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現在の量子コンピューターを使って資産ポートフォリオをAIで最適化してみる

量子コンピュータ開発の現状と金融業界へのインパクト


本格的なレビューに入る前にまず、量子コンピュータ開発に関する現状について簡単に整理したい(詳しくは"量子コンピュータの現在とこれから"を参照)。現在開発が盛んに進められており、数年以内の実用が期待されている量子コンピュータはNISQ デバイス(Noisy Intermediate-Scale Quantum device)と呼ばれ、誤り訂正機能がなく、qubit数は100~200程度である。NISQで実行できるアルゴリズムは限られており、例えば100桁程度の大きな素数の素因数分解は実行できない。NISQではない、誤り訂正を実装した“真の”量子コンピュータも開発が進められているが、その実現は少なくとも20年以上後になると考えられている。

現時点では、NISQデバイスの金融業界の実務への有効な応用はあまり提案されていないというのが現状と言える。金融業界へ大きなインパクトがあると考えられるのは、やはり誤り訂正機能のある量子コンピュータであり、本記事でもそれをレビューしていく。もちろん、NISQ量子コンピュータの実現が間近に迫る中、世界各国でNISQ応用に関する研究開発が加速しており、NISQの金融実務への応用に関しても最新の研究の進展に十分に注意する必要があると思われる(例えば量子化学においては、従来の位相推定アルゴリズムに変わってVQE=variational quantum eigensolverが提案され、一気にNISQ応用が現実味を帯びるようになった)。

アニーリングマシンの金融業界への応用提案としては、

・(取引量を離散化した)ポートフォリオ最適化

・裁定取引サイクルの検出

などがあり、実用に向けた開発が進められている。

高速化される可能性のある具体的な実務
誤り訂正のある量子コンピュータを用いると、具体的に以下のような金融業界の実務が高速化ができると提案されている。

1. ポートフォリオ最適化

2. デリバティブの価格付け

3. リスク量の計算

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