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【デュエマ】渋谷構築限定戦環境解説【2023年8月環境】

はじめに&前回まとめからの変化


 施工された殿堂はこのレギュレーションのものとは無縁のものばかり、それ故に環境変化はないと思われましたが、ビクトリーBESTと禁王創来の発売によって有望な新規カードが多数登場、環境に変化が見られました。

 ビクトリーBESTから影響が大きかったのは《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》と《飛翔龍5000VT》になります。


 《武偉》は強力な除去効果と手札補充を持ち、盤面を横に並べることが多いこの環境において、非常に便利な汎用除去札足り得ます。

サムライの化け物。環境への影響大

 《5000VT》はあの《5000GT》の新たな形態であり、ビクトリーBESTによって追加されたもう一つの汎用除去札です。お互いに盤面を横並べしていく展開の多い今環境においては3-4コストで出ることも少なくありません。その様でありながら、当然の如く相手の盤面を一掃していくTブレイカーは、盤面の制圧力に於いて絶大なものがあります。


全体バウンス+召喚ロック。加減しろ莫迦

 禁王創来からは《妖精ミンメイ-1》が僅かながら環境へと影響を与えています。


獅子王基盤の強化パーツ

 このカードと同期の《覇王スカール-1》はアンタップインする多色マナであり、同時に他の役割も持つことができます。これらの登場以前は伝説サイクルしかアンタップインする多色がなかったために、《魔陣》《獅子王》基盤のデッキは、デッキパワーを落とすことを割り切って伝説サイクルを積むか、最速3ブーストを諦めるかを選ばされてきましたが、これの登場によって、受け札やマナ召喚の役割を果たせるカードに置き換えられるため、デッキパワーに向上が見られました。

Tire1

【ゼーロベン】

 現状、ほぼ最強と言っても過言ではないデッキです。デッキコンセプトはオリジナル/アドバンス環境の物に同じく、《ゼーロ》から《グレイトフル・ベン》を投げて、《カル・セドニー》《アルケミスト》と繋いでループ、山札切れを《ブラック・ビッグバン》で防いでそのまま勝ちにに行くデッキです。オリジナル/アドバンス環境と比較した場合には、《ジャドク丸》《デドダム》《ジルコン》を失っているので安定性は低下していますが、《その子供、ウサギにつき》《キユリのASMラジオ》などのパーツは残されているので、安定性は十分に存在しています。
 環境的には、高火力な速攻【B-我】やメタビート【VTガラワルド】が母数を増やしており、それ以外のデッキにもほぼ常に《パルテノン》が搭載されており逆風ですが、《敬虔なる警官》《秩序の意志》《グラン・ギニョール》を搭載して受けを堅くし、《時空の侵略者レッドゾーンX》を活用してビートダウン的な勝ち筋も重視される様になったことにより、落ち込んだシェアを回復させています。


【B-我】

 《龍装聖者”B-我”ライザ》と《”我我我”ガイアール・ブランド》を中軸とした速攻デッキです。2ターン目3ターン目を《カンゴク入道》でリソースを伸ばしたり《チュチュリス》を立てたりしつつ盤面を広げ、4ターン目に過剰な打点を持ち込むデッキタイプです。《ソンクン》《バックラスター》の搭載によって豊富な除去手段を持つため、【ゼーロベン】や【VTガラワルド】にも強気に戦っていけます。最近は受け札として《秩序の意志》が増えたこともあり、《我我我》《B-我》の大型フィニッシャーに頼らず、《GENJI・XX》《ブランド-MAX》の小型クリーチャーによるフィニッシュルートの確立もあって、その勢いに歯止めがかかりません。
 不利が付く【ミスティック繚乱】【蒼龍】は【ゼーロベン】の増加により、現状環境から追い出されつつあるのも追い風になっています。

Tire2

【VTガラワルド】

 【ヘビポ.star】から発展的に登場したメタビートです。青赤型と白青赤型がありますが、基本的には《クリティブ》《テスタ・ロッサ》《曲通風》などの2コストのメタクリーチャーを軸に戦っていきます。基盤は【ヘビポ.star】と同様ですが、《飛翔龍5000VT》の参入によって、対【B-我】性能が大幅に上昇しました。【ゼーロベン】へはほぼ全てのメタが刺さるためかなり有利、今までは不利がついていた【B-我】とも互角に張り合えるようになったため、使用率が上昇、Tire2まで浮上することになりました。
 ただ、《ガラワルド》を引けない限りにおいては手札が細いため、安定性には欠けるところがあります。



【ミスティック繚乱】

 受けデッキ最大手です。《神歌と繚乱の扉》《蒼龍の大地》に、トリガー枚数を水増しできる《護天!銀河MAX》《深緑の魔方陣》を足して、トリガーから《ロマイオン》《ドルファディロム》などを投げつけて盤面を制圧していくデッキタイプです。自分の動きは《地龍神の魔陣》《獅子王の遺跡》を基盤にマナを伸ばし、《幻想と伝承の決断》《ギュカウツ・マグル》で捲っていく形になります。《妖精ミンメイ-2》の登場により、3ターン目の《獅子王の遺跡》3ブースト成功確率がかなり上がっていますが、現状は【ゼーロベン】対策の《DGパルテノン》を押し退けるほどの強みはないので、実際のリストに登場するのは先でしょう。
 環境上の立ち位置としては、かなりの不利が付く【ゼーロベン】の増加と、《神歌と繚乱の扉》《蒼龍の大地》両トリガーが《輝羅》などの効果によって機能不全に陥りやすい【VTガラワルド】の台頭によってかなりの逆風です。一方で、トリガー頼りの不安定さを解消するために、多色偏重の五色デッキであることを利用して《デッド=ブラッキオ》+《プチョヘンザ》による盤面制圧パッケージを搭載した型もじわじわと入賞数を伸ばしています。また、《ドルファディロム》さえ着地できれば、Tire1と2の他のデッキ全てを詰ませることのできる蓋性能の高さは変わっていないので、そこが着地点になります。


Tire3

【蒼龍】

 《蒼龍の大地》を軸にしたコントロールデッキです。基本的には【ミスティック繚乱】の元になったデッキであり、基本的な立ち位置としては向こうの方が歯整形にあたります。彼方がただ出しただけで強力なカードを軸に組まれていることに比較すると、こちらのデッキは強力ではある物の、STとしてトリガーした《蒼龍の大地》から使っても必ずしも強いとは言えないカードも採用される傾向があります。採用頻度の高い物としては、全体除去と単色呪文を止めれる《ドルファディロム》、盤面を除去しつつ広げられる《グレート・グラスパー》などが挙げられます。他には、《神歌と繚乱の扉》を搭載しないので、それの邪魔になる《ウマキン☆プロジェクト》なども搭載されるなど、構築の幅が大きいのも特徴です。
 環境上の立ち位置としては、上位デッキに対しては速度面で見劣りするものの、自由枠の多さを利用した初見殺しによってある程度対処でき、《ニコル・ボーラス》の7枚ハンデスなどのゲームを決められる強力な必殺技を複数構えられる点から、格下のデッキには滅法強く、そこそこ程度の入賞数を稼いでいます。


【連ドラ】

 《竜星バルガライザー》と《紅に染まりし者 王牙》のコンビでひたすらデッキを捲っていくデッキタイプです。足回りには《メンデルスゾーン》と《イザナギテラス》を利用して、催促4ターン目から捲り勝負を仕掛けていきます。ブースト札そのものは《メンデルスゾーン》《ボルシャック・ゾーン》の8本程度しか取られませんが、《イザナギテラス》《Drache der’Zen》を採用してサーチを挟むことで、容易に8マナ域まで達することが可能です。安定性には欠ける物の、成功時の爆発力は高く、また【連ドラ】というアーキタイプそのものの人気と相まって、そこそこの入賞数があります。

【ジャイアント】

 《首領龍ゴルファンタジスタ》を軸としたビートダウンデッキです。オリジナル/アドバンス環境と比較した場合には《チアスカーレット アカネ》がいないことが痛手ですが、メクレイド8そのものは《チアサンライト コハク》で可能なことと、《雲の超人》によるブースト、青緑にすることで採用できる《ドルゲーザ》によるドローで充分に補填できています。速度面で優位を取られている【B-我】相手は受け札の少なさもあって不利ですが、殴ってくるデッキが多い割にパワー25000超えはほぼいないため、《首領龍ゴルファンタジスタ》の攻撃規制能力により、着地さえ出来てしまえば確実に1ターンは獲得できます。加えて、三打点分の即時打点となる《ドルゲユキムラ》も採用されているため、リソース勝負に持ち込めれば何相手でも十分に戦えます。
 ただし、【ゼーロベン】への対抗策は《キャディ・ビートル》程度なので、追加で《DGパルテノン》を搭載したとしても不利が付くのは避けられません。現環境に存在する殴るデッキの中では最も【ミスティック繚乱】【蒼龍】に強気に出られるデッキタイプで、そこが強みになります。

【水決断】

 グッドスタッフ型リソースデッキです。《知識と時空と流転の決断》+《水の魔術師マジックス》の組み合わせでGR召喚を中心にリソース差を広げ、《ドルファディロム》《永遠のリュウセイ・カイザー》を中心に閉めるデッキです。《マーダン・ロウ》などのハンデスや《ホワイトグリーン・ホール》による防御、《ジャック・アルカディアス》による除去など、対応力の高さが売りです。ただ、【ゼーロベン】【B-我】という自分の動きが強いデッキに対しては力不足であり、環境的には逆風です。

【ラッカヘビポ.star】

 《エヴォ・ルピア》+《〈ヘビポ.star〉》を中軸にしたビートダウンデッキです。最速でのキルターンは3と環境中では最も早く、またマジボンバーが主体なことに加え、超次元ゾーンからもドローできる《超次元の王家》や盤面で継続的にドローできる《ガネージャー》などが搭載されているため、ハンデスへと強気に出られるのが特徴です。メタビートとしての主流は【VTガラワルド】へと移っており、今は《ザボンバ》や《ブランド-MAX》、《「鎧」ドライブ》なども搭載して、更なる高速ビートダウンへと組み替えようとしている型も多く見受けられます。

【ヴァリヴァリウス】

 【連ドラ】の派生デッキです。未だ研究中であり、共通していることは2コストでブースト→《ヴァリヴァリウス》を着地、そこからデッキを回していく点及び、フィニッシュにおける《勝熱英雄モモキング》の採用する点などが挙げられます。《メンデルスゾーン》を採用して、3ターン目にヴァリヴァリウスの着地を目指す型、《鬼寄せの術》を中軸に据え、マジボンバーで《イザナギテラス》を展開、能力で《鬼寄せの術》を唱え、軽減込み2コストで《勝熱英雄モモキングを着地させる型などが存在します。【蒼龍】との折衷型も多くあり、区別するのが難しいデッキタイプでもあります。他デッキに対して唯一の強みと言える点は《ミラダンテXII》を積極的に使える点です。《ミラダンテXII》のロックが決まれば、【ミスティック繚乱】を除く大部分のデッキは機能不全に陥るので、それをどう使うかが勝敗の肝になります。

注目株

【青赤サムライ】

 唐突に現れた新進気鋭のビートダウンデッキです。基本的には《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》と《ボルシャック・大和・ドラゴン「開眼」》のコンビで除去しつつ、《モノノフ・ルピア》で楯焼却をしていくのを基本としています。ビクトリーBESTで登場した《タキオンアーマー》と《武偉》《開眼》により足回りが大幅強化され、デッキ全体の速度が高速化、現代環境についていけるデッキタイプになりました。環境上の立ち位置としては、かなりの追い風。【ゼーロベン】【B-我】に対しては2コストの《ボル武者の炎霊》に始まる多くの除去手段を持つため五分以上に戦えます。【VTガラワルド】対面は、除去の多さに加えて、序盤札がクロスギアやタマシードであるために《ガラワルド》や《5000VT》の軽減に寄与せず、パワーラインの問題で《5000VT》のロックをすり抜け、《クリティブ》《オリオティス》以外のメタが刺さらず、トドメにこちらの《ノーブル・エンフォーサー》は相手に刺さる点からかなり有利です。また、殴るデッキに共通する【ミスティック繚乱】への苦手も、《モノノフ・ルピア》のシールド焼却によってかなり軽減されており、そちらへも五分以上に戦えるため、直近の大会での使用率がドンドン上昇しています。

今後のメタゲーム


 環境上の通りの良さから【青赤サムライ】はTire1に到達し、【ゼーロベン】【B-我】と並んで先に揃えた方が勝つ三強を形成するでしょう。なので、そこにどれだけメタを張れるかが今後の環境を生き残っていく上での大きな点になるでしょう。上位のデッキは全て《ミラダンテXII》が有効に機能するため、それを自然に使える【ヴァリヴァリウス】系列のデッキが上がってくる可能性は充分にあります。また、横展開デッキがさらに増えたので、これまで以上に《DGパルテノン》や《リツイーギョ》などが重要な環境になるでしょう。

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