緊急ではないが重要なこと

私はスケジュールを作る際に気を付けていることがあります。それは、緊急ではないが重要なこと、つまり長期的に考えて優先されるべきことを最優先にすることです。時間をどうやりくりするかではなく、何を最優先にすべきかを考え、スケジュールに組み込む。これはつい最近まで見落としていた視点でした。

前に営業として働いていた会社は年次に関係なく、成績が上がればその分重要な役割が与えられました。入社1年目、がむしゃらに結果を出した私は、2年目にベテラン営業(10年目)の業務を引き継ぐことになり、やりがいとともに責任とプレッシャーを背負いました。能力不足を実感しながらも、業務は会社としても重要性が日に日に増していき、とにかく「緊急」「至急」と言われるものに時間と労力をとられてしまうことが多くありました。しかし、今振り返ればそれらは本当に重要なことではなかったように思われます。「緊急=重要」と思い込んでいたのではないか、ということです。

スピードや効率を求められることも確かにありますが、それらは自分を支配している状況や他者にせっせと対応しているだけのようなもの。このような類の仕事が増えると本当に重要なこと、例えば日々の勉強や情報収集、人間関係の構築、健康管理などが、つい後回しになってしまいます。

忙しいから仕方ない。そういう思いに駆られてしまうこともありますが、それは主体性のない無責任な考えです。本当に重要なのことを考えず、また主体的に取り組めないからこそ、緊急の用事にばかり反応する羽目になってしまうのだと思います。

私の場合、緊急ではあるが重要でない仕事を誰かに任せるべきだったと思います。本当に自分にとって大事だったのは、意思決定を下すの役割に徹することとリーダーシップを取ることでした。普通、2年目の社員がこのような役割をすることはあまりないかもしれませんが、私の場合、遠慮せずに周りを頼る、その為の人間関係を築くことが本当に重要なことでした。

当時は「そんなこと言っても仕方ないじゃないか、まだ若手だから人に仕事は振れないし」と、環境のせいにしていました。ハードワークを続け、結果的に体調を崩し、病院に駆け込みました。この時初めて「最優先事項を実行する」ことの重要性を実感することになります。

既に適応障害を発症していたのですが、深刻な状況は避けることができました。「健康管理」というものがどれほど大切で、どれほど難しいか。重要なことと知りながら自分がそれを疎かにしていたか。

積極的に課題に取り組み、効率よく仕事をこなす。それはもちろん立派なことですが、本当に最優先されるべきことを見落としていては、ゴールに辿り着いてからそれが間違った目標だったと気付くことになります。私は今、少し贅沢に時間をかけ、自分の人生にとって本当に大事なこと(役割と達成したいこと)を見つめ直し、それらの取り組みを日々のスケジュールに組み込むようにしています。