【interview】NOUSLESS

NOUSLESS/club GOODWEATHER producer

DJを始めたきっかけを教えてください

学生時代は、インディーズのビジュアル系(特に名古屋・密室系)を好んで聞いていました。
当時は主流であったデモテープや配布音源などを揃えるのが趣味で、そこがDJとしての礎となっています。

本格的にDJとして意識をし始めたのは、2000年代初頭に発生したUKダブステップの動きに触れた後です。
自分にとって「面白い」音楽は「今の自分には理解できない」音楽で、いち早くUKダブステップのムーブメントに触れたBBCの女性DJ、Mary Anne Hobbsが監修したコンピレーションアルバム「Warrior Dubz」は、まさに「理解できない」の連続でした。
今では明確にジャンルとして紐づけられているグライム、ダブステップの境界も曖昧な頃で、国内はおろか海外でも「Grime」としてでしかレコードは取り扱われておらず、4x4や2ステップのレコードも混在していたりと、ディグもひたすらに新鮮だった記憶があります。
音楽としての可能性の幅広さと、サウンドシステムのカルチャーを継承したUKダブステップの虜になってからは、自然とDJとして活動を始めていたような感覚です。GOODWEATHERと出会い、それは確実な道となりました。


印象に残っている、または影響を受けたパーティーを教えてください

FWD>> (Plastic People - 2006年)

初めて体験したサウンドシステム環境でのグライム、ダブステップの伝説的パーティー。
Crazy-DのMCやHatchaの雑なリワインドなど、鮮明にそのアウトローのバイブスを覚えています。
自らこのパーティーに足を運ばなかったら、恐らく今のDJとしての自分は違う形になっていたでしょう。
あまりにも大きな衝撃と経験でした。

GOODWEATHER#32 Terror Danjah & DJ Champion Japan Tour
(Club JB'S - 2013年)

手前のパーティーで恐縮ですが、この2人のプレイには「自分には絶対に到達しえない」グルーヴの塊を感じました。
UKファンキーという単なるジャンルの括りを超え、ベースミュージックの何たるかを垣間見た気がします。
自分も出演していたのですが、悔しいという思いを遥かに超えて茫然自失となった事を今でも記憶しています。

今好きな3曲を教えてください

Minor Science - For Want Of Gelt [AD 93 - 2020年]

Minor Scienceのデビューアルバムから1曲。作品全体に言える事ですが、とにかく音作りと曲の展開が面白くて飽きさせません。
「こう展開するだろう / こうループして続くだろう」という無意識の予想を全て裏切ってくれるのは爽快の一言。

黒夢 - 楽死運命 [la † miss - 1992年]

サムネが衝撃的ですみません。最近は「初期ビジュアル系の音楽的再評価」をテーマに、過去の音源を聞き直しているのですが、まだ黒夢が4人だった時代に制作されたこの曲は、呪術的かつ密教的で、かつループの美学も兼ね備えた素晴らしい1曲です。
意図的に歌詞がほとんど機能しておらず、後半の一部とラストのサビ以外は、所謂「清春語」で歌われている部分も特筆すべきかと。

Jlin - Kundalini [Planet Mu - 2018]

ジューク、フットワークをバレエの領域にまで発展させた女性プロデューサーJlinのサードアルバム「Autobiography」からの1曲。
タイトルであるクンダリーニはサンスクリット語で「体内の根源的な生命エネルギー」を意味していて、ヒンドゥー由来の概念。
6/8拍子に移り変わった後のダイナミックなベースやキックが、力強い大地に舞うダンサーを連想させます。

今後の展望について教えてください

DJとして: 以前はターンテーブル3台を使用していましたが、現在はビートマッチで繋ぐという制約から外れ、音楽ジャンルとして括ることなく、一本の自分の中の糸のようなものを繋いでより「感覚的」なDJを追求しています。
絶対にビートマッチで繋がないというのも逆説的な制約なので、自己の感覚を学びながら、少しづつ方法を探っていければと思います。

また、7月に営業を再開する名古屋club GOODWEATHERでは、イベントフライヤーを中心に、デザインも担当させて頂いています。
視覚的な部分、ヴィジュアルの面は音楽における芸術の相乗効果があると考えているので、貢献できればという思いです。

https://twitter.com/djnousless

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