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ありがとう、ボス(#101)

遂にこの時が来てしまった。

数日前から噂が飛び交っていたが、横浜F・マリノスの監督であるアンジェポステコグルー(通称、ボス)の退任が正式にリリースされた。

リーグ戦中断期間での退任。
ボスにとっては「栄転」と言っていいでしょう。

今回は、ボスが着任してからの横浜F・マリノスの歩みを振り返りたい。

振り返ると言っても、
ボスのサッカーがどのようにチームに根付いたか
ではない。

それは、私よりも戦術に詳しい方がたくさんいるのでその方のブログ?note?Twitterなどを追っていただきたい。

あくまで、「いちファンとして」、どのようにチームを見てきて今に至るのかを書こうと思う。

もちろんWikipediaに沿ったものではつまらなく、メモもなく記憶頼りのため、多少間違っている情報もあるだろうことはご容赦頂きたい。

※移籍情報は以下のサイトを参考にさせていただきました。

最後に指揮したリーグ戦

まずは、直近、5/30に行われたホームゲームがリーグ戦最後の指揮となった。

明治安田生命J1リーグ 第17節
横浜F・マリノスvs清水エスパルス
2-1 勝ち

開始フォーメーションは岩田智輝と渡辺皓太を中盤に置いた、今までの喜田・扇原ペアからの変更。
試合内容は省くが、終始攻め続け最後の最後に勝ち切る、マリノスのコンセプトである「アタッキングフットボール」を体現した試合となった。

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2018年〜就任1年目〜 悪夢の降格争い

就任1年目。
「なんかいかつい外国人監督だな」
くらいの感想しか持たなかった。
(…すみません)

だが、ボスの指揮する試合を初めてスタジアム観戦した時に、あまりのハイラインディフェンスに呆気を取られた。

当時正GKであった飯倉大樹(現ヴィッセル神戸)の位置がペナルティエリアよりも大きく前に出ており、GKがドリブルするシーンもあったことから「飯倉チャレンジ」という言葉も生まれ、チームのスタイル自体を揶揄されることもあった。

GKのポジショニングミスからゴールがガラ空きとなり、GKの頭を超えて為すすべもなく無人のゴールへ吸い込まれるシュートを幾度となく観てきた。

当時のJ1には自チーム攻撃時にGKが高い位置を取り、攻撃のパス回しに積極的に参加するチームは少なかった。

それでも、ハイラインのディフェンスを維持し、ショートパスを多様しながら圧倒的なボール支配を意図した特異なスタイルを貫いた。

手も足も出ず完敗するゲームもあれば、勝手に自滅してただ負けただけのゲーム、やりたいことが少しは出来て勝てたゲームもある。

一筋縄では行かない試合が多く、良くも悪くも観ていてエキサイティングなゲームが多かったことは間違いない事実だった。

気付くと、ボスのサッカーに魅了されていた。

ただ、結果だけはまったく付いてこなかった。
そのため、このシーズンは降格争いに巻き込まれることになった。

一方で、チーム及びボスは、シーズン途中から着々と
「チームのコンセプトに合う選手」
を獲得し始めていた。

シーズン途中に獲得した選手は以下の通り。

○久保建英(現ヘタフェ)
 ※FC東京からレンタル移籍
○畠中槙之輔
 ※J2東京ヴェルディから完全移籍
○チアゴマルチンス 
 ※当時レンタル移籍、現完全移籍
○ドゥシャン(現徳島ヴォルティス)
 ※完全移籍
○オリヴィエブマル
 ※完全移籍

今でもマリノスの守備の中心となる、畠中槙之輔とチアゴマルチンスをこの時に獲得した。

チアゴマルチンスは獲得後すぐに試合に定着したが、畠中槙之輔は翌シーズンからスタメンとして定着することになる。

2019年〜就任2年目〜 15年ぶりのリーグ制覇

就任2年目、リーグ開幕戦。
敵地、パナソニック吹田スタジアム。
この試合は現地観戦をしていた。

開始1分も経たない時間帯。
いきなりパスミスをかっさらわれ先制点を許す。
「んぁぁーーーーー!」
いきなりのしょうもない失点に叫ぶとともに、笑いしか出なかった。
「自滅して失点て、去年と何も変わってないじゃん!!」
そう思っていた。

だが直後の2分に同点ゴールを叩き込み同点に追いつく。
ミスから2失点を喫したものの、最終的に3-2で勝利。
とにかくハラハラ・ドキドキする試合展開でとても楽しむことができた。

終わった頃には
「今シーズンもなんか楽しい試合が増えそうだぞ!」
そんなワクワク感の残る試合だった。

2019年は最終的にリーグ制覇を果たすことになる。

シーズン当初から就任1年目にいた既存のメンバーのみでなく、積極的にチームのスタイルにあった選手を獲得していった。

※※※
以後、移籍情報は独断と偏見でピックアップした主な選手しか挙げてません。
※※※

主な放出選手
〜シーズン当初〜
○中澤佑二 
 ※引退
○中町公祐
 ※ZESCOユナイテッドへ完全移籍
○久保建英
 ※FC東京へレンタルバック
○山中亮輔
 ※浦和レッズへ完全移籍
○ウーゴヴィエイラ 
○オリヴィエブマル
○伊藤翔(現横浜FC)
 ※鹿島アントラーズへ完全移籍

〜シーズン途中〜
○三好康児
 ※川崎フロンターレへレンタルバック(後に海外移籍)
○天野純
 ※ロケレンへ完全移籍
○飯倉大樹
 ※ヴィッセル神戸へ完全移籍

主な加入選手
〜シーズン当初〜
○和田拓也
 ※当時サンフレッチェ広島からレンタル移籍、現完全移籍
○エジガルジュニオ(現Vファーレン長崎)
 ※レンタル移籍
○ティーラトン
 ※当時レンタル移籍、現完全移籍
○マルコスジュニオール
 ※完全移籍
○李忠成
 ※浦和レッズからの完全移籍
○三好康児(現アントワープ)
 ※川崎フロンターレからレンタル移籍
○朴一圭(現サガン鳥栖)
 ※当時J3からJ2に昇格したFC琉球から完全移籍
○広瀬陸斗(現鹿島アントラーズ)
 ※当時J2徳島ヴォルティスから完全移籍

〜シーズン途中〜
○マテウス
 ※名古屋グランパスからレンタル移籍
○渡辺皓太
 ※J2東京ヴェルディから完全移籍
○エリキ
 ※レンタル移籍
○伊藤槙人
 ※J2水戸ホーリーホックから完全移籍

このシーズンは、チームの顔である中澤佑二の引退と中町公祐の退団というチームにとって大きな出来事もあった。

栗原勇蔵はまだ残っていたが、試合に出ることは少なく、誰がチームの柱になれるか問われるシーズンでもあった。

しかしそんな心配はどこへやら。
喜田拓也が見事なキャプテンシーを発揮し、大津祐樹(現ジュビロ磐田)がサブメンバーでありながら、チームを盛り上げた。

チームの雰囲気はとても良く、シーズン途中で天野純と三好康児を、彼らの挑戦となる海外移籍のために快く送り出した。

さらに、昨年までマリノスの正GKであった飯倉大樹も完全移籍で放出した。
朴一圭がレギュラーを奪ったことで控えに回り、「もっと試合に出たい」という意志とヴィッセル神戸からのオファーとがうまく噛み合った。
長年チームに在籍した選手の退団は寂しいが、選手個人のためにとってプラスになると選択したのであれば、今後も拍手で送り出そうと思う。

シーズンを通して長期離脱の怪我人が出たら的確な補強を行い、スタメンも頻繁に入れ替わり、選手はまさに総力戦。

夏場に3連敗を喫し優勝争いから脱落しそうになるも、8/24の第24節から12/7の第34節(最終節)まで11戦無敗。

選手のみでなく強化部やフロント、さらにはサポーターを盛り上げるためのグッズ販売やSNS運営など、まさにクラブに関わる全員の力で掴み取ったリーグ制覇だった。

現に、
シーズン開幕戦のスタメン

優勝を決めた最終節のスタメン
で同一の名は、以下の5名のみ。

 チアゴマルチンス
 畠中槙之輔
 喜田拓也
 マルコスジュニオール
 仲川輝人

途中加入の選手もチームにフィットし、
「マリノスファミリー」
という、今につながる土台が作られ、シーズンを通してチームが成長していくのを実感しながら過ごした1年でもあった。

またこのシーズンは偶然にも、今では他のチームも似たようなことをやっているチームの裏側に迫る企画、
「THE DAY presented by WIND AND SEA」
が始まり、シーズン開幕からリーグ制覇を掴み取るまでのチームの様子を観ることができる。
※今シーズンは恐らくコロナ禍の影響もあり、更新が止まっている

とにかく全てにおいてすべてがうまく行き、充実した素晴らしいシーズンとなった。

2020年〜就任3年目〜 クラブ初のACL決勝トーナメント進出

ACL挑戦に向け、シーズン当初から大きな補強をした。

主な加入選手
〜シーズン当初〜
○水沼宏太
 ※セレッソ大阪から完全移籍
○オナイウ阿道
 ※浦和レッズから完全移籍
○實藤友紀
 ※当時J2アビスパ福岡から完全移籍
○梶川裕嗣
 ※当時J2徳島ヴォルティスから完全移籍
○オビパウエルオビンナ
 ※流通経済大学から加入
○仙頭啓矢(現サガン鳥栖)
 ※京都サンガFCから完全移籍
他にも多くの選手を獲得し、当時J2のチームから計6人を引き抜いた。

〜シーズン途中〜
○高丘陽平
 ※サガン鳥栖より完全移籍
○ジュニオールサントス(現サンフレッチェ広島)
 ※柏レイソルよりレンタル移籍
○前田大然
 ※松本山雅FCよりレンタル移籍(実際はマリティモからレンタル移籍)、現完全移籍
○小池龍太
 ※ロケレンから完全移籍
○天野純
 ※ロケレンから完全移籍

主な放出選手
〜シーズン当初〜
○ドゥシャン
 ※当時J2徳島ヴォルティスへ完全移籍
○マテウス
 ※名古屋グランパスへレンタルバック
○広瀬陸斗
 ※鹿島アントラーズへ完全移籍
○李忠成
 ※J2京都サンガFCへ完全移籍
○栗原勇蔵
 ※引退

〜シーズン途中〜
○エジガルジュニオ
 ※J2 Vファーレン長崎へレンタル移籍
○朴一圭
 ※サガン鳥栖へレンタル移籍
○仙頭啓矢
 ※J2京都サンガFCへレンタル移籍
○遠藤渓太
 ※FCウニオン・ベルリンへレンタル移籍

リーグ制覇とACL制覇を目指し、2チーム作れる選手層を揃え始まったシーズン。

しかしうまくフィットしなかった選手も多く、J2からシーズン当初に引き抜いた6人のうち、今マリノスに残っているのは實藤と梶川の2名のみ。

また、コロナ禍の影響で例年とは異なる異例のスケジュールとなり、週2試合を消化しながら22連戦行う破壊的スケジュールの前にリーグ制覇もACL制覇も逃した。

しかし、クラブ史上初のACL決勝トーナメント進出を果たし、クラブの歴史に刻まれるシーズンとなった。

また、若手の頃にマリノスに在籍していたものの結果を出せず退団した水沼宏太が、セレッソ大阪から完全移籍として再加入したのは大きな出来事だろう。 

中澤佑二や栗原勇蔵など今までチームの顔だった選手が抜け、喜田拓也がユース上がりの生え抜きとしてキャプテンシーを発揮してチームを支えていたところに、同じく生え抜きの水沼宏太が戻ってきたことは、水沼宏太がキャプテンをやらないとしても、喜田拓也にとって精神的負荷を軽減させることができたのではないかと考えている。

2021年〜就任4年目〜 まだ優勝への希望は残っている

そして迎えた今シーズン。

開幕戦は3バックの布陣を試し川崎フロンターレに完敗するも、それ以降は好調を維持し、現時点でリーグ3位に位置している。

昨日の天皇杯、Honda FC戦が事実上のボスのラストマッチとなった。
Honda FCにはPK戦で破れ、俗に言う「ジャイアントキリング」をされた。
ボスを送り出す最後の試合は勝って送り出したかったところだが仕方ない。

リーグ制覇に向け、再度、気を引き締めて戦ってほしい。

3年半、今までありがとう。
We love our BOSS!

2018年シーズンから2021シーズンの今まで、3年半、ボスのサッカーには魅了されっぱなしでした。

就任当初、降格争いしてる時はネット上でも「早く解任すべき」と唱えるような人もいました。

それでも、わたしはずっとボスのサッカーが好きでした。
とにかくボールを保持して、動いて、動かして、足を止めない。
観ていてとてもエキサイティングで、最上級のエンターテイメントだと思ってます。

特に、2019シーズン夏場の3連敗からの追い上げ。
あの期間はホントに楽しくて楽しくて仕方ありませんでした。

わたしがマリノスを本格的に応援し始めたのは2017年からなので、もちろん、優勝を経験したのは初めてです。

優勝ってこんなに嬉しいものなのか。
名前も知らず話したこともない人が数万人とスタジアムに集まり、一緒にゴールに一喜一憂できる楽しさをボスから学びました。

「攻めて攻めて攻め倒す」

得点差があって勝ちがほぼ決まっているような試合でも、次の得点を取りに行くチームを観ていて、とても誇りに思います。

ボスのサッカーをマリノスで見れなくなるのは寂しいですが、ボスの次なる挑戦を応援します。

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