全て自分の母(生きていたら)くらいの女性の方ばかりで、今思えば引き寄せの法則で母に代わって助言をしてくれたのかな?とも思える。


ある時、息子二人連れて電車に乗っていた時のこと。ドアの前に立っていたらその横に座っていた60代くらいでスーツをビシッと着た女性が『席変わりますよ』と言って下さった。だけど立っている方が都合が良い状態だったので「ありがとうございます!大丈夫なんで座ってて下さい』と言った。

それから、さりげなく
その女性と長男が会話を始めて

女性『そのぬいぐるみかわいいね』
長男「うん!ロコンってゆーの」
女性『あら、素敵ね、買ってもらったの?』
長男「うん!」
女性『良かったねー!パパに?』
長男「ううん。お父さんはいないよ」

と、、女性が長男の返事が聞こえづらかったようで私の方を見た。私はとっさに小さな声で「シングルなんです」と手でバツマークをした。

そこで女性が理解をしてくれ申し訳なさそうな顔で私を見た。『ママが買ってくれたのね。良いね。おばちゃんも欲しいな。』と話をまとめて下さり、息子も外の景色を見てルンルンしていた。


それから女性がふいに、お話を始めてくれた。


『私もね、子どもが3人いてね。上から男男女で、今はもう大きくなって手が離れたんだけど。子ども達が小さい頃からずっと働いていてねー。ある時言われたの。長男がね、テストで100点をとったの。その時

“僕普通になれた?やっと普通になった?"

って言われちゃってね。働き過ぎて無意識に彼らを追い詰めていて、満点でもとらないとお母さんは見てくれない。と思ってたんだなー。って。満点とらないから普通じゃないなんて思わせてしまってたみたいでね。仕事ばかりでいっぱいいっぱいで長男の事はよく怒ってたの。』

と、目に涙を浮かべてお話してくれた。それを聞いて私も涙が溢れた。


シングルになって本当に間もない頃だったから、稼がないと!生きていく為には出来るだけ稼がないと!と目先の不安ばっかりがあった時期だった。だからどれだけ子ども達との時間が減ったとしても稼がないと生きていけない!シングルマザーを選んだのは私だから宿命だ!と思い込んでいた。

そんな時に聞いた、このお話。

目を覚ましてくれる助言でした。

今の私の働き方があるのは間違いなくこの時の女性のおかげ。この出来事がなかったら私は子ども達との時間そっちのけで、保育園も学童もギリッギリのお迎えで月〜土までビッチリ働いていただろうなー。と思う。そして氣がついたら子ども達の手が離れて、彼らの心にブラックホールが出来ていたと思う。自分が理想とする親子にはなれていなかったと思う。



その後、女性は特に話し出す事もなく、降りる駅に着いたらスッと立ってスーツを正して『じゃぁね、お話してくれてありがとう。またね。』と去って行った。スーツをシャキッと着て、背筋も伸びて、背が高く、本当にカッコ良い60代女性だけど、後ろ姿はどこか寂しそうだった。

そんな出会いがあったから、時々この時の事を思い出す。『またね。』が響いてて、またいつか会えるんじゃないかと期待している。


正直去年の今頃もよく働いている方だった。制限していたとは言え掛け持ちしていたし、外勤だったしなんかオラオラしていた氣もする笑

今は本当に理想通りになった。保育園に送って行くのも余裕をもって行けるし、お迎えも早めに行ける。だから子ども達との時間が毎日ちゃんとある。だからって稼ぐ金額が減ったわけでもない。


長男がね、本当に手がかからなくなったのを手にとるように実感していて。いつも思うんです。今しかない、本当にこんなに一緒にいれてベタベタ出来るのは今しかない!

間違いなく後悔しない道を選んでる自信がある。あの時のあの女性に心から感謝している。

本当にありがとうございます☻

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