【interview】 BADMYTH

BADMYTH/DJ,Artist

DJ、DTMを始めたきっかけを教えてください

いきなり暗い話にはなってしまいますが、子供の頃あまり両親と関係がよくなく、唯一の救いが音楽で、ダンスミュージック問わずいろんなジャンルの音楽に傾倒していました。
暴力的で愛をくれなかった父ですが、唯一音楽を教えてくれたことが今も音楽を続けるきっかけにはなっていると思います。
愛を教えてくれなかった父ですが、唯一僕の作った曲を親身になって聞いてくれて、その後両親は離婚した母方の元に落ち着いたのですが、母親は音楽にあまり頓着する方でなく、おそらくそれに対する反抗心、反発心が本格的にDTMを始めるきっかけになったと思います。

DJは今では誰もが知るOblongarが中学、高校の同級生であり、クラブに連れ出してくれたことで興味を持ちました。
最初はアートをやるという感覚ではなく、誰かに自分を認めて欲しいという思いから自分のキャリアをスタートして、その認めてもらいたいという思いは現在も強く残っています。

印象に残っている、または影響を受けたパーティーを教えてください

コメ充
今はもうなくなってしまったパーティー(ご飯食べ放題クラブイベント)ですがclub aboutで開催されていました。
Oblongarに連れられて行ったのですが皆が自由に踊り、空間を楽しんでいる姿に何てフリーダムで素敵な空間なんだろうと感動してここから僕のクラブ通いが始まりました。

※画像はコメ充レイヴ~大収穫祭~のもの


dominaでやっていたパーティー各種
これも同上でクラブの環境がそうさせていたと思うのですが、フリーダムにみんなが楽しんでいる姿に感動を覚え、何度も涙を流しました。
スタッフ、PA、店長として働いていたことから思い入れも強いのですが、dominaというクラブの環境でのパーティーはどれもが得難い体験であり、全てが印象に残っています。

Beginner Mode
自分のパーティをここに載せるのも若干恥ずかしさはあるのですが、音ゲー楽曲を中心としながら曲を知っている、知らないに関わらずフリーダムに、自分を解放して楽しめる空間作りを意識して立ち上げたパーティーなので自分でも強く印象に残っています。
自分の原点として何度も許述している通り自由であっていいんだ、自分は自分でいいんだと思わせるパーティーが特に好きなのかも知れません。


今好きな3曲を教えてください

Tantrum Desire - Reach VIP

僕自身がDJをする際にドラムンベースを主軸にやっていこうと決めた一曲です。今でこそウワモノが年代を感じさせるサイバーなドラムンベーストラックですが、当時は衝撃的で、聴きながら何度も涙しました。
こんなにかっこいいサウンドがあっていいんだという思いは今でも強く残っており、昨今の自身のリリースのサイバードラムンベース要素にも強く影響が出ています。

ASC - Inner Space 

ディープ系ドラムンベースのレーベル(だと個人的には思っている)Samurai Musicからのリリースです。
この曲を聴いてた頃は僕の表現出来る音楽は本当にドラムンベースだけなんだろうかと悩んでいた頃で、そんな時にこういったドラムンベース以外のサウンドがリリースされていることに深く感動を覚え、サウンド自体もですが自分のやりたい音楽をやってリリースするという「アーティスト」としてのASCの姿勢に思わず震えるほどのショックを受けました。
この前後からドラムンベース以外のサウンドにも興味を持ち始め、いろんなサウンドを聴いていく時間は僕にとってかけがえのない時間になったし、自分は「ドラムンベース」だけでなく「音楽」が好きなんだと、「アート」としての音楽が好きなんだと再認識するようになりました。

Djrum - Sex

完全に僕が勝てないと思い、音楽を作る心を一度折られるほど感動した曲です。
アートとしての性質は勿論、曲に向き合う姿勢や瞬間的な音の構築や抜き差し、変化全てに感動を覚えました。親しい人から紹介された曲なのですが、この曲だけでなくアルバムを通して聴いて欲しいなと強く思いました。
現在時点で家庭環境が複雑な中僕を強く支えてくれた曲、アルバムでもあります。ドラムンベースという枠から完全に抜け出してから1番ハマっているアルバムで、もう百回は聴いていると思います。ジャンルも複雑かつ曖昧で、でもそれでいいんだと思わせるフリーな楽曲は印象に残ったパーティの欄で前述した「自由でいい」という気持ちを彷彿とさせるから好きなのかも知れません。


今後の展望について教えてください

ドラムンベースDJとして、ドラムンベースアーティストとしての「BADMYTH」という形は残しつつも、今までその枠に囚われていた自分への気づきが最近大きかったので、7月21日に開催された低音研究会でもプレイしたのですが、ジャンルという概念や枠から少し外れた楽曲製作及びDJをしていきたいなと思っています。
極論僕は「低音」が好きなのですがそれをいかに「アート」として活かせるかを目標にしています。
DJ以外にシーンとしても年上も年下も関係なくフラットな関係の構築や人と人が音楽を通して繋がれる、そして自分に自由でいられる場所の提供ができたらこれ以上嬉しいことはないなという思いが強いです。

クラブの「自由」を本当の意味で「自由」にすることが僕の願いです。それが出逢いの場であってもいいし、抑圧されてきた自分を解放する場所でもいいし、唯只管に音楽を楽しむでもいいし、フリーダムな環境、パーティ、クラブカルチャーを構築していくことが僕自身、ひいては皆の幸せに繋がれば幸いです。
DJ/Artistとして自分自身が売れたい、という強い思いは現在あまりなく、楽曲制作においては自身の苦しみや負の感情を曲というフォーマットに落とし込んでいるのですが、それを聴いた人が「ああ苦しんでてもいいんだ、楽になっていいんだ」と感じてくれたら僕の中のアートが伝わる瞬間かなと思って現在の楽曲制作にあたっています。
また低音研究会の話にもどってしまいますが、DJを聴いたお客さんが「心があったかくなった」と言ってくれ、それは今僕の強い原動力になっています。
苦しみや辛さを音として昇華してそれと向き合い、許し合えるような時間を提供できるアーティストになりたいですね。

拙作ながら自身の楽曲およびJunDとのユニット、M(a/u)SHとしての楽曲をBandcampにて販売しています。ドラムンベースとしての楽曲構成にはなりますが、この曲を通して少しでも癒しや感動を与えられたら幸いです。

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