出さない手紙

だれかに想いを打ち明けたり、感謝や謝罪の気持ちを伝えるとき、口では伝えきれないからとメールや手紙を書くことがある。

自分の気持ちをことばにしてみると、どんなに強い想いがあっても軽く見えてしまったり、逆に重くなり過ぎてしまったりと、自信を失ってしまう。

夜中に書くと感傷的になってしまうからと、必ず書いたものを午前中に確認してみる。特にメールは注意。手紙は考えるほど内容がシンプルになっていくからまだましだけど、夜中に打った長文のメールは見れたものじゃない。

そうやって確認ばかり繰り返して渡せないでいる手紙。そろそろ自分の手元から離れてほしいけど、結局捨てることはできなかった。

出さないと決めた代わりに、今別の文章を書き始めた。伝えたいことは変わらないけど、なにかが終わるか、あるいはなにかが動き始めることを期待して。