失って得るものは

喪失体験と向き合うことの重要な成果は、新たなアイデンティティの獲得にある。これは、僕が学生時代に学んだ重要なことの1つです。

人生において、誰しもが大切なものを失う経験をします。仕事や健康の喪失、大好きな人との別れ、死別…。これらは心身の健康に危機的な影響を及ぼしかねません。

しかし、何が起ころうとも、僕たちはその出来事が自分に与える影響を自分自身の中で選択することができます。刺激と反応の間にある、ブラックボックスというやつです。

どう感じるかは自分次第だと、勇気を持って認めることができれば。
1つ出来事というよりも、過程であると考えを変えることができれば。

僕たちは哀しい経験からでも意図的に何かを学ぶことができます。

大切なのは急がないこと。僕たちはいつの間にか、自分で自分を急かす癖がついています。しかし解決に時間を要することもあります。時には待つことも必要です。向き合うのが辛いことは、向き合えるまで置いておく。説明できないことを慌てて説明しすぎない。もっと素直に「今はできない」「わからない」と 言ってもいい。

はじめに喪失体験は危機的な影響を及ぼしかねないといいましたが、同時に新たなアイデンティティの獲得の機会でもあるんです。つまり、経験に対してどうのような反応をするか、自らが下す決断の問題と捉えることができます。どんな状況に置かれても、必ず自分にできる何かがあるんです。