0303

布団に入り、窓から見える月が明るいことに気がつく。寒いけれど、網戸にして月光を浴びてみる。
中学生の頃もよくこうやって月を眺めながら眠りにおちていたな。あの頃から少しも大人にはなっていない。年齢だけが重なって、シャカイの基準では大人になっても。何一つ変わらないのに求められることはどんどん増えていってなんだかずっとおいてけぼり。感じることも何ひとつかわらないまま、また月をぼんやり眺めている。流れ込む冷気がさっきまで焚いていたお香の煙をゆっくり流していく。青白い光と少し丸みを帯びたような冬の終わりの風が悲しくて心地よい夜。

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