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第4回fuzzカップ観戦記ベスト8B

【担当記者:今田孝志】

渋川難波・田口淳之介がすでに決勝進出を決めた。
残る2つの椅子を巡って市井・小川・二見・石井の4名がベスト8B卓で激突。
2回戦オーラスに、全員に現実的な勝ち上がり・敗退条件が残る稀に見る大接戦となった。

1回戦(小川-二見-市井-石井)
全17局のロングゲーム。
1回戦も見どころの多い好ゲームだが、大激戦の2回戦を中心に記したいと思う。
1回戦は東2局の4000オールなどで二見がトップ。

2回戦(石井-市井-二見-小川)
トップを取れば勝ち上がりの市井が先行。
東1局に石井から8000出アガリ。
東2局は1300オールをツモアガリ。

1回戦ラスのため勝ち上がりにはトップ必須の石井。
マンガン放銃の開幕となったが、東2局に3000-6000をツモアガって復活する。

負けじと小川が東3局に3000-6000ツモアガリ。
カン七萬待ち追いかけリーチを一発ツモ。

オカありウマ10-30の2位勝ち抜けトーナメントは、1回戦トップを取ると圧倒的有利。しかもそれが前回チャンピオン、昨年からfuzzカップ負けなしの二見とくれば、鉄壁かと思える。
ラスさえ引かなければまず負けないが、ハネマンツモが連発し、二見はこの時点でラスに落ちる。
とはいえ市井・石井とはまだトータルで10000点以上の差があり、慌てる段階ではない。

しかし東4局。二見はリーチ後に親の小川に7700を放銃。

まだ二見が通過ポジションだが、市井に5700点差まで迫られる。

東4局1本場。突き放したい二見の手に絶好のドラ暗刻。

小川がテンパイ。役なし両面待ちだがダマテンを選択。

現在トップ目ということもあるが、小川は自身が2着に落ちても、ラスの二見をトータルで上回る。市井か石井、どちらかには捲られても構わないが、両者に捲られるわけにはいかない。そこで安全重視のダマテン選択。
市井・二見から2-5索が切られるが平然と見送り、市井の仕掛けに厳しい牌を掴むとあっさり降りる。
市井が400-700は500-800をツモアガり、二見のドラ暗刻のチャンス手を未然に摘む。

南1局。市井がドラ白単騎待ちのマンガンをテンパイ。
石井がリーチ宣言牌で放銃。
トップ必須の石井は17000点差の小川をこの親番で追撃したかったが、手痛い放銃。その差は25000点に広がり親番を失った。
市井はトータルで二見を逆転して通過ポジションに立つ。だがその差は4600点。

南2局は小川がオタ風の東と六萬をポン。
有利な立場からの仕掛けに緊張が走る。実際はトイトイの中と8索のシャンポン待ちだったが、字牌が高い場でもあり、他家は白・西・北の切れていない字牌を掴んで迂回を余儀なくされる。だが無理する必要のない小川も、終盤に生牌の北を掴んであっさり降りる。終盤にチートイツのテンパイを入れた二見の一人テンパイで流局。市井と二見の差が詰まる。

南3局1本場を迎えて点棒状況は以下の通り。
小川 40500
市井 35600
石井 15500
二見 8400

通過ポジションは小川と市井。
二見と市井のトータルの差はわずかに600点。
二見は3着に浮上することでも通過ポジションになるので、例えば石井が小川に8000以上を放銃しても、二見は市井を逆転する。

石井は厳しい。あと2局で25500点差の小川、20100点差の市井を捲ってトップになる必要がある。
石井はプロになってまだ3年目だが、今期のfuzzカップの台風の目だった。
ベスト64では1回戦4着、2回戦南3局まで3着目ながら、そこからメンチンの倍満をツモアガって逆転勝利。
ベスト32はわずか3800点持ちから、怒涛の4連続アガリで逆転トップ。
ベスト16では、2回戦開始直後から5連続リーチ、5連続アガリで一気に勝負を決めた。
逆転の石井。
劣勢になっても諦めず、一息で跳ね返す爆発力を見せてきた。
残り2局でハネマンツモ1回、マンガンツモ1回以上が条件。
ここまでやってきたことを思えば、やってやれない条件ではない。

7巡目。石井はここから打⑧ピン。
3索切りが最も広く、ドラ8索の縦引きも期待できる。
だが石井は三暗刻、索子でのイーペーコーも見て、打点を求めて⑦ピン⑧ピンの両面ターツを落とす。

タンヤオの崩れる1索をツモ切ったあと、赤5索を組み込む。
そして絶好の6索引き。3索切りの2-5-8索待ちリーチといく。

5索を一発ツモ。3000-6000は3100-6100。
あとはオーラスで2000-4000をアガるだけでいい。
またしても大逆転なるか。

南4局を迎えて点棒状況は以下の通り。
小川 37400
市井 32500
石井 27800
二見 2300

通過ポジションは小川と市井。
◆二見は市井との差3600点を逆転すれば勝ち上がり。
◆石井はトップになれば勝ち上がり。マンガンツモアガリか、小川から5200以上出アガリ。南3局1本場の跳満でここまで詰めた。
◆市井は二見に3600点差を逆転されなければ勝ち上がり。
◆小川は市井・二見に12000以上または石井に6400以上放銃すると敗退。

全員にチャンスがあり、全員に敗退の危険がある。
決勝進出を目前にして最後の決戦。

石井の配牌にダブ南暗刻。ドラ1索がトイツ。
最も条件が重い石井だが、クリアしたも同然の配牌。

画像のドラ表示は誤り

早いのは小川。メンホンのイーシャンテンに。
放銃しなければ勝ち上がりだが、加点して更に安全圏に逃れるのも悪くない。

石井が赤五萬をチー。
これを見て小川は一萬を止めて手を崩す。
一萬を特に警戒したというよりも、万が一にも放銃しないように最大警戒ということだろう。

捨て牌3段目に入ったところで市井がピンフテンパイ。
もちろんダマテン。アガれば勝ち上がり。

二見の捨てた二萬をポンして、石井がテンパイ。
①-④ピン待ち。ツモれば勝ち上がり。

二見も追いつく。チートイツの八萬待ち。
ドラが組み込まれていて打点はクリア。

3人テンパイ。アガった者の勝ち上がり。
アガれば決勝進出。
誰のアガリ牌が先にいるか。

石井のアガリ牌の④ピンがいた。
二見がツモ切る。
だが石井はマンガンツモ条件。アガるわけにはいかない。
小川が④ピンを同巡に合わせるが、これも見送るしかない。

そして海底牌に①ピンが眠っていた。

もしもチーが1回入っていれば、石井のアガリ。
海底に沈んだ月を掬い取ってアガるという古役「一筒摸月」での決勝進出だった。

④ピンが通り、小川の目から4枚目の①ピン。
ほぼ安全牌に見える①ピンだが、小川に油断はない。①ピンを手に留め、4枚目の東を捨て、流局となる。

二見と石井の逆転手は実らず。
小川と市井が逃げ切った。
四者四様に何を思うか。

決勝戦は3月16日(土)
ベスト16A卓から、渋川難波・田口淳之介。
そしてこのベスト16B卓から、小川裕之と市井悠太が駒を進める。
長い戦いの決着がいよいよ着く。

最後に。fuzzカップスポンサーの『株式会社fuzz』様。選手が座っている椅子をご提供いただいている『COUGAR』様。選手が飲んでいるピンク色のドリンクをご提供いただき日本プロ麻雀協会とパートナー契約を締結させていただいている『ピンクイオンアスリート』様。いつも大変ありがとうございます。感謝申し上げます。

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