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第4回fuzzカップ観戦記ベスト32D

【担当記者:今田孝志】

筆者はこの原稿を11月9日に書いている。当然ながら未来は知り得ない。
この観戦記がアップされるのが12日よりあとであれば、読者諸氏は今期の雀王を既に知っているはずだ。

fuzzカップベスト32D卓に、雀王決定戦出場中の仲林圭、登場!
龍は出たか。

1回戦(仲林-佐治-吉田-小野)
ラス目で迎えた東4局の仲林。9巡目にテンパイ。
九萬切りのテンパイ外しも含めて選択肢が多くあるが、仲林の選択は⑦ピン切りリーチ。赤が2枚あるためストレートに進行し、③-⑥ピンと④-⑦ピンの選択は、高め三色になる方(③-⑥ピン待ちなら③ピン、④-⑦ピン待ちなら⑦ピン)の見た目枚数からの選択か。

小野がこの⑥ピンを一発キャッチ。

小野の手は6巡目から四暗刻イーシャンテンのこの形。リーチがなければ⑥ピンはツモ切り。仲林のアガリ逃しの形になっただろう。

小野はこのあとツモり四暗刻をテンパイして打⑥ピン。裏1で8000の放銃となる。

南1局。親の仲林。ダブリーチャンスの配牌から、2巡目にテンパイ。

赤1カンチャン待ちで即リーチの判断ももちろんある。
西切りでテンパイを外してタンヤオに向かう道もある。

仲林は七萬切りでテンパイ外し。三萬・四萬引きでの三色を狙いつつ、ソーズの好形テンパイなら赤五萬切りも辞さずか。

3巡後に最高の四萬を引いてリーチ。三萬をツモって3000-6000のアガリ。

ミスターパーフェクトとも呼ばれる仲林。まさに完璧な選択である。

南1局1本場。小野のリーチを受けた仲林。
ラス目からのリーチで戦う場面ではないが、安全牌は2索のみ。通ってないスジもまだ多いので、⑨ピンくらいは押す打ち手もいそうだが、仲林は未練を残さず打2索で降り。

小野のリーチは③ピンとオタ風の東のシャンポン待ち。仲林の次巡のツモは東。⑨ピンを押していれば東で放銃だったのではないか。

吉田に逆転されて2着目となった南3局。七対子のイーシャンテンだが、⑥ピンを引くとリャンシャンテン戻しの打8索。ホンイツと見れば3シャンテン。

この判断もズバリ的中。④ピン・①ピンと立て続けにピンズを引き、⑨ピンをポンして③-⑥ピン待ちテンパイ。

そこに①ピンを引くと、③-⑥ピンが薄いと見て打②ピンで、①ピンと西のシャンポンに待ち変え。

トップ目の吉田から①ピンが出て3900の出アガリ。
1回戦のトップは、完璧な選択を続けた仲林。

ところで東3局2本場の佐治の手牌に筆者は既視感を覚えた。

少し考えて思い当たった。
日本プロ麻雀協会YouTubeチャンネルの「何切る超会議」で出題された牌姿と似ているのだ。

無論同じではないし河の情報も異なる。
共通しているのは、端にかかった二度受けリャンメンとタンヤオが確定するカンチャンの比較の部分である。

浅井・渋川・仲林の3人の回答は六萬切りで一致。
筆者は2索派だったのでいろいろと自己を振り返ったものだが、佐治は上の牌姿から③ピン切りで二度受けリャンメンを嫌う選択をする。
これが正解で七萬を引いてリーチ。④ピンで8000の出アガリとなる。
今さらであるが、麻雀は実に難しく、実に面白い。
「何切る超会議」も是非お楽しみいただきたい。

2回戦(小野-佐治-吉田-仲林)
1回戦、小野は名だたるタイトルホルダーを相手に箱下のラスに終わった。
ベスト16に進むためには、2回戦でこのメンバーを相手にトップを取って並びも必要となる。
とにかく前に出るしかない。
そんな心境だったのではないか。

起家スタートの小野。牌が気持ちに応えてくれる。
先制リーチから一発ツモで4000オール。

東1局1本場はオタ風の南・西トイツのこの形から二萬を捨て、南をポン。

他家に圧をかけながら、強引にソーズのホンイツに向かう。

好きにさせるわけにはいかない佐治が、終盤に生牌の東・六索を勝負してリーチにいくが、流局。小野はテンパイを取りきり連荘。

東1局2本場は吉田のドラポンを受け、三色片アガリの仕掛け。

⑨ピンをツモって500オールは700オール。
まだまだ親をやるぞとの気迫が伝わってくる。

東1局3本場。後ヒッカケになった⑦ピンで吉田から7700は8600の出アガリ。
小野は通過に向けて、自身トップ・吉田ラスまたは自身トップ・吉田3着+19700点差が必要なので、この直撃の価値は大きい。

小野は続く4本場も、佐治から2900は4100を出アガって加点に成功。

南4局を迎えて点棒状況は以下の通り。
小野 51900
佐治 26400
仲林 13400
吉田 8300

通過ポジションは小野と仲林。
佐治は25500点差の小野を捲ってトップになれば通過。
吉田はバイマンツモまたは小野からハネマン出アガリで通過。
(小野からハネマン出アガリだとトータルポイント同点となり、先行有利で吉田の勝ち上がり)

吉田が2-5索待ちでリーチ。
高め5索ツモは三色がついて文句なしのバイマン。
安め2索ツモは裏2枚条件。
小野から出アガリの場合は5索は文句なし、2索は裏1枚条件。

吉田が土壇場で条件を満たす。
タンヤオでテンパイしていた小野が一発目に無筋の⑧ピンを掴むが、腹を括って勝負。次巡の8索もまったく通っていない牌だが、これも押し切った。
そして小野が赤五萬でツモアガって決着となった。

ベスト32D卓からは、パーフェクトな選択を続けた仲林と、箱ラスの1回戦から逆襲した小野の勝ち上がりとなった。

最後に。fuzzカップスポンサーの『株式会社fuzz』様。選手が座っている椅子をご提供いただいている『COUGAR』様選手が飲んでいるピンク色のドリンクをご提供いただき日本プロ麻雀協会とパートナー契約を締結させていただいている『ピンクイオンアスリート』様。いつも大変ありがとうございます。感謝申し上げます。

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