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東京報道発表の2回接種者の「陽性になりやすさ」が異常値になっている話

東京は毎日「報道発表」の形でコロナの陽性者を発表しています。

↑がその報道発表です。陽性者の「総数」と、「2回接種」「1回接種」「接種なし」「不明」のそれぞれの人数が掲載されています。

そして東京都の情報ページで、各接種回数を見ることができます。

↑こんな感じで毎日の1回、2回、3回の接種数を調べることができます。

上記2つの情報から、「接種なし」「1回接種」「2回接種」(※「3回接種」は掲載がないのでナシ)の「10万人あたりの陽性者数」を計算してみました。

・計算につかった数値(1日毎に計算)

・各属性の陽性者数→「報道発表」の毎日の資料からコピペ
・各属性の分母となる人口(1日毎に計算)
①未接種人口→東京の総人口-1回目接種数
②12歳以上未接種人口→①-11歳以下人口
③1回目接種人口→1回目接種数-2回目接種数
④2回目接種人口→2回目接種数-3回目接種数

②と③、②と④の比較ということになります。

※結果に影響がある要素
①3月から5歳以上の接種が始まったが、この計算では考慮していない。
②10~11歳の陽性者および人口のデータがないため、10~19歳のデータを割り算して利用した。
①はまだ接種率が低く、②もそれほど結果には影響を与えないと考え、そのまま計算した。

余談ですが、1回目と2回目も未だにチョコチョコ増えているので、1日ごとに数字を入れていくのが結構面倒でした。

まず未接種(12歳以上)と2回接種の10万人あたりの比較が↑となります。
最初は2回接種の方が成績がいいですが、途中から逆転し、最大6倍程度2回接種の方が陽性になりやすくなっています。

この異常な陽性のなりやすさは少し前から把握していましたが、実際グラフにしてみるとどんどん高くなっているので少し驚きました。

2回目が陽性になりやすいのにはいろいろと理由があると思いますが、個人的に一番影響が大きいのが「3回目接種の急伸」だと思います。
実際、2回目の陽性なりやすさが1倍を超えるのは2月からです。これはちょうど3回目接種が本格化した時期と重なり、そこからグングン上がっていきます。
そして、3回目接種者の陽性者が「2回接種」に組み込まれているのではないでしょうか?それであれば「分母が減る」のに「分子が増える」ので、陽性なりやすさはどんどん上がってしまいます。3回目を「2回接種」に入れてしまうのはインチキだと思いますが、「2回「以上」接種を略して2回接種とした」なんてデタラメを言い出すのも、最近の感じだと容易に想像できてしまいます。(あるいは過去にそんな発言があったのでしょうか?知っている方がいれば教えてほしいです)

そこで、「未接種10万あたり」と、「累計」2回接種数で割って計算した「2回接種10万あたり」を比較したものが↑です。重なってわかりにくいので折れ線グラフにしています。

先程は、3回接種が進んだぶんの接種数を2回接種数累計から引き算していましたが、この引き算をしませんでした。こうすることによって、「2回」と「3回」の合算的な効果が見られるのではないかと考えて作りました。

グラフを見ると概ね重なっているので、「2回接種」が実は「2回以上接種」だった場合、2回と3回を合算すると効果はあまりないと言えるのではないでしょうか。

そして、次に「1回目接種の陽性なりやすさ」を調べてみました。

上記が未接種と1回接種の10万人あたりの数値と「陽性になりやすさ」のグラフとなります。
これを見ると、1回接種も陽性なりやすさは2~3倍となっており、あまりいい成績ではありません。
1回目接種は3回目が組み込まれたりなどの統計的トリックの余地がないため、おそらく実際に陽性になりやすいと考えられます。

以上からこのように考察しました。

1,1回目接種は、シンプルに成績が良くない。
2,2回目接種は、3回目の影響もあって、素直に計算した異常な成績通りではないと思う。しかし、1回接種の成績が良くないので、2回目で改善するとも考えにくい。少なくとも1回目程度の成績悪化はあるのではないか。
3,3回目接種は、2回目との合算ではあまり効果が見られないが、2回目が悪いことを考えると、相対的に効果があるのかもしれない。
4,「不明」は全く考慮していない。そのため不明の振る舞い次第では上記の成績は変化する可能性がある。

あと余談ですが、「打つと感染しやすくなる」という海外(主にイギリス)のデータは僕も知っています。そのデータでは1年程度で感染しやすさは改善していくという話でしたが、東京のデータ(1回目陽性なりやすさ)のグラフからは今のところその傾向は見られません。まだ1年経っていない人が大半なのでまだ観察は必要ですが、ちょっと心配だなと思っています。