コロナ私史 令和2年3月

国内での蔓延が心配される状況となり、当時の安倍総理は学校の休校を要請。未知の感染症に対して、子どもを守ることを決断した。急ピッチで進められたため、学校現場での対応や休業を余儀なくされる保護者、また保護者が休めない場合の学童保育等で問題が生じ、関係者は対処に追われた。待機用教室の開放や、休業した保護者への支援金、学童保育や幼稚園・保育園の開園継続要請など我が国は課題に対して様々な施策を展開した。しかしながら、残念であったのは一部野党を始めとする評論家が、社会に生じた混乱を以って、休校要請に踏み切った判断の科学的根拠を求めて執拗に問い質したことである。エビデンスが積み重ねられていない中で、当時の政府の判断は多分に政治的判断にならざるを得なかったであろうし、事実そうであることを安倍総理も答弁していたにもかかわらず、科学的根拠がないとする批判はしばらく延々と続くことになる。いま振り返ると、この批判者の態度こそが、日本政府および世論に対して、「強力な措置」をその後に亘って意識的にせよ無意識にせよ躊躇わせることに繋がったのではないだろうか。重要な発端になったように思われる。危機に直面したとき、求められるのは強いリーダーシップである。戦前の反省が未だ尾を引いているのか、我が国では例え大局的に必要な判断であったとしても、誰かが目立つ決断をするとそれを徹底的に粗探しして、何か批判が出来ないかと考える論壇の風潮が根強い。そうではなく、ともに未来を見据え、次に何をすべきか、それを全国民で考えていけるような社会であってほしかった。

「強力な措置」の余波を恐れたのか、新型インフルエンザ特別措置法を改正し新型コロナに対しても緊急事態宣言などの対策を行なえるようになった一方で、政府の発信は「まだ持ちこたえている。宣言発出の状況ではない。」といったものに終止する。危機感を抱かせるのではなく安心感を与えるような発信に、国民の気が緩んで花見に繰り出したともいえるのではないだろうか。結局、翌月の我が国初めての緊急事態宣言発令に繋がる。

政策面では、民主党政権時に成立した新型インフル特措法の使い勝手に検証が必要だというところ。また小中高及び保育園と言った時の幼稚園の立ち位置、マスク不足が提起したサプライチェーンリスク。

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