第3章 カロンと少女
第3章 カロンと少女
これから始まる物語は どこが舞台なのかいつ頃のことなのか全く謎なのです。
では完璧なでっち上げなのか?
その通りです。
物語というものはなまはんか事実なんかを織り交ぜると逆に面白みも欠けてつまらぬものになってしまいます。
皆さんはどう思いますか?
物語の作者である私は、多大なる妄想家であり、無い物ねだりのわがまま奔放の気質です。
その上困ったことには、そのデタラメな物語の世界、これこそが真実であると信じているのです 笑
それでは前置きはこのくらいとして、物語の幕を開けましょう!
ここで問題発生するとしたら、カロンシリーズの第1章と2章を読まずにこの章から読まれる方には多分ちんぷんかんぷんだと思います。
なるべくなら第1章から順に進めて下さることを切に願います。
〜第1話 カロンと少女とママと〜
ママは台所でスープを作っています。
あれっ? ママは 14歳になったんじゃあなかったのー?
それはM空間にいる時だけなのです。N空間に戻ると また元の年齢に戻ります。
カロンはママの頭の上で眠っています。
ママは木ベラでお鍋の中をゆっくりとかき混ぜながら物思いにふけっています。
スープの中の渦巻きをじっと見つめていたママは、次第にその渦の中へ中へと意識が向かい、
その渦の向こうに何かが見えて来ました!
ほら、みんなも見えて来たでしょう。
あの少女!
断崖絶壁の高いところに立っています。
キラキラと光の粒が少女の周りを舞っています。
ママが吸い寄せられるようにその光景を見ていると、
少女は 空を仰ぐようにママの方を見上げました。
"エ〜ッ なに?! あの娘 こっちを見ているよ❗️"
ママは焦って心の中で叫びました。
すると、
少女は 落ち着いたしっかりとした声で、
「ママ、そんなに驚かないで! 私に力を貸して欲しいの❗️」と、熱い眼差しでママを見つめながら言います。
「あなたは、ランさんの魔女図鑑の女の子にそっくりね! でも、どうして私のことを知っているの?」
「それは、あなたはあのママですもの! 知らない人なんかいないわ❗️」だって・・・
そして、
「ああ、やっとママに気づいてもらえた! でも 時間がないから、大切なお願い事だけを先にしますね」と続けて、少女は、両手を合わせて
「ママ、あなたのカロンをしばらくの間、私に貸して欲しいの!」と懇願します。
ママは、
「えっ⁈ カロンはあなたと一緒ではなかったの⁇」と聞くと、少女は
「違うの、カロンはママの所からこちらへ送られて来るのよ! 今、私たちの星はとても危険な状態にあるの、、ママの協力がなければ大変なことになるの!」
と興奮して答えました。
ママは、
「ちょっと待って❗️ つまり、過去と未来がつながっているってことなの?」
少女は、
「あなたはママでしょう? それなら、なんでもわかっているはずよ!」と、真剣な眼差しで言いましす。
そんなこと急に言われても困っちゃいます・・・ママの頭は大混乱です。
とっさに楳図かずおさんの"漂流教室"を思い描きました。
猛烈な速さで、今まで作動していなかった脳が急に働き出したような感覚です。
ママは、
「分かったわ、でも カロンをどうやったらそちらへ送れるのかしら? 実は、今 あなたは、私が作っているスープの中に映っているのよ❗️」
「ママ、ありがとう! さすがママね! カロンは、私が呼べば こちらへ来てくれるから大丈夫よ! しばらくの間、ママは カロンと離れるけど、会いたくなればいつでも会えるわ、、じゃあ、ママ、ちょっとだけ目を閉じていてくれたら、一瞬でカロンはこちらへ移動できるわ、また必ずカロンに会えるから寂しがらないでね❗️」
ママは、鼓動を感じながら
木ベラを両手で強く握りしめて 目を閉じました。
すると 少女が言った通り、カロンは忽然と姿を消しました!
でもカロンの温もりがまだ残っています。
ママは、そっと目を開いて鍋の中を覗きました、するとあの少女の画像は消えてしまっています。
あの少女の星の人々を助けることができるのなら喜んで協力しようとママはさらに決意します。
これはきっとカロンの意思でもあるはずです。
だからカロンはなにも言わず迷わずに少女の世界へ飛んだのです。
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