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温かみと毒と例えと笑いのあった「きれはし」読了記

はじめに


こんにちは!

ヒコロヒーさんのエッセイ「きれはし」を読みました。今回はその感想を少し綴ろうと思います。その前に僕は,学生なので学校の図書室を利用することが多いのですが,学校にリクエストして今回,「きれはし」を入れてもらいました。ダメ元でお願いし,結果的に入れてもらえて,学校第1号で読むことに成功したのですが,リクエストするときに少し歳を取った司書の方がヒコロヒーさんのことが分からなかったのか,作者名を言ったときに「えっ?なんですか?ヒコロシー?」と,まるでバンクシーとでも言いたげな風に聞かれました。私は丁重に「ヒコロヒーです。」というのに徹しました…笑

長くなりましたが,本題へ参ります。
話の進行上,ネタバレを含む要素を下記連ねなければならないので,まだ読んでいない方は,「きれはし」を読んでから,この拙い文章を読むことをおすすめします。

僕は元来,エッセイというものをあまり読んだことがなかったのですが,初めて読んだエッセイがこれで良かったなと思える作品でした。

各章から


最初の「まるこ」は,先輩芸人との「ちびまる子ちゃん」の価値観の違いから,「ちびまる子ちゃん」を見始めて,感情移入をし始めていく様子が先輩との緩い関わりや,会話を通して描かれていて,スタートから面白いと思える話でした。

「宇宙」は,ヒコロヒーさんの学生時代の「全力同化チャレンジ」から学んだ経験から,「無理してみんなと同化しなくてもいい」ということを改めて感じて,クラスという社会集団での生き方の参考になりました。

「方言」は,愛媛県出身のヒコロヒーさんの独特な「愛媛訛りが混じった関西弁」の秘密が分かったと共に,ヒコロヒーさんらしい愛のある毒で方言について斬り込む,見ていて痛快な話でした。

「タイムリープ」は,ヒコロヒーさんがタイムリープに憧れていたという意外な事実を知ることが出来るとても面白い話でした。

「岐阜営業」は,青年実業家の前で営業でネタを披露することになったヒコロヒーさんが青年実業家の方から「エコロジーさん」と呼ばれていたくだりは図書室でなければ腹を抱えて笑ってました。この本の中で一番笑った章でした。

「コリドー前編」「コリドー後編」は,ヒコロヒーさんが同居している太陽の小町・つるさんと「30分で10人からナンパされる」とネット記事に書いてあったというコリドー街へ出かけ,惨敗するところから始まり,その後,慰労も兼ねて立ち寄った居酒屋で男性に声をかけられたヒコロヒーさんは無茶苦茶な設定の中国人という体をしばらく突き通しますが…という話で2部構成になっています。終電間近の深夜のコリドー街で泣き叫んでいるヒコロヒーさんとつるさんの情景が浮かび,とてもシュールだなと感じると共に,無茶苦茶な中国人という設定を選んだヒコロヒーさんの咄嗟の判断から話が思わぬ方向へと進んでいく恋愛奮闘記的な話でした。

「サマージャム」は,とにかく夏が嫌いなヒコロヒーさんの夏に関する愚痴が書き綴られた章でした。ちなみに僕は春が好きです。笑

「彼女たちについて」は,可愛がっていた後輩の女性コンビとの交流をヒコロヒーさんらしい温かさで描いた章で,最後に彼女たちが解散を切り出すのですが,どこかその場面は読んでいて寂しい気持ちになりました。

「ドンキのジーパン」は,ヒコロヒーさんの決して飾らない無骨ともいえるようなファッションの裏側が垣間見られ,庶民的なヒコロヒーさんが全面に押し出されている章で,食事に誘った彼氏が「ドンキのジーパンはちょっと」と連絡をされ,その食事を断る,という顛末でした。ちなみに僕は自分がファッションセンスがないからか,寝起きのパジャマとかでない限り,女性の格好はあまり気にしません…笑

「電子書籍」は,普段から本を読むのが好きだというヒコロヒーさんが楽屋で浮かず,楽屋の芸人たちから詮索されないために,紙の本ではなく,電子書籍を読んでいるという話でした。僕は,電子書籍よりも紙派ですが,ネットニュースの記事を読むような感覚で,電子書籍を読んでみたいとも思いました。

「春はスピッツ」は,ヒコロヒーさんが好きだという「スピッツ」のことについて書かれている章で,スピッツを聞くのは春に限る,というヒコロヒーさんの持論が展開されていました。この章を読んで,ヒコロヒーさんが春の桜が満開の坂道をヒコロヒーさんがスピッツの曲を聴きながら,自転車で駆け下りている情景が浮かびました。

「お客」は,ヒコロヒーさんのファンへの向き合い方が書かれている章で,常にファンや様々な人への感謝を忘れずに芸能活動をしているということが文の端々から窺え,とても礼儀正しい方なのだな,と改めてヒコロヒーさんのことが好きになるような章でした。

「2020」は,ヒコロヒーさんの昨年の振り返りが日記のように綴られている章で,昨年の後半から急激に売れ始め,人気者になっていく上での葛藤なども描かれていている章でした。

「香水」は,普段は簡単な香水に似たスプレーで香りや匂いを楽しんでいたヒコロヒーさんが奮発して伊勢丹で香水を買い求める,という話で烏滸がましいようですが,売れて心の余裕が出てきたヒコロヒーさんのささやかな幸せを一緒に共有させてもらっているような気分になる章でした。

「チェックリスト」は,この本の最終章で帯に書かれている文面も載っている話でした。芸人としてモチベーションを失いかけていたヒコロヒーさんが「これを達成できたら辞めてもいい」というチェックリストを作ってそれを達成し,いつ辞めてもいい,と後悔なく進んでいるというヒコロヒーさんの新たな決意が窺えるような章でした。締め括りに相応しいどこか希望あるフィナーレでした。

最後に

この本を読んで改めて良かったなとつくづく思う話であり,ヒコロヒーさんのことをより一層好きになったし,ヒコロヒーさんへの憧れが強まる話でした。ヒコロヒーさんの毒もありながら,愛のあるツッコミと的確で笑いを誘う例えが随所に散りばめられており,あっという間に読み終えられたような印象でした。本を読んだあとにどこかで何が吹っ切れるような感覚がありました。一言で言えば「素晴らしい」作品でした。読めて良かったです。
また,本の随所にあるヒコロヒーさんのイラストもどこか心が和みました。

ということで,今回はそろそろこの辺で筆を置きたいと思います。今回も拙い文章をヒコロヒーさん同じnoteで書かせてもらいました。ここまで,最後までお読みいただき,ありがとうございました。

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