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『プロメア』の感想を書きますけど
ネタバレとかないから安心しろ若者よ。

まあ、物語とか戦いのシーンがっていうのは
まあ、みんなに任せた。
僕は見ていて「すげえなあ」と感心かつ関心しきりだったことを
書こうと思うのですね。

端的に言えば
「すべてが演出のためにある」という作りなんですよ。
たとえば、キャラクターも物語もオブジェクトもメカも
それぞれがちゃんとたっているし、意味があるし
「こうなっているんだろうな」という余地があるんだけど
そこが語弊がありまくりですけど、主ではないんですよね。
ここ最近のアニメとかってやっぱりロボが主役じゃなきゃとか
かわいい子がどうとか、どの層が見るかとか
物語を見せて……とかあるんですけど
そうではなくってアニメたる画とアニメたる演出のために
それぞれの魅力がしっかりと引き立っているということなんです。
なにが主軸なのかってなると、物語もキャラもオブジェクトも
あるでしょうけど、「アニメであること」が主軸なんですよ。
こんな潔いアニメを久しぶりに見た。

これは本当に手綱捌きが惚れ惚れするほどで
そこに一役担っているのが「幾何学模様」と「色」なんですよね。
最初から最後まで、画面のどこかに必ず幾何学模様と、あの色があることで
起伏に富んで、言葉は悪いけど無理も承知がある物語を違和感なく
画として見続けられる。
色、と書いたけども、実際には光の表現も非常に考えられているし
ここでこう見せて、あそこでは、こう見せるか!っていう
毎カット「なるほどねえええ!」と唸っておりました。
もう少し言えば、観客の意識への刷り込みがキャラそのものや
単なる感情移入や、物語ではなく画面のただ単なる演出である
幾何学模様と光だっていうのは本当にシビれるというか
若干、これはもう発明なのでは?(そしてトリガー以外できないのでは?)
と思うほど。
……まあ、実際には他のアニメや実写映画でも「共通するモチーフ」を
入れ込むのはあるんだけど、そこを一個レベルアップさせた気はする。
こと、日本のアニメにおいては。

で、最大のポイントは
「スパイダーバース」と絶妙なシンクロニシティをしていること。
正直、めちゃくちゃ失礼な話だけども
「スパイダーバース」を見たときに「プロメア大丈夫だろうか」って
思ったんですよね。
画の色味とか見え方とか、これと比べられちゃうんじゃって。
でも、驚くくらい昨今のアニメというものへの
「米国のアンサー」と「日本の解答」であり、これは比べるものではなく
両方とも褒め称えられるべきだし、まったくもって「俺は間違ってた」と
土下座のような気持ちになったわけですよ。
ごめんなさい。

これは本当に言ってしまえば
「シン・ゴジラ」を見たときの感覚に近くて。
あれは、特撮を信じてた人たちの映画だと思うんです。
大人の事情も、なんか理屈をこねる人もいたと思うんですよ。
でも、大好きな特撮を信じた。
「プロメア」はアニメを信じたんだと思うんです。
過剰な表現ではなく、妙な思想でもなく
理論先行でもなく自分たちが好きで面白くて
表現したいアニメを信じたんですよ。
そりゃ、もう理屈じゃねえじゃん。
理屈抜きで画面に没頭して、一歩引いてみるなんてことしないで
もう、その世界を味わえばいいじゃないっていう気持ちで見るべきアニメ。
それなんですよね。これは。
このアニメは、このアニメがそうだったように
もはや「伝統芸能」となったものをバージョンアップさせたものなのだから
本当に大正解すぎて、ちゃんと楽しむべき作品ですよ。
本当に。

ちなみに、物語のことも書こうと思ったんですけど
俺が真面目に書いてもねえ。

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