風景

山あり谷ありの人生。谷底で見出した希望は、痛みを伴いながらも、美しいものだった。

「この景色をあなたも観ていたなら、どんなに素敵だろう」

ひとそれぞれ違う景色をこころのなかに持っている。

谷底の記憶も薄れかけた頃に、あなたは少し話してくれた。

見てきた景色は違うけど、あなたの歌はそこにいるひとたちを響き合わせ、同じ時間を過ごしている。

言葉を少し交わした帰り道、思い出した景色はまだ少し痛みを伴うけれど、繋がれたようなあたたかい余韻に今は浸っていたい。

気が付けば懐かしい風が吹いていた。