記事一覧
『見てたから、ずっと』【140字小説】
「私が行きたい場所当ててみてよ」
「試すみたいなの苦手なんだ」
「いいからいいから」
食べたいもの。欲しいもの。君のことなど何も知りゃしないのに全てのクイズに正解する。
「凄い! 何でも知ってるんだね」
「僕のことは聞かなくていいの」
彼女は一等微笑んだ。
「大丈夫、全部知ってるから」
『伝えてるつもり』【300字小説】
第73回Twitter300字SS
・お題:隠す
・ジャンル:オリジナル
・文字数:288字(改行、空白除く)
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「まただ」
最近、頻繁に物が無くなる。犯人は分かっているのだけれど。
「どこに隠したの!」
低い声で注意しているはずな
『スキー場にかかる橋』【140字小説】
「スキー」と聞くと、思い出す風景がある。
白銀の世界にかかる虹の橋。
「虹だ! 」という声があちこちから聞こえる。
皆一様に足を止め、空を見上げている。
一面の雪と吐息はどこまでも白く、まるであの橋に色を奪われたかのようだった。
色を持つスキーウェアは代わりに心を奪われたらしい。
『怖いおじさん』【第0回カクタノコンテスト】
「怖いおじさん、眼鏡白いね」
笑い声を向くと、母親らしき人が頭を下げた。
子供は内緒話のつもりのようだ。
隣の"怖いおじさん"は、無言。
「あの」
なんと言えば。迷った一瞬。
"怖いおじさん"はフーンと鼻息で眼鏡を曇らせる。
ああ、そうだ。
私もこの上司を"怖い"と思っていた頃があったなあ。
『通りすがりのおっさんより』【即興小説トレーニング】
◆お題:あいつとお正月
◆制限時間:15分
◆制限時間内作品:『通りすがりのおっさんより』即興小説トレーニング
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もう幾つ寝るとお正月。
歌声はなくとも、脳内で自然と再生されるBGMを聞きながら、俺はスーパーをうろついていた。
今日は
『情シスの眠り姫』【300字小説】
第71回Twitter300字SS
・お題:眠る
・ジャンル:オリジナル
・文字数:297字(改行、空白除く)
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辞令先を告げると皆、気の毒そうな顔をした。
「ああ、『眠り姫』のとこかあ……」
仕事はリモートのため、件の『眠り姫
名ばかり茶道部、部室にて【300字小説】
第62回Twitter300字SS
・お題:余り
・ジャンル:オリジナル
・文字数:281字(改行、空白除く)
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「『余り物には福がある』――か」
「じゃんけんに負けたことを正当化するなよ」
「正当に負けたんだし!? っていうかどれ
ハッシュタグお題など【Twitterまとめ】
ハッシュタグお題などのTwitterまとめです。
【お題】
砂時計をひっくり返す。さらさらと落ちる砂を何をするでもなく眺めていた。
# 静・寂・閑を使わずに静けさを描写する
彼女はいつもスマホを片手に、オレンジ色の照明を探している。「温かい色の方が肌が綺麗に映るのよね」 と彼女は言う。「……ほんとだ。綺麗だね」「ばか」彼女の頬が染まったのは、太陽のせいなのか。
# 夕や黄昏という文字を使わずに
通勤日記【Twitterまとめ】
※2020/03/14更新※
Twitterに呟いた140字以内の#通勤日記のまとめです。
2020/01/20
中学生らしき男の子が、階段を駆け下りて行った。ダンっと音を立てて踊り場に降り立つ。
ダダダッ、ダンッ。ダダダッ、ダン。
繰り返されるうちに強烈な郷愁が襲った。
そうだ。自分もあれぐらいの頃は、階段を下りる手段に「ジャンプ」が存在したのだ。
2020/02/17
黒くて薄べった