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1993年生まれ。会社員です。 詩や小説、エッセイを書いたり、写真を撮ったりしています…

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1993年生まれ。会社員です。 詩や小説、エッセイを書いたり、写真を撮ったりしています😊好きなアーティストはジャン・コクトー、寺山修司、ソウル・ライター

最近の記事

【詩】Home

わたしは家なき子だった 家がなかったから 大人になってからも 帰る家をずっとずっと探していた 幼い頃 土曜の夜は映画館へ行き 暗闇のなかにいるのが幸せだった グレタ・ガルボや ジーン・ハーロウは わたしの憧れの人だった 彼女たちは暗闇で やさしくそっとなぐさめてくれた いつしかわたしも スクリーンの中の憧れの人に なりたいと夢見るようになった 純白のドレスをまとい スポットライトを浴びたときの 喜びは一生忘れない 有名になった お金持ちになった みんなから拍手さ

    • 【詩】怪物

      わたしやあなたの海底に しずかに 息をひそめる 小さな怪物 怪物の呼吸は しずかなる咆哮  咆哮の波紋は 内なる秩序を取り崩し 夜明け前の闇夜で すべてを満たす 怪物と夏の宵の 樹木の下で 手と手を繋ぐ 手と手は 闇夜の宴でしずかに とけあう

      • 【今日の1枚】街灯

        雨に濡れる街灯

        • 【今日の1枚】シャーロック・ホームズとサラリーマン

          シャーロック・ホームズの世界に 没入するサラリーマン。 帰りの電車にて。

        【詩】Home

          映画「ケイコ 耳を澄まして」を観て

           小刻みで、まるでパーカッションのような軽快なテンポでジムに響くミット打ち。高架橋の下で電車の走る音に耳を澄ますケイコ。寡黙にして雄弁な映像美。映画「ケイコ 耳を澄ませて」は去年観た邦画のなかで一番良かった作品である。    プロレスがそうであるように、ボクシングもひとつの時代の象徴なのだろうか。終わりのはじまりだとすれば、また新しいはじまりの萌芽がいつかどこかで生まれるのだろうか。闘う人がいる限り、その萌芽は消えることはない。  闘う人の背中は、語らずとも哀愁に満ち、孤独

          映画「ケイコ 耳を澄まして」を観て

          【詩】流転

          村の谷間にひとりの少女が ひっそりと住んでいた 長い悠久の歳月を 龍神様とともに 龍神様は毎晩少女の唇に 滝の水をそっと移し 生命の瑞々しさを愛でた 少女の長い艷やかなな髪の毛は 生命そのものであった 少女は谷間から見える 空の青さだけしか知らなかった もっと近くで群青の空に 包まれたいと願った だが、龍神様は少女が谷間から 出ることを激しく拒んだ 少女が意思を持つことを 固く許さなかった 龍神様の怒りは 雷と滝の水を溢れさせ 少女を闇深き洞窟へ 押し込めた

          【詩】流転

          【今日の1枚】無題

          【今日の1枚】無題

          アナログは永遠だ 

           「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より(中略)頭の中のほうが広いでしょう」と言った。  夏目漱石の「三四郎」に出てくる広田先生のことばである。  はじめてスマホの青空文庫で「三四郎」を読んだ。作品自体は面白かったが、どうも欠落感が拭えない。    広田先生のことばの厚みと読み終えた後の充実の厚みが全然違う。別に夏目漱石のせいではない。  島崎藤村の「破戒」もスマホで読んでみた。瀬川先生の葛藤と絶望を描いた名作であるが、このときの読後感も「三四郎」を読み終え

          アナログは永遠だ 

          【今日の1枚】朝焼け

          朝焼けに染まる大濠公園の静けさ

          【今日の1枚】朝焼け

          【短編】瓦礫

           本棚に、一際古びた表紙の本を見つけた。永井荷風の「四畳半襖の下張」というタイトルの本である。タイトルを読んだわたしは、胸のうちにしずかなさざ波が広がったような気がした。  その本はカラフルな付箋がバーコードのようにたくさん貼られていた。他の本にはなにも貼られていないのに、なぜこの本だけ。手の垢、本の傷からして大切に何度も手に取られているようである。    厳格で寡黙な父がなぜこの本を大切に読むのだろう。付箋が貼ってあるページには棒線まで引かれてある。  「雪のやうなる裸

          【短編】瓦礫

          【今日の1枚】ある午後のひととき

          お店の前で物思いにふけるマスター

          【今日の1枚】ある午後のひととき

          【詩】灰色のワルツ

          手帖に刻まれし在りし日の面影 夜のまばゆい煌めきの下 ワルツを踊った恋人たち いつまでも わたしのこころに刻まれた 儚きうたかたのワルツ ひとり、またひとりと 恋人たちは舞踏会の手帖から いなくなっていった 寒夜の灯火にほのめく 暗闇のワルツ 世界に打ちひしがれる男たち 狂気 殺人 強盗 でも、あなただけは生きていた あなたは生まれ変わり 永遠の人となって わたしの前に現れた あなたはワルツを知らない 今度はわたしがあなたを エスコートする番 星の瞬く音を聞きなが

          【詩】灰色のワルツ

          【今日の1枚】ある雨の日

          公園の一隅に置かれてある、雨に濡れた仏像

          【今日の1枚】ある雨の日

          【今日の1枚】無人の敷地

          無人の敷地から垣間見る朝の光

          【今日の1枚】無人の敷地

          【詩】憧憬

          いつも遠くから聞こえる ピアニッシモ いつも遠くからみえる あわい光 光の中から音がする ド・ミ・ソ 灼熱の輝きと 漆黒の闇のなかで なつかしむ

          【詩】憧憬

          【今日の1枚】花とひと

          【今日の1枚】花とひと