魔法の言葉
世の中には魔法の言葉が存在する。
その言葉は大半の人を納得させることのできる言葉。
そして、それ以上何も言わせないようにできる言葉。
私はこの言葉を幾度と無く使った。
これを言えば大人は「そうか」と、納得し、私の考えを尊重してくれることを知っていたから。
「いい経験ができた。」
「悔いはない。」
「次を見ている。」
言葉はその時々で変わるけど、だいたいこういったことを言えば納得してくれる。
今日もまた
「行って良かったと思ってる」
と、言った。
昔の相手への反撃を阻止するために発したものでは無く、本心としてすんなり口から出た言葉だった。
行って良かったと思ってる。
本当に。
行かなくてもそれはそれでお金もかけず学べたのかもしれない。
違うことでお金を使えたのかもしれない。
けれど、その“かもしれない”なんてわからない。
選んだ道では無くて、その道をどう歩むかが肝心なんだ。
「行って良かったと自分が思うのなら、それは良かった。」
やっぱり魔法の言葉だった。
しかし、それは嘘偽りない真っ直ぐな言葉となった。