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第5回fuzzカップ観戦記ベスト128E

【担当記者:今田孝志】

1回戦(須田-椿-佐月-大浜)
突然だが、あなたにとって麻雀において「嫌なこと」はなんだろうか?

放銃?
選択ミス?
着ダウン?
チョンボ?

人によっていろいろな「嫌」がありそうだが、椿の東2局はA級クラスの「嫌」。

佐月の先制リーチを受け、椿は3メンチャンで追いかけリーチ。

一発目のツモは自身で暗刻の⑧ピン。

これを暗槓してリンシャン牌の4索をツモ切ると、

佐月に放銃。

当然の暗槓だが、わざわざリンシャンからアタリ牌を掘り起こしてしまった格好。しかも新ドラの方の裏ドラが1枚乗っている。

これをA級とすると、東3局1本場の須田の「嫌」はSS級。

椿・大浜がリーチ。
2軒リーチには戦えず、前巡共通現物の三萬を抜く。
そして安全に東の3枚落とし。

これが椿への放銃となってしまう。

椿のリーチは、ドラ入りチートイツの東単騎待ちだった。
しかも裏ドラが東。

おそらく嫌なことランキングの上位に入ると思われる「降り打ち」。
しかも手詰まってどうしようもない降り打ちと比べ、字牌暗刻落としの降り打ちは、嫌さ数倍と筆者は感じるが、さて皆様はどうだろうか?

須田自身がこの場面をXでポスト。

「ギリギリまで東単騎もケアして3m抜いた」ともツリーに書いているが、この東での放銃は時間の問題だったろう。

須田の受難は南3局2本場でも。

佐月と大浜の2軒リーチの場面。須田は一萬を捨てて佐月の18000に放銃。

観戦記の役割放棄で恐縮だが、須田の思考はこのポストでの佐月とのやり取りをご覧いただきたい。非常に興味深い。

ここまでX頼りにしてしまった以上、この観戦記は振り切ってしまおう。
南3局1本場。三萬か六萬を捨てればテンパイのところで、六萬切りとし、佐月のカン六萬に放銃となった場面。

3巡前の⑤ピン切りで345の三色を見切っているが、その選択も含めて須田本人の解説はこちら。

試合の方は南3局1本場の須田からの18000が決定打となった佐月がトップ。
東3局1本場に須田から東単騎12000などをアガった椿が2着。
ノーホーラの大浜が3着。
手痛い大物手への放銃が重なった須田が4着。

2回戦(椿-大浜-須田-佐月)
1回戦は縦長の展開。
3着4着だった大浜・須田は、2回戦は是が非でもトップがほしいところ。
だが大浜はいきなり佐月のダマテン12000に放銃。

これは仕方ないと筆者クラスは思ったが、例によって大浜のXを見にいくと、そうではなかった。
・大浜は国士無双っぽく進行している。
・佐月は箱下クラスのラスさえ避ければ通過濃厚。
・佐月がそこへ向かって4枚目の白を捨ててきている。

以上のことから、テンパイに見えると反省が書いてあった。
なるほど。勉強になります。

東2局。大浜の落としたくない親番。下家の須田からリーチを受けている。

ここから6索・7索を落とし、最終的に海底牌で⑥ピンをツモアガるのだが、この選択における思考もXで開示されているので、興味のある方はご確認いただきたい。
筆者にはその前の選択も印象的だった。

まだ須田からリーチはきていない。
両面2つのイーシャンテンだが、大浜はここから、一度は触れた⑦ピンを残して東を切った。東は生牌なので安全牌ではないが、自身から5枚見えの④-⑦ピンのスジの⑦ピンを手に留め、ダブ東でもある東の重なりを見なかったということは、この時点でピンズの複合形を生かして6索7索外しの未来を想定していたということだろう。

さて試合に戻る。
南4局を迎えて点棒状況は以下のとおり。
佐月 35100
椿  26400
須田 24100
大浜 14400

通過ポジションは佐月と椿。
佐月はほぼ当確。
須田の現実的条件は、椿から跳満以上出アガリ。
大浜の現実的条件は、倍満以上ツモアガリまたは椿から跳満以上出アガリ。

第5回fuzzカップはここまで波乱の展開が続いている。
先週行われたベスト128D卓では、オーラスに跳満直撃での逆転劇があった。

大浜の手がいい。

3巡目でこの形。波乱を感じさせる。
だが跳満直撃・倍満ツモにはホンイツだけでは不足。
大浜は白と自風の西を残して、八萬・九萬を外す。

椿がテンパイ。

役なしカン8索待ちだが、もちろんダマテン。

大浜が北を重ねてテンパイ。

白と西が2枚切れになったために、自然な手順で手に留まったオタ風の北が重なった。
だがこのままではホンイツ・高めイーペーコー止まり。リーチをかけてツモっても裏が必要だが、乗りにくそうな形である。赤五萬を一発でツモったときは条件をクリアするが、さすがにその確率には賭けられない。それにこの手はまだ手変わりがある。

これだ。

ツモり四暗刻。
三萬と北のシャンポン待ち。ダマテンで出アガリ跳満。椿から出れば大逆転。
ツモれば役満でもちろん逆転。

地獄に堕ちろと椿の下に北がやってる。

上下逆さまの北が、悪魔のほくそ笑みに見えたのは筆者だけだろうか。
そういえばベスト128D卓で石井が掴んだ8索も笑う悪魔に見えた。

椿は自身がテンパイしている。ツモれば通過が決定する。
ドラの發は2枚切れている。リーチなしで跳満ができていることがあるだろうか?
ないと思えば、北切りもあり得る。

椿は甘えなかった。テンパイを崩して打9索。

次巡、悪魔からの二度目の誘惑。

北を切れば今度は役ありテンパイだが、椿は惑わされなかった。

このあと大浜は赤五萬は引くも、三萬・北を引くことはなく、大逆転はならなかった。

「ツモれんか」            「危なっ!」

128E卓勝ち上がりは、佐月と椿。

最後に。
fuzzカップスポンサーの『株式会社fuzz』様。
選手が座っている椅子をご提供いただいている『COUGAR』様。
選手が飲んでいるピンク色のドリンクをご提供いただき日本プロ麻雀協会とパートナー契約を締結させていただいている『ピンクイオンアスリート』様。
いつも大変ありがとうございます。感謝申し上げます。

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