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第4回fuzzカップ観戦記ベスト32E

【担当記者:中島由矩なかしまよしつね

Robは筆者と同じ20期前期入会で、プロ3年目。雀王戦はE3リーグでデビューすると順調に昇級を重ね、現在D3リーグで奮闘中の29歳だ。登録名のRobは、アメリカンフットボールリーグ(NFL)で尊敬しているロブ・グロンコウスキー選手から。対戦型オンライントレーディングカードゲーム「シャドウバース」のプロと麻雀プロの二足の草鞋をはいている。

「ベスト64の試合ではMリーガーの松本吉弘さんと同卓し、シャドウバース界隈でもたくさんの反響がありました!嬉しかったです!」

やや関西弁に近いイントネーションで、Robは笑いながら元気に話す。

【1回戦(箭内ーRobー綱川ー小川)】

入会した2021年頃はコロナ禍にあったが、人懐っこい性格で、すぐに先輩たちとも打ち解けた。Robが「飲みの席でご一緒したことがあって、愉快で楽しい人。itoというカードゲームで遊んだ。」と評する小川裕之が、1回戦東3局に倍満をツモって先制。

リーチ・ツモ・ホンイツ・チートイツ・ウラウラ

これを南4局、2着目の箭内健次郎がまくってトップを決める。

リーチ・一発・ツモ・タンヤオ・ピンフ

箭内は、ツモ4pでいったんピンフのみのテンパイを果たしたところから、9pを外してシャンテン数を戻し、6pを引き入れてリーチ。

Robは箭内について、「朱雀リーグで同卓したことがある。麻雀が強い先輩。」と語る。リーチ・ツモ・ピンフの700/1300では小川をまくれなかったところ、箭内の判断力もさすがだが、その雀力を見抜いたRobもなかなかの慧眼と言っていいだろう。

箭内はリーチ宣言牌を7mにしたが、もしこれを4mにしていればツモ8mも受け入れられる三面張だった。しかし8mは6巡目に放しており、フリテンを嫌った格好だ。小川からの直撃や、綱川・Robからリーチ棒が出た後、小川以外から出アガリでの逆転を考慮した。

箭内が打4mリーチをした場合の牌姿

話をRobに戻す。強い先輩に囲まれ、Robは1回戦苦渋のラスを引いてしまった。

しかし、奇しくもこのちょうど1つ前のD卓で、19期後期入会の小野たまが1回戦ラスからの逆転通過を決めている。

パターンこそ少ないものの、Robにもこのルートは残されている。まずは自身の2回戦トップを見たい。並びはそれからだ。

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【2回戦(箭内ー綱川ー小川ーRob)】

Robにとってはあまり望ましくない、1回戦2着の小川がトップ目で迎えた東3局。なんとか現状を打開したいRobは、手役に寄せた進行を採る。

役牌の白がトイツで赤1入りの配牌だが、2000点で終わらせるわけにはいかない。四暗刻を遠くに睨みつつ、ホンイツやトイトイも視野に入れてドラ表示牌の6mから切り出していく。

綱川隆晃が捨てた中に声をかけたのは、トータルポイントに余裕のある箭内。
ポンテンのカン2m待ちだ。このようにトータルトップ目の仕掛けは整っているケースが多い。Rob、かいくぐれるか。

一刻も早くリーチを宣言し、箭内の足を止めたいRob。ツモ西でテンパイを果たした。ここは箭内にポンされている中を打ち、四暗刻を見ながらになるかと思われたが…。

Robの選択は、暗刻を崩し、この一瞬待ち牌が0になる打7s。そして次巡7pを引き入れて、中を手出ししてリーチといった。派手な捨て牌だが、少しでもチートイツだと看破されないような工夫だ。

しかし、ここは追いかけリーチの綱川が、トップ目の小川からリーチ・赤・ドラの5200は5500を出アガリ。1回戦を3着で終えた綱川もまた、2回戦のトップがほしい。トップ目の小川から直撃し、反撃の狼煙を上げた。

逃げる小川と追う綱川。この2人の対決は、南2局1本場に雌雄を決する。

まずは小川が先手。ペン7m待ちの789三色ドラドラをテンパイ。1回戦2着でこの2回戦トップ目の小川は、ダマテンを選択し事故を避け息を潜める。しかしこの7mは3枚他家に持たれており、山に1枚しか残っていなかった。

そこに、234の三色になる2sを引き入れた綱川が勝負のリーチ。この瞬間は、安めの1mなどツモ切りたいくらいの勢いだったが…。

綱川はなんとラス牌の7mを掴んで、8000は8300の放銃になってしまう。親番も落ちた綱川はここでギブアップ。

南4局は、小川のリーチに箭内が機敏な反応。Robの2フーロも気になるところだったが、

■仮にRobに放銃して連荘になっても余裕を持ったポイント差で仕切り直せること
■同じ待ちだった場合小川の方が上家(頭ハネ)になること

などを考慮し、4mを差し込んでゲームセットとなった。

勝ち上がりは、小川裕之・箭内健次郎の2名。いよいよトーナメントの頂が見えてきた。

箭内は、師匠格の矢島亨を彷彿とさせるポーズでインタビューに登場。1回戦オーラス、好判断でトップを取りに行って成功し、2回戦は落ち着いたゲーム回しでスキを見せなかった。

小川は対照的に、落ち着いた語り口で熱戦を振り返る。

結果、綱川への放銃となってしまった2回戦東3局の場面だが、Robのチートイツを読み切り、發を残して形を保ったところに、A1リーガーの矜持を感じた。

發は打たず、8sで綱川に放銃

綱川は、怒りのラーメン。

そう言えば、Robの綱川評をまだ書いていなかった。

「2022年の雀竜位戦で同卓した時に少しお話させていただいた。麻雀の強い先輩。配信たまに見てます。」

とのこと。

Rob、ノーシードから勝ち上がるも、ベスト32で散る。第18回・第19回と2年連続で日本オープンの決勝卓についた宍戸涼、第18回オータムCS決勝卓で最後まで矢島亨と優勝争いを演じた天津みろう、これら同期の活躍は、Robの刺激になっていると言う。今度は自身が同期の目標になれるよう、これからも麻雀を続けていく。

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最後に。fuzzカップスポンサーの『株式会社fuzz』様。

選手が座っている椅子をご提供いただいている『COUGAR』様。

選手が飲んでいるピンク色のドリンクをご提供いただき日本プロ麻雀協会とパートナー契約を締結させていただいている『ピンクイオンアスリート』様。

いつも大変ありがとうございます。感謝申し上げます。

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