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第4回fuzzカップ観戦記ベスト16A

【担当記者:今田孝志】

関東・関西の日本プロ麻雀協会所属プロ246名が参加した第4回fuzzカップも、いよいよベスト16。
遥か遠く霞むようだった決勝卓へ、あと2勝で辿り着く。
振り返れば死屍累々。230名の敗者がいる。放送対局に限っても、ここまで毎週水曜日に29試合が行われたので、延べ58名の敗者がいる。
まさしく生き残りをかけたサバイバルトーナメント。生き残ってベスト8に進むか、負けて敗者の群れに加わるか、道は2つに1つ。

1回戦(浅井-市井-箭内-田内)
ご承知の通り麻雀は1牌の前後で運命が大きく変わる競技だが、1つの鳴きも運命を変える。変化は直接的なものに限らず、巡り巡って思わぬ形で現れることもある。

東3局。市井にダマテンのマンガンが入る。②-⑤ピン待ち。

田内の捨てたドラ九萬を浅井がポンしてテンパイ。場風の東が暗刻のカン⑤ピン待ち。

田内が市井のアガリ牌の②ピンを引く。
田内は678の三色含みのイーシャンテン。前巡ドラの九萬を捨てたが、浅井の仕掛けを受けてここでは②ピンを止めて打8索。

浅井のドラポンによって市井のアガリが阻止された格好。
田内が市井のアタリ牌である②ピンを使い切ってテンパイを取り流局。

続く東4局1本場。浅井はこの配牌から第一ツモ5索のあと、赤⑤ピン・六萬と引いて3巡で456の三色が完成。

4巡目に⑧ピンを重ねて早くもテンパイ。
出アガリマンガン、ツモってハネマンのダマテン。

市井の捨てた二萬を箭内がカンチャンでチーしてドラの3索を切る。
そんなわけはないのだが、浅井が大物手を三萬待ちでテンパイしていることを知っているような仕掛け。

食い流れた四萬が、田内の手の中で浮いていた三萬にくっつく。

箭内が東をポンしてテンパイ。五萬・九萬のシャンポン待ち。

市井の手は五萬か九萬か、どちらかは今にも出そうな形だが、七萬引きで放銃を免れる。

九萬を浅井が掴んで放銃。
序盤に強烈なツモに恵まれて早々に大物手のテンパイを入れた浅井だが、実らなかった。

往年の流れ論でいえば、東3局、浅井は九萬ポンで結果として市井のアガリを阻止した。そのファインプレーによって東4局に流れを引き込み、4巡目にしてタンヤオ・三色・赤赤のテンパイを入れた。しかし今度は箭内がファインプレーでこれを阻止した、といったところか。そうなると次に吹くのは箭内か。
しかし結果はそうはならない。南1局に決定打を放ったのは浅井。
四暗刻のイーシャンテンから、一萬が重なる。四暗刻狙い続行も選択肢だが、浅井は現実を見て七萬・①ピンと捨ててチートイツを選択。

2枚切れの白、地獄単騎待ちでリーチ。リーチ宣言牌が自分で捨てている2枚切れ發のため、単騎待ちに見えにくい。
市井がこれを掴み、止まるはずもなく放銃。裏も乗って18000。

1人置いていかれる展開になった市井だが、南4局4本場は高めイッツーかつ裏ドラになる⑨ピンをツモ。3000-6000は3400-6400のツモアガリで、3着浮上を果たす。

2回戦(市井-箭内-浅井-田内)
東4局1本場。3人リーチのぶつかり合い。
先制は田内。ドラ1赤1のペン③ピン待ち。

市井が4-7索待ちで追いかける

早々に好形イーシャンテンになっていた箭内が最後にやってくる。

このめくり合いを制したのは市井。裏1の3900は4200を田内から出アガリ。
トップ目に立つ。

南2局。市井が出アガリ8000、ツモアガリ3000-6000のダマテン、④-⑦ピン待ち。
アガれば決定打になり得るところ。

田内が④ピンを掴む。前巡は⑤ピンを捨てて安全牌の白を持った。しかしここでは白を捨てて④ピンを止める。市井の四萬切りでテンパイを察したか。1回戦4着のためトップ必須の状況で、ピンフ・三色イーシャンテンだが、これまでも度々見せた繊細な守備力をここでも発揮する。

しかしさすがの田内も、南2局1本場のこれは止まらない。
市井から5巡目リーチがくる。田内がトイツの北を捨てると、一発で5200は5500の放銃となる。

南3局を迎えて点棒状況は以下の通り
市井 34500
浅井 28000
箭内 21000
田内 16500
市井はトップを取れば勝ち上がり。親番のない箭内と13500点差。オーラスの親を残す田内と18000点差。浅井とは6500点差だが、1回戦トップの浅井はがむしゃらにトップを狙いに来ない。予断は許さないとはいえ市井が有利。

だが市井の知らないところで、首筋を刃が掠める。
守備的に進行していた親の浅井が終盤にテンパイ。ピンフ・イーペーコー・ドラドラ赤。四-七萬待ち。

浅井は通過に向けてかなり有利であるため、親を続ける必要性はほぼない。とはいえ12000を加点すればさらに安泰になる。そのためアガれれば当然アガるが、流局の場合には伏せて親を流してしまって良いところ。
最終手番で生牌の白を引くと、勝負する必要性がほぼない局面のため、テンパイを崩して降りる。

テンパイしていた市井が最後にツモ切ったのは四萬。
もし浅井が最終手番で引いた牌が白でなく、安全にテンパイを維持していれば、ホウテイがついて市井の18000放銃だった。
首筋間近を刃が走る。
浅井は黙って手を伏せたため、市井はそれを知らない。

あわやという四萬だったが、とはいえそれは起きなかったこと。
実力派揃いのベスト16A卓。紙一重の連続の果てに、浅井と市井が勝ち上がり。

最後に。
fuzzカップスポンサーの『株式会社fuzz』様。
選手が座っている椅子をご提供いただいている『COUGAR』様。
選手が飲んでいるピンク色のドリンクをご提供いただき日本プロ麻雀協会とパートナー契約を締結させていただいている『ピンクイオンアスリート』様。いつも大変ありがとうございます。感謝申し上げます。

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