「バーチャルCG制作のリアルを語る!」【イベントレポート】
こんにちは、クラスターCOO兼CFOの岩崎です!
今回は、私岩崎がモデレーターを務め、「バーチャル渋谷」やeSports専用会場「V-RAGE」などの制作を行ってきたCG制作チームのデザイナーである井立、柴垣と共に、バーチャルCG制作のリアルな現場や裏側をトークセッション形式でお届けしました。
生のトークセッションが聞きたい!という方は、ぜひ下記YouTubeアーカイブをご覧ください。
▼目次
(1)登壇者紹介
(2)トークセッション
【テーマ1】映像やゲームのCG制作とclusterにおけるCG制作の違いとは?
【テーマ2】マルチプラットフォーム対応のclusterで制作する際に気をつけている点は?
【テーマ3】プラットフォーム側でコンテンツ制作をする意義とは?
【テーマ4】個人創作活動の経験は?
【テーマ5】今後clusterでやってみたい制作や演出は?
(3)ユーザーさんからの質問コーナー
(1)登壇者紹介
clusterデザイナー
井立 智憲:2017年入社/背景デザインが得意/建築学科卒/パパ
柴垣 圭汰:2019年入社/演出制作が得意/イケボが定評
(2)トークセッション
【テーマ1】映像やゲームのCG制作とclusterにおけるCG制作の違いとは?
岩崎:採用シーンでもよく聞かれる部分ですが、実際はいかがですか?
井立:僕はインテリアデザイン、映像出身なので、ゲーム業界はあまり知らないのですが、「リアリティを生み出す」という点は同じだと思います。
ただ、それを生み出す「要素」が違うと思っていて、ゲームや映像だとストーリーに入ってしまうと、画面を意識しなくなることがあると思うのですが、clusterの場合は「ストーリー」ではなくて「お客さんの賑わってる感じ」が一番の演出と思ってます。参加者全員が盛り上げているというのが一番素敵な部分だと思っているし、そこを一番引き立つようなデザインを普段心がけてます。
岩崎:確かに映像とかゲームとかだと、プロデューサーなどが見せたいものを明確に意識して作ったりしますが、clusterはデバイスも、空間内での立ち位置も様々で、それぞれの楽しみ方があるので、どこからでも楽しめて、破綻せず、いろんな演出を考えられているのは、一緒にやっていて面白いと思うところでした。
柴垣:「絵じゃなくて体験をデザインしている」というのはすごくしっくりくる言い方だなと思いますね。
井立:特にレストランのような滞在する空間をデザインする時って「そこに誰といてどう過ごすか」まで考えて作るんですが、それにかなり近いんじゃないかなと思います。
柴垣:僕もゲーム業界から転職してきて、まさにそこは結構違うなと感じた部分です。
井立:「体験」という点でいうと、僕はいつも「控え室」にこだわるというのを心がけていて、柴垣さんのアイディアなんですが、バーチャル渋谷ではQFRONTの中から街を見下ろせて、今から出演する場所を出演者のみなさんに上から見てもらえるような工夫をしました。
岩崎:リアルタイムのイベントという点では、出演者さんも盛り上がってないと良いイベントにならないなとつくづく思っており、とても大切なことですよね。
【テーマ2】マルチプラットフォーム対応のclusterで制作する際に気をつけている点は?
岩崎:VRとPCでは見え方がかなり違いますし、1人称、3人称視点でも見える絵やできることも違う中で、 CG制作で気をつけていることはありますか?
井立:clusterは週1でプラットフォームの機能リリースをし続けているので、毎週機能や仕様が違う状況ですよね(笑)
柴垣:それぞれのデバイスで体験が違っているのは望ましくないので、デバイスが違っても同じ体験ができるように気をつけています。
岩崎:どのデバイスからでもちゃんとした体験価値ができるという観点で、一番スペックの低いマシンに合わせて制作していることはありますよね。今だと iPhone 8など…
柴垣:そうですね、日々あくせくしながら軽量化と戦っていますね。影とかライティングのリアルタイムの処理を軽くするとメモリ側に負荷がかかるんですよね…。とはいえiPhone 8のメモリが少ないので、そこでどうやって綺麗に見せるかは工夫しながらやっていますね。
井立:企画が決まってない段階から作ったりもするので、最終的にどれくらいに収めるかが決まらないまま作り方を考えていかなきゃいけないこともあるので、最初からあまり頑張りすぎないのも大事かなと思っています。ある程度諦めて、楽しさを重視することも大切にしてますかね。
岩崎:ワールド間移動ができるようになったことで、それぞれのワールドに入る時にデータを読み込んだり、ワールドごとにメモリにデータを乗せるので、ローディングを挟めば前よりも大きい世界観やコンテンツが作れるようになりましたね。
【テーマ3】プラットフォーム側でコンテンツ制作をする意義とは?
岩崎:制作会社で作るのではなく、プラットフォームを作るclusterでバーチャルコンテンツを作る面白さ、意義とは何でしょうか?
井立:どんどん進化するデバイス、アプリケーションで魅力を正確に引き出してあげる、見せていくということは普通にコンテンツを作るよりずっと楽しいです。
ストーリーはユーザーが作っていくのだけれど、常に機能も充実していく中で、そこにすんなりと入っていけるものを作っていくのは非常に面白い体験です。
柴垣:井立さんと同じになるのですが、ユーザーのやりたいことって十人十色だと思います。「プラットフォームでこういうことができるよ、こういう可能性があるよ」っていうのを提示できるっていうのは、個人的にすごい意義を感じていますね。
岩崎:あのくらすたーちゃんのライブでやった視界ジャックのように、出してない機能を前提にコンテンツ制作をやっているので、コンテンツ制作の会社などではなかなか体験できないことですよね。スリリングというか、そういうのが楽しめる方にはいいですね。
実験的なことをチャレンジしていって、プラットフォームのオフィシャルの機能になるかならないかみたいなものをトライアルで作れる、というのもclusterならではですかね。
【テーマ4】個人創作活動の経験は?
柴垣:結構しています。個人創作をしようとするとかなりインプットもするのでそれが仕事に還元されていると感じます。例えば、絵を描いたり、敢えて仕事で使わないツールを使ってみたりですかね…
【テーマ5】今後clusterでやってみたい制作や演出は?
柴垣:バーチャルな体験が今よりずっと進化した時にやりたいなっていうのはあるんですが、バーチャルな体験が進化していくと、そのうちどこかのタイミングで脳に直接繋いでしまう、みたいな日が来るかなと思ってるんです。視覚、聴覚などの五感以外の何かを認識したりそういうものを使って演出したいなって、思ってるんですよね。
岩崎:将来、今のCGデザイナーは脳へ送る信号をつくるデザイナーになっていくんですかね(笑)
(3)ユーザーさんからの質問コーナー
<質問①>
『制作に関して、全体のルールや決め事、気をつけていることがあれば教えて欲しいです。』
井立:職種に関係なくですが、チームのコミュニケーションは非常に大切にしています。特に自分が困っている時などのステータスの表現などですかね。
あとは、「ダサい」「かっこいい」など思ったことをきちんと口にし合おうとは言ってますね。これがないと一緒に働いている意味がないのかなと思います。
<質問②>
『バーチャル渋谷のイベントで未来へ飛んだ際のワールド切り替え、グリッチ表現の実装をどのようにされたのか気になります!』
柴垣:clusterの機能として特殊なものは使っていなくて一般的なシェーダーとTimelineで作成しています。
<質問③>
『VRで触覚を感じられるのは、あとどれくらいかかりますか?』
岩崎:これは(技術的に少しずつ進歩しているものの)まだまだ時間かかりそうですよね。やはり味覚、触覚が一番時間がかかりそうですね。
<質問④>
『具体的 にUnity でどのように作られているんでしょうか?』
柴垣:例えば、曲に合わせて演出を付けるということであれば、具体的な機能で言うとタイムラインにいろいろ乗せて再生させてますかね。
<質問⑤>
『制作工程においてアニメーターやリガーやモデラーなど担当は分かれているんですか。それとも臨機応変にどの人もいろんなことをやるんですか?』
井立:基本的には皆、何でもやってはいます。確かに得意分野はありますが、全員好奇心が強いこともあり、また視野を広げられるという点で、広く臨機応変に取り組んでいますね。
<質問⑥>
『スクリプトもCGチームで書いているんですか』
井立:そもそもCreatorKitは独自のスクリプト書けないですよね。あと、チームにはデザイナーしかいないのでできる人がいないというのも(笑)
<質問⑦>
『クラスターやどうぶつの森のようにユーザーが空間を提案する流れがきていると思うのですがモデラーが果たす役割はどうなりそうですか』
井立:やっぱりそのモデラーっていうのにこだわらずに、体験を作るっていう視点でものを作るっていうふうにしていくと良いのかなーって思いますね。モデリング、CGデザインはあくまで手段という感じ。
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盛りだくさんで終わった当日ですが、なかなか表に出てこられないお二方のリアルなお話が聞けた貴重な機会でした!視聴いただいた方は、clusterのCGデザイナーならではのやりがいや楽しさに触れていただけたのではないでしょうか。
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