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第4回fuzzカップ観戦記ベスト64E

【担当記者:今田孝志】

8月6日から全国高等学校野球選手権大会が始まった。
「甲子園には魔物が棲む」と言われることがあるが、fuzzカップにも魔物は棲んでいるのかもしれない。魔物の名は「小林泰規」というのかもしれない。
そんなことさえ感じてしまう波乱のベスト64E卓だった。

1回戦(武中-阿賀-逢川-小林)
嵐の前の静けさ。1回戦はかわし手の応酬となる。

東1局。親の武中がドラをポンしてホンイツへ向かうが、アガリは阿賀の2000。(放銃逢川)

東2局1本場は、阿賀の親リーチを逢川が500-1000は600-1100で蹴る。

南1局は阿賀がダブ南ホンイツをテンパイするが、逢川が500-1000をツモアガリ。

南2局の阿賀の發暗刻親リーチは、武中が3索、8索と無筋を2枚押して500-1000でかわす。

ここまで最高打点2000点。全員2万点台でトップからラスまで7200点差内で迎えた南3局。逢川に本手が入る。

最初のテンパイは武中。中をポンして、ホンイツカン八萬待ち。このあと六萬を引いて五萬・七萬・八萬待ちになる。

続いて阿賀。自風の北をポンしてテンパイ。ドラ⑤ピンと赤5索を組み入れている。

小林はこの八萬を止めてチートイツに向い、武中への放銃を回避。

そして逢川の親リーチが入る。
一発目、武中は無筋の⑦ピンを勝負し、阿賀がこれをチー。
發切りで①-④ピン待ちへ。一発消し+リーチの逢川の現物①ピンに照準を合わせた仕掛け。

このチーで結果として逢川に流れたのは、高め三色かつドラの赤⑤ピン。
8000オールの決定打となる。

南4局は武中が小林から3900をアガってラスを回避して決着。

2回戦(小林-武中-阿賀-逢川)
1回戦とは打って変わって序盤からマンガンが連発する。

東1局。武中が小林から8000。
1回戦4位の小林は、親でダブ東をポンして5800のテンパイをしており、ドラ三萬で放銃となった。

東2局も武中のアガリ。ダブ東をポンしてドラ単騎をツモアガリ。

東2局1本場は、武中より上の着順が必須の阿賀が一発ツモで2000-4000は2100-4100。

その後、武中は小刻みに加点。阿賀は南2局に逢川から6400をアガり、南3局を迎えて点棒状況は以下の通り。
1着 武中 50500
2着 阿賀 28100
3着 逢川 13000
4着 小林 8400

親のない小林はかなり厳しい。役満ツモでも通過ポジションに届かない。

トップを取れば通過の武中は、2着の阿賀まで22400点差あるので、阿賀の最後の親を流して点差を保ってオーラスに進みたい。
逆に阿賀はこの親で加点したいところ。

1回戦1位の逢川にとっては、並びが悪い。
3着をキープすればほぼ通過だが、阿賀と2着順差+26900点以上の差で敗退ポジション。4600点差の小林との差が覆ってラスに落ちるようなことがあると、敗退も見えてくる。現状阿賀との差が15100点なので、素点差はあと11800点である。

13巡目に小林がリーチ。カン④ピン待ち。
ドラ1赤1のタンヤオ三色で、ツモって裏が乗るとバイマンになる。

親を落とすわけにいかない阿賀が無筋の⑤ピンを押し、逢川の捨てた②ピンをポンしてテンパイ。リーチの現物7索を捨てて、④ピン・6索のシャンポン待ち。

⑦ピンをチーして形式テンパイを入れた逢川がハイテイで引いた牌は中スジの④ピン。
發は1枚切れ。ノーテン罰符も惜しいと考え、逢川の選択は④ピン切り。

④ピンは阿賀、小林両者のアガリ牌。
頭ハネで小林のアガリというところだが、小林は沈黙。
手牌を倒したのは阿賀。ドラの五萬を引き入れていたので、ホウテイがついて5800。

このアガリで点棒状況は以下の通り。
1着 武中 50500
2着 阿賀 34900
3着 小林 7400
4着 逢川 7200

わずか200点の差だが、逢川がラスに転落した。
阿賀と逢川の差は27700。2着順+26900を満たし、阿賀が通過ポジション。逢川は200点差の小林を捲って3着になれば再び通過ポジションだが、1回戦の大量リードがなくなりここまで追い込まれた。

さて小林の見逃しだが、南3局開始時点でトップ武中までの差が42100。
ホウテイで逢川の捨てた④ピンでアガった場合の小林の条件は以下の通り
・裏1以上だと16000。武中までの差が26100になる。残り1局。
逆転条件は以下のいずれか。
バイマン直撃
三倍満ツモ
役満出アガリ

・裏なしだと12000。武中までの差が30100。残り1局。
逆転条件は以下のいずれか。
倍満直撃
役満ツモ
役満出アガリ

見逃して流局した場合は、自身のリーチ棒が供託され、テンパイ料で3000点縮まるとすると、40100点差。供託か積み棒があれば役満ツモ条件で残り2局。

微妙な差だが、残り2局という点を重視して見逃しを選択したということだろう。

当然この見逃しは阿賀と逢川にも影響がある。
・見逃した場合(再掲)
南3局1本場
1着 武中 50500
2着 阿賀 34900
3着 小林 7400
4着 逢川 7200
上述のように阿賀が通過ポジションだが、逢川は200点差の小林を捲って3着になれば再び通過ポジション。

・アガった場合(裏ドラ乗らず、12000を想定)
南4局
1着 武中 50500
2着 阿賀 28100
3着 小林 20400
4着 逢川 1000
阿賀と逢川の差は27100。2着順+26900を満たし阿賀が通過ポジション。200点差で逢川親でオーラス勝負。
裏ドラが乗った場合は逢川がさらに4000点ビハインドを負う。

こちらも微妙な差。
だが逢川、阿賀に選択の余地はなく、見逃しがあったことを知る由もない。

南3局1本場は、またしても小林のリーチが入るが流局。
阿賀は形式テンパイを取りきり連荘。
逢川はノーテン。

南3局2本場。
小林がピンフのみテンパイだが、手変わり待ちダマテン。
手変わる前にアガリ牌が切られるが、当然の見逃し。

阿賀からリーチが入るが、武中が小林から3900は4500をアガり、南3局が終わる。

武中にとっては局消化のアガリだが、阿賀と逢川の状況は大きく変わる。
1着 武中 55500
2着 阿賀 35400
3着 逢川 5700
4着 小林 3400

小林が4着に落ち、逢川が3着になったため、逢川が再び通過ポジション。
逢川と小林の差は2300。
阿賀は逢川から2600以上出アガリ、または逢川が親なので3000-6000以上のツモアガリで勝ち上がり。
逢川は2600以上放銃するとラス落ちして敗退。また自身がノーテンで小林がテンパイでも敗退。小林がノーテンなら、逢川は伏せれば勝ち上がりになる。

南4局
逢川はこの配牌から打6索。配牌降りを選択。

小林はピンフ系のリャンシャンテンの配牌を手にするが、役満ツモでも通過できないため、通常の進行はしない。打6索。

16巡目にようやくテンパイした阿賀がリーチ。ツモ番残り1回。
リーチ・一発・ツモ・ドラ・赤・裏の3000-6000にかける。
しかし実らなかった。

通常の進行をしなかった小林の手はチートイツのイーシャンテンになっていた。テンパイすれば勝ち上がり者を小林が選べてしまう状況になるが、ハイテイ牌は6索でテンパイせず。

2回戦盤石の進行を見せた武中と、一時は敗退ポジションになりながらもなんとか3着を確保した逢川の勝ち上がりとなった。

最後に。
fuzzカップスポンサーの『株式会社fuzz』様。
選手が座っている椅子をご提供いただいている『COUGAR』様
選手が飲んでいるピンク色のドリンクをご提供いただき日本プロ麻雀協会とパートナー契約を締結させていただいている『ピンクイオンアスリート』様。
いつも大変ありがとうございます。感謝申し上げます。

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