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誕生日がふたつある人《Club with Sの日 第4回レポ》

2021年7月14日
Happy International Non-Binary People's Day!!

ノンバイナリーの記念日がやってきた。
この日を待ちわびて、1ヶ月以上かけて準備してきた。
Club with Sを立ち上げて、「7月14日までに数回ミーティングできるな、その頃にはコミュニティも落ち着いて開催できるようになっているだろう」などと逆算して、お祝いを計画してきた。
当日はミーティングの前にずっと観たかった映画『The Prom』を鑑賞。
そうしたら、本編ではまるでClub with Sの日のように、様々な地域に住んでいるクィアたちがオンライン上で繋がり、共感し合うシーンがあり、大感激。
ワクワクドキドキしながら、開催時間まで気分を高揚させていた。
日本で一番ノンバイナリーデーを楽しんでいる自信がある。
で、「自分も一番楽しんでいます!!」みたいな仲間たちが Club with Sの日に集まってくる。

さあ、パーティーをはじめよう。

第4回のテーマは『ノンバイナリーのプライドとは?』

ノンバイナリーとして過ごしていると、様々な困難や悩みがある。
でも、それと同じくらい、喜びも誇りもある。
だけど、マイナスな感情に引き擦られて、可視化されにくい。
今日は、今日くらいは、素直に楽しみたい。
僕らの記念日を僕ら自身でお祝いしたい。

そもそも、なんで自分らですべてをやらなければならないか、って話なのだけど。

「6月のプライド月間が終わってまた存在が忘れ去られ、LGBTQ+の中でもマイノリティで、だから、ノンバイナリーの僕らは僕ら自身で祝い合うしかないじゃん? うるう年の2月29日に生まれた人たちが集まってお祝いするようなもんだよ」

と運営メンバーの相方に言ったら、「分かりやす!」とびっくりされた。
自分でもそう思う(笑)

Club with Sの記念日にはノンバイナリーを自認する仲間たちが集まってくれた。
「おめでとう」が言えた。
何度もお互いに拍手をして、祝福した。
一ヶ月前の想像が実現するどころか、理想を超えた先でお祝いできた。
あの日の自分にClub with Sを自慢したい。

そろそろ、タイトルの話をしようか。
ちょっと変な質問かもしれないけれど
君は、誕生日は好き?
自分は、苦手だ。
誕生日になると、生きるとか死ぬとか考えてしまって、死生観が揺らぐ。
去年の誕生日はジェンダーやセクシュアリティについて悩んでいた時期でもあり、とてもじゃないがHappyな気分にはなれず、悶々と過ごしていた。
なんだかもったいなく、かつ申し訳ない感じで、だからといって無理やり楽しむのも違う気がして、それなら、別の誕生日をつくってしまえばいい、と思いついた。
例えば、ジェンダー・アイデンティティの誕生日なんて、どうだろう。
身体(性)も性自認も自分にとってはどちらも大切で、優劣をつけられるものじゃない。
どちらも祝福されるべき誕生だ。

そんなことを考えながら、おばあちゃんのことを思い出していた。
おばあちゃんは、“誕生日がふたつある人”だった。
実際に生まれた日と、名前の誕生日。
昔の人は、生まれてから直ぐに亡くなってしまう可能性もあったので、出生後、数ヶ月経ってから名前を付けたのだそう。
子どもの頃は「誕生日がふたつあっていいね!」と素直に思っていたし、どちらも大切にお祝いした。
その感覚でいいのだと思う。
名前もジェンダーも、その人にとって重要なアイデンティティであることに変わりはない。
自分の誕生日と、ジェンダー・アイデンティティの誕生日。
おばあちゃん、自分も“誕生日がふたつある人”になりました。

ノンバイナリーを自認している人たちへ。
君は挑戦者であり、先駆者。
ジェンダーに関する教育・法整備が圧倒的に遅れている日本で、この価値観にたどり着くために、いったいどれだけの努力を重ねてきたのだろう。
本人は努力とも思ってないのかもしれないが。
まるで、すごく難しい宝探しのような。
ヒントとなる情報はごくわずか。
やっと見つけても、そこに記されている言語は母国語ではなかったりする。
ジェンダーの迷路を駆け巡り、ときに振り出しに戻ったりしながら、手探りで求めてきた。
何も知らない他人からのフェイクに戸惑い、翻弄されたこともあるだろう。
それでもめげずに、必死で真実の存在だけを信じてきたんだ。
孤独を戦い抜いた先。
たどり着いた宝箱の中身は、君だけのアイデンティティ。
僕らは、君の意志、信念、才能、熱意、すべてを祝福し、称賛したい。
そして、やっと手にした宝物を二度と手放さなくていいように、肯定し、サポートし続けたい。
君の存在を、誇りに思っている。

最後に。
コミュニティをサポート、応援してくださっている皆様、そして何より参加メンバー全員に改めて御礼申し上げます。
いつも本当にありがとうございます。



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