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第4回fuzzカップ観戦記ベスト32H

【担当記者:今田孝志】

「2人勝ち上がりのトーナメント戦って競技麻雀特有のもので競技選手になって初めて体験できることが多いと思うんですけど、面白いんですよ、めちゃくちゃ。
打っている選手側はもちろん、見ていてくださる側も非常に面白いと思うんですよね。普通の麻雀と違ってトータルポイントのことを考えたり、並びを作りたいからここからは見逃そうとか、選手の思惑が伝わって楽しんでもらえたと思う」

これは第3回fuzzカップの決勝戦を終えて、優勝者インタビューで二見大輔が語った言葉である。
めちゃくちゃ面白い2人勝ち上がりトーナメントのfuzzカップ。ベスト32の最終戦H卓に、前回チャンピオン二見大輔が満を持して登場。

1回戦(みあ-中島-二見-愛内)
オカありウマ10-30のfuzzカップの1回戦に臨む選手の思惑は、

「トップを取りたい」

であろう。
1回戦トップを取れば圧倒的有利だが、2着以下の着順は相対的に影響が小さい。となれば少々無理をしてもトップを狙いたい。

東1局。自風の西をポンした二見。五萬・七萬シャンポン待ちでテンパイしていたところに⑨ピンを持ってくる。

東パツにこの手を2000点でアガっているようでは優勝はできないよと言わんばかりに、メンツ破壊の打⑦ピン。イーシャンテンに戻してトイトイに向かう。

ところが愛内から早くもリーチがくる。三萬・6索シャンポン待ちのツモり三暗刻。

リーチ宣言牌の五萬をポンして二見もテンパイ。七萬・⑨ピン待ち。
2人でめくり合いとなるが、終盤に入るところで引いた4枚目の二萬を、二見はカンせず。その後降りに回るが、降りたあとになって⑨ピン・七萬と持ってくる思惑通りにいかない展開。
愛内もツモれず流局。

東2局1本場。
ドラをポンした愛内が、中島のリーチ宣言牌の④ピンを捉えて8000は8300のアガリ。

東3局はみあのリーチに、好形イーシャンテンの二見が一発で8000を放銃。

みあと愛内、中島と二見。やや上下が分かれた展開となるが、下位組もまだまだトップを狙っていきたい。
南2局。中島が親の先制リーチ。

自風の北をポンしているトップ目のみあは、カン7索をチーしてさらに前進するが、その後危険牌を引いて撤退を余儀なくされる。だが回り回ってフリテンでテンパイすると、自身で2枚捨てている⑦ピンでツモアガリ。中島の親リーチを躱す。

1回戦はこのまま逃げ切ってみあがトップ。
2着愛内、3着二見。
全9局中6回「リーチ」と発声して積極的に攻めたものの、アガリにつながったのは一度だけの中島が4着。

2回戦(二見-愛内-みあ-中島)
このまま終われない前回チャンピン二見が、親の先制リーチから7700のアガリで先行。
追いかけリーチをかけた中島の放銃。

東1局1本場。またしても中島がリーチといくが、仕掛けた二見が1000オールのアガリで加点する。

次局のみあの積極果敢な選択を紹介したいと思う。
1回戦トップのため大きなラスを引かない限りほぼ通過できるが、このペン7索待ちでノータイム即リーチ。

役なしのためリーチをかけないと出アガリできないが、ポイント状況からリーチにはいかない選手が多いのではないか。
逆襲を受けて放銃に回り、トップ二見、2着愛内という並びになれば敗退の危険に晒されることになる。

みあもそんなことは百も承知。
前回勝ち抜いたベスト64H卓もみあは1回戦トップ。2回戦の東1局は、1回戦3着のヨンスの6000オールで開幕した。このことについてみあは試合後にこう語っている。
「ヨンスさん(1回戦3着)の6000オールには焦りましたね。ハマショウ(濱田翔1回戦2着)と2着・4着でって考えたらヒヤッとしたんですけど」

1回戦3着の二見が先制した展開は、ヨンスが先制したベスト64H卓とほぼ同じ。みあは敢えてペン7索待ちでリスクを背負ってリーチといく。

親の二見が仕掛けていて親リーチが来ないという状況判断もあっただろう。
結果は中島の二見への1500は2100の放銃となる。
親の連荘となり局消化はならなかったが、みあも攻めてくると印象づけられたのではないか。

順調に点棒を増やした二見が、南1局にはダマテンで中島から5800は6100の出アガリ。これで二見は2着の愛内と30000点以上の差をつける。愛内と中島はかなり苦しくなる。

とはいえ諦めるわけにはいかない。
南1局3本場。中島はここからアガリを拒否して打⑤ピンのフリテンリーチを敢行。高め三色の⑧ピンをツモりにいく。

南3局の愛内。タンヤオドラ3赤1のカン6索待ちテンパイ。6索が中島から出るが、見逃し。既に親番もなく8000のアガリに意味がない。

このあと4索を引いて打7索でリーチ。
ツモアガリなら4000-8000から。高め3索ツモ+裏1以上での6000-12000を引きにいく。

これぞトータルポイントを考えた選手の思惑。
二見は「打っている選手はもちろん」と語ったが、中島と愛内は苦しかったかもしれない。
だが見ている側は間違いなく面白い。
fuzzカップのここまでの戦いでも数多くの思惑が卓上で交差した。
ベスト16以降の戦いでも、またそれを見ることができるだろう。

中島と愛内の乾坤一擲のアガらずは、共に不発。
ベスト16進出は、みあと二見。

最後に。
fuzzカップスポンサーの『株式会社fuzz』様。
選手が座っている椅子をご提供いただいている『COUGAR』様。
選手が飲んでいるピンク色のドリンクをご提供いただき日本プロ麻雀協会とパートナー契約を締結させていただいている『ピンクイオンアスリート』様。いつも大変ありがとうございます。感謝申し上げます。

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