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何のためにそこに立っているのか?ー 与儀大介ロングインタビュー

2019年12月に産声をあげたしょぼい政党だが、翌2020年5月には早くも大きなレジーム・チェンジがなされた。すなわち同党の立ち上げをしたやうちはるき(以下えらてん)の体調不良に伴う党首交代のことだ。

しょぼい政党は良くも悪くもえらてんの思想を色濃く打ち出した政治団体だし、立ち上げを成し遂げたのも彼の高い知性と純朴とも言える正義感に強いカリスマ性があり、多くの有為な人物が集結したからとも言えるだろう。その思想、人脈など政治団体として大きな基盤を失って今後どのような方向に進むのか?それはえらてんの跡を引き継いだ新党首、与儀大介の手腕が問われている。

今回その渦中の与儀大介が、しょぼい政党のことえらてんのこと、その想いを率直に語ってくれた。

新党首となって

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ーこのたびは党首就任おめでとうございますー

いや全然おめでたくは無いですね。

ー党首交代は望んだものでは無かったということですねー

そうですね。えらてんさんが静岡4区の衆議院議員補欠選挙を辞退して体調を崩して以来、ずっと復帰を待っていましたから。えらてんさんが戻って来ることを信じて、志木市議会議員選挙も戦って来ました。

あっ、実際には志木は選挙は無くて無投票当選となった訳ですが(笑)、公示前の準備はどこの陣営よりも入念に行ってきました。本音を言えば選挙で戦って勝ちたかったですし、自信もありました。

そもそも僕を政治の世界に誘ってくれて、ずっと(党首として)引っ張ってくれたのがえらてんさんだから、党首っていうのが収まり悪いですね。そもそも僕は党首の器じゃないんですよ。

ー党首の器では無いとは?ー

僕はえらてんさんのような頭脳は無いし、旗を振るのはえらてんさんであって欲しい、そう思っています。色々な能力がえらてんさんとは違うから、自分は自分が出来ることをやって党を守りたいと思っているんです。

ただ、僕もえらてんさんと別の能力はあると思っています。政治という舞台で絶対に倒れないで立っていることは出来る。そうやって党首に相応しい人が戻ってくる場所を守りたいんです。

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しょぼい政党とは

ーえらてんさんのことは後ほどじっくり伺いたいと思いますので、まずは改めてしょぼい政党とはどのような政治団体なのでしょうかー

政党のホームページに書いてあるのでそちらを見てください。

ーそう仰らずに改めてお願いします(笑)ー

(笑)基本政策は大きく分けて3つあります。ひとつは「精神障害者のバリアフリー」もうひとつは「高度教育の支援」3つめが「地域コミュニティの活性化」です。

「精神障害者のバリアフリー」は前党首のやうちはるきが双極性障害の当事者ということもあり、精神障害者の当事者を積極的に擁立したいと思っています。精神障害者は身体障害者と違って、見た目だけでは分かりにくいってところがあるじゃないですか?そういう人が実際にどんなことに困っているのか?生の声を皆さんに届けたいですね。条例化などにこだわらず、様々なやり方でこれを進めていきたい。

「高度教育の支援」は大学院生・博士研究員への給付型奨学金や年金などに取り組んでいきたいと思っています。ただ、これについては市議会議員で行えるものでは無いとも思っていますので、今は党の力を蓄えているという所でしょうか。

最後の「地域コミュニティの活性化」ですが、これは僕らが最も得意としてる「しょぼい起業」という概念に基づいた、地域に根差した起業家を支援していくことで、皆が集まれる場所作りを行っていきたいと思っています。実際に僕が議員をやっている埼玉県志木市では「しょぼい居酒屋murameshi(むらめし)」という居酒屋の立ち上げを実現しています。僕もしょっちゅう行ってますね(笑)。他にも子ども食堂の立ち上げも検討しているところです。

ーなるほど。だとすればしょぼい起業を除けば政策立案のキーマンはやはり、えらてんさんになるのではないか、という感想を持つのですがー

その通りかも知れません。えらてんさんは鬱になっていて、十分な引き継ぎが出来て僕が党首になった訳ではありません。引き継ぎが出来ないほどの健康状態というのが正しいかも知れませんが。

ただ、えらてんさんがやっていたことに、アクセスは出来る状態ではあるので、必要に応じてそれらを掘り起こしている状態です。なので今は基本政策を保持したまま、どちらかと言えば、党勢拡大に力を入れて行こうと考えています。

現在、政党の運営体制の見直しも行いました。バックオフィスと僕らは呼んでいるのですが、彼らは今までえらてんさんに集中していた業務を標準化してくれています。今までの俗人化していた様々な業務を、チームマネジメント体制に移行しているところです。

僕も彼らの意見に耳を傾けながら、協力して政策立案をしていきたいですね。

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ー与儀党首から人の話に耳を傾けるという話を聞くと少し安心します(笑)。先ほどのお話の中で党勢拡大に触れられていますが、具体的にはどういったプランなのでしょう?ー

そうですね、先ずは政策提言出来るだけの力をつけること、すなわちしょぼい政党の所属議員を増やしていくことやしょぼい政党の支持者を増やしていくことで政策や選挙、候補者の選定など活動の幅が広がっていくと考えています。いまはよくある有象無象の泡沫政治団体と変わらない、そこを抜け出すことが大事かと。

そのための第一歩として、地方議員を増やしていくことを目標にしています。選挙というのは僕らの力を測るのに最適なんですよ。いま直近で大阪府箕面市、神奈川県座間市、埼玉県戸田市に公認候補の擁立を考えていますが、この3つのどこからも議員を出せなければ話にならないです。ヤバイ。党の存続を占うくらいに重要な戦いだと思ってます。

ーヤバイとは?党の存続が出来ないということですかー

まあ、ぶっちゃけそういうことですね。今のところ箕面、座間、戸田を次の選挙の場として視野に入れていますが、その3つの選挙のどこも通せないようでは、えらてんさんが帰ってくるまでもたせることは出来ない。あるいはえらてんさんに良い形で党を渡すことは出来ないと考えています。間違いなくしょぼい政党の存続をどうするのか、考えるポイントになると思います。

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えらてん(やうちはるき)の復帰は?

ーここでえらてんさんの話を聞かせてください。えらてんさんの体調は与儀党首から見ていかがでしょう?復帰は無いのではないかという声もありますがー

うーん、どうでしょう。本当に分からないですね。もう戻って来ないかもしれない。けれど、僕は戻ってくることを信じて党を引き継ぎました。ネットの向こうでごちゃごちゃ言う奴は「遠くから石を投げて満足する卑怯者」だと思っているので、卑怯者が何を言っても関係ないですね。

ただひとつ言えるのは僕は口だけでなく、えらてんさんが帰ってくることを信じて行動しています。口だけで賢ぶってダメとか言ってる奴らとは根本に違うのです。また、いま僕の周りで党を支持してくれている方々も、僕と同じように行動してくれている。そういう人を僕は信用しています。僕なんかより、とても優秀な人が多いですしね(笑)

ーえらてんさんが帰ってくるから政党を続けているとー

まあ、それだけでは無いですけどね。単純に僕が面白いと思ってるのが1番です。そして、まだしょぼい政党を続けて欲しいという多くの人の祈りを感じている。僕自身の想い、支えてくれる人の想い、えらてんさんへの想い、色んなものがあって政党を続けているのだと思います。

ただ、えらてんさんが作ったこの場所を、いずれ帰ってくる場所をより良い形で護りたい、その想いはご指摘の通りではないでしょうか?

とは言え僕も言ったらそこら辺の若者となんら変わらない。

YouTubeで強気に振る舞って叩かれても、応援してくれる人がいればそれだけで力になります。僕らは空中戦と呼ばれる、SNSでの発信を上手く活用して活動しているとは思うけれど、実際の街での影響は必ずしも十分ではありません。だから応援する気持ちのある人は、ボランティアなど積極的に応援して欲しい。会いに来て欲しい。

その応援が僕だけでなく支えてくれるスタッフにとっても政党を続けていくモチベーションになるのは間違いないですから。

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あの人のために

ーなるほど。ではもう少し突っ込んでお聞きします。えらてんさんへ引き渡すときのベストな状況というのはどのような状態だと考えていますか?ー

こればかりは、結果を出していかないと話になりません。でもこうなったらいいな、という夢はあります。

ーもったいぶらずに教えてください(笑)ー

どうしようかなあ(笑)。いや、冗談です。まずは地方議員を何人か輩出している状況でありたいです。出来れば首都圏中心に議員を置いて、ある程度集中した地域での知名度を獲得したいですね。

僕はその時に地方議員2期目くらいをやって、政治家としての力を蓄えた上で、国政に挑戦していけたらと思います。まあ、今のところはただの与太話ですけどね(笑)

ーなるほど。国政で結果を出したところでバトンを渡すとー

まあ理想ですよね(笑)

例えば僕がしょぼい政党の国会議員になったら凄くないですか?それはすなわしょぼい政党が国政政党になるということです。そのタイミングでえらてんさんへ胸を張って議席を渡す、そうなったらめちゃカッコいいですよね(笑)うわー俺カッコいい!凄いっすよね?

ーいや。それ真面目にカッコいいと思いますよー

そうなった時に僕は議員も党首も辞めて、えらてんさんを陰から支える存在として、しょぼい政党に関わっていきたいですね。

もちろん、えらてんさんが望めば党に残ることも考えますが、少なくとも今の僕の役割としては区切りだと思う。

あの人のために。あの人の理想を叶える場を守るために僕は立ってますよ。僕は倒れないですから。それが、しょぼい政党の理念を実現するための最善だと考えています。

ー(インタビュー終わり)ー

インタビューを終えて

与儀大介は、その日終始穏やかな笑みをたたえながらインタビューに応じていた。心の強さ、意志の強さを宿した瞳で真っ直ぐに語るその言葉は、力強く優しい。

しょぼい政党への想い。やうちはるき氏への想い。普段YouTubeで見られるような強気な印象とは違い、心優しい与儀大介という人物像が垣間見えた気がした。そんな気づきがこのインタビューを通じて伝わって欲しい、そう願っている。

<星火2.0-特別号2020.6ー>

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