手の表情(心理芸術)

僕は月2回の頻度で、お知り合いのデザイン会社へ「出張デッサン講座」の指導をしています。
これまで約10回ほど講座が進み、次のステップとして「手のデッサン」に取り組む予定となっています。これまでのモチーフとは違い、表層の「見た目」を描くものではなく、「心理」の領域に踏み込んだデッサンになるため、「手の表情」について自分の考えをnoteに残す事にしました。(真面目)

表情は手に出る

「表情は顔に出る」ではなく「顔こそ表情を隠す」というのが人というもの。
人の心理を表現するにあたって「手」こそリアルを映し出すものと考えます。
それは図画であっても映像・舞台・映画やドラマであっても、人を表現する為に、感情や心理を表す最も重要なパーツのひとつが「手」なのです。

名画に見る「手」

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モナ・リザを想像してみると、手がある画と無い画では、どちらが良いとかではなく、印象がかなり変わってくると思います。

手を軽く交差して重ね、「とても落ち着いた表情」で、その肌の質感、柔らかさと、「指の脱力感が隙を見せつつ色っぽい」。男子はモナ・リザの顔より、この手に魅了されるのではないでしょうか。

手が伝えること

モナ・リザの手のように、手から無意識に感じられる印象は数多くあり、それをまとめることで「手の表情」と言えるのではないでしょうか。
手から受ける印象として以下があります。

・性別 (男らしさ、女らしさ)
・年齢 (肌の赤みや質感、シワの量)
・感情 (顔に出てない本来の感情【本能】)
・関係 (手が複数ある場合)
・心理 (顔と手の複合表情による、本人の心理【理性】)

手による演出

漫画媒体においては特に手の表情が重要になります。
例えば、無表情の顔に、さまざまな手を添えるだけで一気にコミュニケーションが生まれます。

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逆に『手を描かない』事で、その人物が伝える不思議感や奇妙さを演出する事もできるかもしれませんね。

性別年齢を伝える

手を利用して、「女性的」「男性的」な性別を表現することができます。
指の長さや太さ、そして重要なのは手のポーズで、性別を描き分けます。

よく描かれる女性的な手の表情として、中指と薬指をくっつけたポーズ。そして小指を少し曲げたポーズ。

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手の構造(図画)

手の表情を描くためには、手の構造をよく理解していないといけません。
構造を勘違いした手の一例を描いてみました。

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1)間違った手の描き方の多くは、指を握った時も開いた時も、直線や平行線で構成されがちです。手は扇形や曲線で構成されている事を心がけましょう。

2)さらに基本図形やパーツ分けで立体的に捉えます。

3) 指の折れる方向は親指だけ特別です。他の4本の指が上下に折れるのに対し、親指は左右に折れます。さらに手のひらから出る関節の数も親指は2つです。

さまざまなスタイル(図画)

手はデフォルメしたり、動物の脚を手にしたキャラクターを創ったりして、様々なスタイルで描かれます。これは基本の手構造をしっかり習得することで、あの世界的ネズミのキャラクターの様に、指が少なくても感情を表せるようになります。

手のデッサンで習得すべき事

どのような角度や大きさでも表情を表現できるように、手の構造とポーズを習得しましょう!
・指の長さの関係
・関節、手首の位置
・指の可動域だけでなく、手の平や手首の可動域を意識
・性別の描きわけ

習得の近道は、やはり手のデッサンを色んなポーズ、モチーフで数多く描く事です。手の練習にはたくさん時間をかけるべきと僕は思います。

女性の手/ベクター素材

ベクターで女性の手によるコミュニケーションイラストを提供しています。

…と最後に告知も入れ込む。



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