若手特化型サーキットフェス『若者のすべて』と大塚の町
はじめに
大塚駅南口を出るとすぐに路面電車が走るのが見えた。惣菜屋や八百屋、居酒屋などが軒を並べるサンモール大塚商店街。そんなレトロな雰囲気を残す東京都豊島区大塚で開催される若手特化型サーキットフェス『若者のすべて』。
近年増え続けているサーキットイベント中で『若者のすべて』が持つオリジナリティとは...『若者のすべて』の持つ魅力を代表のしんた∅(愛scream)、かずい(ライムシロップス)に聞いてみた。
インタビュー・テキスト・編集・撮影:高橋響
インタビュー
バンド、お客さん、スタッフの"初めて"でありたいです。『若者のすべて』が何かのきっかけになれば良いなと思います。
左:しんた∅(愛scream) 右:かずい(ライムシロップス)
-まず、イベントタイトルの由来を教えてください。
しんた∅:フジファブリックの「若者のすべて」からとっています。
-なるほど。名曲ですよね。
-代表を引き継ぎながら継続しているイベントと伺いました。詳しくお聞きしても良いですか?
しんた∅:元々は田代さん(Someday's gone、soshaku ex.KOTORI)が始めたイベントで、でもこれに関してはかずいの方が詳しいかな...
かずい:そうだね。最初は田代さんが始めたイベントなんですけど、若い世代のブッカーに代表を引き継いでイベントを続けていきたいって考えてたみたいで...そして今は僕たちが2代目から引き継いで3代目の代表を務めています。
-3代目なんですね。2代目はどなたが代表だったんですか?
かずい:tribeってバンドのスガワラタイシンさんがやってました。
-どういった経緯で代表になりましたか?
しんた∅:去年の9月、大塚Deepaで働き始めたのがきかっけです。そもそも今ブッカーが少なくて...大塚Deepaでブッキングを担当していた人達が就職したりでゴッソリ卒業しちゃったんですけど、そんな中で僕が入ってバンドもやっていてある程度繋がりもあるし、サーキットイベントを主催した経験もあるしで引き継がれました。代表決めの会議をしたとかではなくて、適当に「じゃあお前な!」みたいな感じで(笑)。
-しんた∅さんとかずいさんの事をみんなが信頼しているからこその決め方ですね。代表が2人なのは初めてですか?
かずい:初めてです。
-2人で代表をするのってとても難しいことだと思います。喧嘩になったりはしますか?
しんた∅:割とあります...いやないな(笑)。
かずい:食い違うことは割とあります。
しんた∅:2人でやる楽しさもあれば、難しさもあると思っていて、僕は3月に『さよなら10代』というサーキットを1人で企画して、1人でやることがめちゃくちゃ大変だって分かったから、もう1人ではやりたくない…っていうのはあるんですけど、いざ2人でやるとちょっとしたニュアンスの違いで想像と違う結果が生れちゃって「そうなっちゃったんだ…」っていうのが起きがちです。そこでぶつかったりして2人でやる難しさはあるなと思います。でも1人でやるよりは楽です。
かずい:楽しいしね。
-2人で代表をやる意味ってなんだと思いますか?
かずい:深い意味はないと思ってます。
しんた∅:正直に言うと2人とも最初、代表をやりたくなくて「お前代表やれよ!」とか「お疲れ様です代表!」みたいな感じで押し付け合っていたのですが、今は2人で頑張ろうと強い意志を持っています。
-確かに代表ってなると責任感だったり色々なものが付きまとってしまうので気持ちが重いですよね。しかし2人で代表をやるという選択をしたのはとても素敵だと思います。
-どういうバンドを中心にブッキングしましたか?
しんた∅:『若者のすべて』自体、若手特化型サーキットだから、若手のバンドを多くブッキングしました。下北沢、渋谷、新宿で色んなサーキットがある中、ライブハウスが多くあるわけでもない、みんながよく出演してるわけでもない大塚で『若者のすべて』をやることにすごく意味があると思っています。なんでもそうだけど他とどうやって差別化を図るかが大事だと思っていて、『若者のすべて』はとにかく若手にフォーカスして他のサーキットとの差別化を図っています。
-"若手特化型サーキットフェス"と銘打っているのが分かり易く、差別化もできていてとても良いと思います。他のサーキットイベントに比べて雰囲気はどうですか?
しんた∅:僕も一昨年、去年と出演させて頂いたのですが、他のサーキットとは雰囲気が違うなって毎年感じますね。
-どういう風に違うと感じますか?
しんた∅:良い意味で緩い。
かずい:アットホーム感があるよね。
しんた∅:僕が一昨年、初めて『若者のすべて』に出たときは大塚Hearts+のBarが弾き語りステージになっていて、その前を通ったときに全然面識のないお姉さんが「一緒に歌おうよ!」って言ってきて一緒にGReeeeNの「キセキ」をうたったりしてそういう部分が良い緩さを出しているんだと思います。
-衝撃的な『若者のすべて』デビューですね(笑)。
しんた∅:そうですね(笑)。大人は昼からお酒を飲んでヘラヘラしていて、学生は友達と大塚のご飯屋さん、喫茶店に行ったりだとかその雰囲気がとにかく好きです。道で会った時に声を掛けられる回数も多くて、親密度というか…なんでそうなっているのかは分からないんですけど毎年そうなっていてとても楽しいです。
-『若者のすべて』に込める想いを聞かせてください。
かずい:バンド、お客さん、スタッフの"初めて"でありたいです。「初めてサーキットに出た」「初めてサーキットに来た」で溢れて欲しいし、『若者のすべて』が何かのきっかけになれば良いなと思います。
しんた∅:僕も初めて出演したサーキットが『若者のすべて』で、それをきっかけにバンドマン、ライブハウスのスタッフと繋がれました。その時KOTORI、koboreを初めて見て「こんなかっこ良いバンドがいるんだ...」と刺激になりました。
-『若者のすべて』がきっかけになった人が今、代表をやっているのドラマチックですね。
しんた∅:そうですね(笑)。高校の軽音部に入る前、初めてライブハウス行くってなった時、クラブとライブハウスの違いも良く分からず怖いイメージがありました。ドキドキして地下に降りると大人がお酒を飲んで煙草を吸っていて、臭い、暗い、怖いし...ライブハウスに出演していく中で楽しいってイメージに変わっていきましたが、やっぱり最初は怖かったです。でも大塚のライブハウスは大塚Deepaも大塚Hearts+もフロア以外は明るくて、良い意味でライブハウスっぽくないんです。だから若いお客さんも多いし。
-確かに以前出演した時、若いお客さんがとても多かったです。
しんた∅:若い人も来やすいんです。だから『若者のすべて』をきっかけに「ライブハウスってこんなに楽しい場所なんだ!」って思ってくれたら嬉しいです。
影響を受けたアルバム
●『Present from You』-BUMP OF CHICKEN しんた∅
●『宇宙の果てはこの目の前に』-andymori かずい
大塚スナップ
イベント詳細
日程:2019年8月15日(木)
会場:大塚Deepa、大塚Hearts+、大塚Hearts+ Bar、大塚Hearts Next、大塚MEETS、大塚Welcome back
時間:未定
チケット:前売り¥1,900(+1D) 当日¥2,400(+1D)
出演:愛scream/アイワナビィ/AORA/アトノマツリ/アナタノウタゲ/Arakezuri/Organic Call/尾崎リノ/香西優/CASANOVA FISH/かたこと/果歩/kalmia/Cody・Lee(李)/ココペリドット/コネクリ/SAICO GIRL/the Brave Deer/The Muddies/シゼントウタ/Chante Lyric/SPRINGMAN/soshaku/Damn Drive/テンピエン/ToyJoy/TriP/nee/にしな/灰色ロジック/hikari./Hivari/FANCY GIRL CINEMA/黒子首/mihoro*/メレ/ライムシロップス/rob/youth/yulavie/レイラ/ワヅカ
『若者のすべて』出演者プレイリスト
『若者のすべて』 Twitter
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