ウナライオンはなぜ高いのか

イギリスのロイヤルミントで発行された1839年のウナライオン金貨は非常に有名であるが、近年価格が異常に上がった。オークションが各地で相当な回数開かれるようになったことも原因だろう。発行枚数が250枚で、しかも鑑定結果がPR60以上の枚数が少ないために希少性もある。PR60だとオークションで3千万円ぐらいになることもある。PR64 では7700万円の記録もある。

確かにデザインは秀逸でヴィクトリア女王とライオンが並んで歩いてる姿は奇抜であり美しいと思う。しかしコインのデザインは様々で、これが美しいと思うのは人それぞれである。この金貨がこれほどまでに有名になったのは、多くのオークショナーやコレクターが世界一素晴らしいというようになったからでもある。

さらに2019年に2oz のプルーフ銀貨が同じデザインでイギリスのロイヤルミントから発行された。基本的に以前と同じ刻印で技術的な欠陥がないように仕上げているために以前の金貨よりも美しいデザインとなっている。

しかしこれは現代の技術であればそれほど難しいことではない。ただ発行枚数を押さえながら2オンス約62グラムという特異性を持たせているために異常な人気になっているらしい。昨年発行されたためにNGC と PCGS合わせてプルーフ70は全部で120枚ぐらいあるらしい。これらがすでに80万円以上の価格がつけられているようだ。

この状態は異常である。ウナライオンのデザインを否定するつもりはないが、なぜこのようになっているのかはよく考えた方がいい。ロイヤルミントも意図的に希少性を追求して商業目的に発行しているに違いない。

この刻印の打ち型はまだあるはずだし、発行枚数を増やすことは難しいことではない。おそらく商業的な価値からそのようなこともあり得るだろう。

ある会社はこれを宣伝しているがあまり簡単に追っかけるのはどうかと思う。100年以上の前のアンティークコインならば基本的に再製造は無理なのでそれはそれなりの価値がある。しかし過去の遺産に基づいて商業的に作られたものは要注意である。あまり商業的な宣伝に乗って買って損をすることのないように気を付けた方がいいだろう。

すなわちウナライオンはすでに日本や世界のコレクターにとってブランドになってしまったのである。そのブランドを利用して商売している人たちがいることに気をつけなければならない。コレクターは十分気を付けた方がいい。あまり投資的な価値を狙って収集するのは危険だと思われる。



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