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笑顔の裏にある“強さ”と“覚悟”―兼近大樹・「むき出し」読了記

こんにちは。
秋の訪れを感じる季節となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか?

夏休み中に学校の図書室にリクエストしていたEXIT・兼近大樹さんが上梓された「むき出し」。兼近さんが「24時間テレビ45」のチャリティーマラソンを完走したタイミングで読みました。今回はその感想を少し綴りたいと思います。

「むき出し」(兼近大樹/文藝春秋)

一部ネタバレを含む要素を書かなければならないことがありますので,ネタバレが気になる方は「むき出し」を読まれてからここから先の記事にお進みください。

兼近さんのここまでの半生を題材にした小説で貧乏な時を過ごし,自分で“可哀相な人”を演じることで人々から同情や注目を浴びようとした中理不尽な大人達に疑問と不信感を持ち,自分の道理と正義感を貫くためには人を傷つけることも厭わない人生を送ってきた青年時代。そんな中で裏の社会の人達との関わりを通して自分の過去の出自や過ちについて改めて見つめ直していく様子が克明に描かれていて一本のドキュメンタリーのような重みがありました。

裏の社会の人たちも全員が悪い人ばかりではなく,それぞれが複雑な事情を抱えているということが伝わってくるのと同時に,そういった人たちに世の中は冷たいなというのも改めて感じました。それぞれの生い立ちや境遇を完全に理解し合うことは難しかったとしても,話を聞いたり,何かしらの窓口や捌け口になることがそういった人たちの生きやすさにも繋がるだろうなと思ったし,そういった人たちが生きやすくなれば社会全体としてももっと生きやすくなって日本全体のQOLや生活の質も向上して快適で住みやすい安全な国になっていくのではないかなと思いました。

また,自身の出自や経験から社会問題に感心を持ち,自分と同じような境遇だった人を救いたいと活動している兼近さんの原点を知ることが出来る一冊だった。この本がそういった社会では比較的下とされている階層の人たちにも届いてそうした問題に一石を投じるものになってほしいなと感じました。

テレビで見せる笑顔の裏で壮絶な経験をしてきて自身の心の中にも相当な覚悟を湛えて生きてこられたのだろうなと感じて,兼近さんのことをますます好きになるのと同時に,その立派な姿勢を尊敬したくなりました。

また,壮絶な環境にいる人もいる中で自分は恵まれているなとも感じたし,当たり前のように日々を送れていることに改めて感謝したいなとも思いました。

拙い文章を長々と書き連ねてしまい,大変失礼致しました。
そして今回も最後までお読み頂きありがとうございました。

季節の変わり目,皆様お体ご自愛ください。

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