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#ファンタジー 第31話カロン動物園へ行く〜エンジェルさんの秘密〜(その4)

何処ともなく美しい女性が現れて、

笙を吹き始めました。

今までの音楽とは打って変わり、とても荘厳な曲が響きました。

美しい女性が演奏している間に、

ポツポツとお星様たちは、天へ帰って行きました。

子供達は、天へ帰って行くお星様たちを見送ったり、あまりにも美しい笙の音色とその奏者にぼーっとしたり、

しみじみとした雰囲気の中で、

シロクマくんとペンギンさんたちは、子供たちに"さよなら"を告げずにそっと 去って行きました。

その子供たちの中に、

一人だけエンジェルさんをじっと見つめている男の子がいました。

エンジェルさんは、突然 閃きました。

"あの子を連れて行かなくちゃあ!"

エンジェルさんは、向こう見ずに窓から外へ飛び出そうとしました。

それを止めたのは、赤い風船さんでした。

そして、長い糸の付いた赤い風船をエンジェルさんに手渡しました。

エンジェルさんは、にっこり微笑んで、その赤い風船を受け取って、

あの少年のところへ下降して行きました。

シロクマくんも赤い風船さんもとても穏やかな表情でその後ろ姿を見送っています。

エンジェルさんは、男の子のそばに降り立つと、

その赤い風船を手渡しました。

男の子は、赤い風船を手にすると、嬉しそうににっこりしました。

エンジェルさんは、

その男の子の左手をそっと握って、

ゆっくりと天へと上昇しました。

男の子は、少しも躊躇せず エンジェルさんと手を繋いで、右手には、しっかりと赤い風船を、持って上昇していきました。

パレードから男の子が、一人抜けてもだあれも騒ぎません。

そして、また別のビルの窓から、天使が舞い降りて、

違う幼児を連れて天へと上昇しました。

その天使は、その幼児にクマのぬいぐるみを手渡しました。

このように、

次から次へと
別の天使が舞い降りては、子供を一人連れて天へと上昇していく様子が続きました。

その間もずっと美しい女性は、笙を吹いて荘厳な曲を奏していました。

かなり時間が経って、

沢山いた子供たちは だあれもいなくなりました。

皆、エンジェル達に連れられて天へと上昇したのです。

子供達が皆天へと昇ったあと、

その女性は、笙の演奏を終えて光の粒となって消えて行きました。

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