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BTSカムバのステージとユンギさんのこと



夢の中のようなステージ

BTSの今回のカムバックステージの放送が終わった。
今回の3回のステージはどれもとても美しくて、とても不思議な光景だったように思う。

バンタンにとっては待ち望んだ本国ARMYの歓声を聴けて嬉しい気持ちと
このステージの後暫くは7人の活動でARMYに対面することが叶わないという覚悟と万感の想いが、
ARMYにとっては2年半ぶりに声援ありの対面の喜びと
今後の期待がいっぱいに膨らんで弾けるような愛が、
番組スタッフの方は撮影時は久し振りにBTSのステージを放送する意気込みと
防弾会食の放送後に編集したであろう彼等の表情の細やかな描写への想いが、
三者三様、交わらないようで交わり合う、
なんだか夢の中のようなステージだった。

夢の中のようだといえば、Yet To ComeのMVもまた夢の中のような映像だった。
青空と白い砂漠、自然のレフ板効果かレンズのフィルタの影響か、
全体の色味が何処か現実離れしているように感じた。
また花様年華を模した演出のためか、彼等の表情も美しくて儚くて、何処か行ってしまいそうで。
ふっと消えてしまいそうで。

もしも今回MVと例の防弾会食だけだったら、
解散してしまうのではないかと相当不安になったと思う。
でもカムバックステージの彼等を見ていたら、
それは杞憂だと確信した。
私達が思うよりずっとバンタンはARMYと会うあの場所を大切にしていて、
それぞれが「必ずここへ戻って来る」と決心した筈だ。
発表されたばかりの歌と掛け声を覚え、
夜中も含めて何時間も待って、
全身で喜びを表現してアミボムを振るARMYのもとへ。
どんなに参加したくても叶わなかった世界中の99%のARMYのもとへ。

彼等はアイドルという仕事を心底楽しむように
心を込めて歌い、愛嬌をし、ARMYと遊び、
バックステージの茶目っ気たっぷりの様子も沢山見せてくれた。
でも7人ともどんな笑顔の時も、アップになる度に少し涙目の笑顔だった。
ユンギさんが感極まる表情は特に印象的で
ラッパーで将来はプロデューサー志望だったという彼の
アイドルとしての険しい道程を思った。

楽しんで仕事をしたことがないという言葉

会食の時のユンギさんの言葉を捉えて
「今まで楽しんで仕事をしたことがない」等と
薄っぺらな記事が横行していることが悔しい。
今や家族と呼ぶ兄と5人の弟達と音楽を作り、
ステージに立ち、バラエティーをこなして、
それがARMYに届いているのを実感し、
自分に巣食う負の感情を克服して
柔らかい笑顔を見せるユンギさんを見たことがあるか。
音楽のスペクトラムに限界なく挑戦を続けることがアイデンティティーであり
自身とBTSの音楽が僕のPROOFだと言うユンギさんが
本当に一度も楽しんでいないと思えたか。

彼がずっと楽しんでは出来なかったと語るのは
音楽の創作活動に関する苦しみで
防弾少年団としての活動全てに関する話ではない。
デビュー当時ラッパー仲間や世間から嘲笑され、
心を壊し、血を吐くような思いで曲を作り、
それでも防弾少年団としてアイドル活動をしてきた彼が
どんな思いでこの10年以上戦ってきたか
理解しようともしていない。

初期には言いたいことは沢山あるけれどスキルが足りなくて苦しんだ、
big houseもbig carもbig ringも手に入れたけれど
重い肩書に縛り付けられた今は、
言いたいことを見つけて絞り出すのが難しい。
自分の中の幼い自分との対話か、
或いは新しい自分から生み出すか、
その為の時間が必要なのだと思う。
自分を天才ミンシュガと呼び鼓舞し続ける彼の、
アーティストならではの産みの苦しみの吐露だったと思う。

ユンギさんは昨年から「長くBTSを続けたい」と度々語っていた。
アイドルを2〜3年やったらプロデューサーになるだろうと思っていたという彼が
率先してBTSの未来が続いていくと宣言してくれた。
ARMYにとってユンギさんの言葉はミンストラダムスの予言、つまりは本当に叶う未来。
ずっと前から彼は未来の約束をしてくれていたのだ。
彼がBTSを長く続けるという予言はきっと現実になる。

ピアノを弾くユンギさん


ただ音楽が好きなんだ

僕は、僕はね、ただ音楽が好きなんだ

Yet To Comeでユンギさんが歌うこのパートが大好きだ。
きっと7人全員がただ音楽が好きな普通の青年で
そんな彼等を応援するのがARMYだ。

バンタンとARMYの関係は優しくて甘くて
側から見れば夢の中のようかも知れない。
みんなが同じでなくていい。
休みたい時は休んで
羽を広げたい時は自由に飛び回って
成長して再会するのを楽しみにそれぞれ歩いていく。
この桃源郷のような場所があるから信じられるのだ。

私は、私はね、ただ君たちの音楽が好きなんだ。

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