私の【忘れられない旅】 =日光街道歩き旅=
#忘れられない旅
◆はじめに
2022年9月から12月にかけて、日光街道を歩いた。1回につき20キロほど、全8回で歩き抜いた。松尾芭蕉は『奥の細道』にて、全行程およそ2,400キロを150日で歩いたそうだ。一日平均16キロ歩いたことになる。当時の芭蕉は一切舗装されていない道を草鞋で歩いたことが想像される。一方、私は完全に舗装された道をスニーカーで歩いた。それでも実際に20キロも歩いたら、足の指の裏側が痛くなって、歩くのが大変になる。私の歩き旅は8回に分けて行なったが、芭蕉は毎日歩いたと想像される。「芭蕉は忍者だったのではないか」という説もあるそうだが、頷ける。
◆第1弾 =日本橋―越谷駅= 2022年9月17日(土)
朝6:30に日本橋を出発した。日本橋は初めて訪れる場所なので、ワクワクした。「日本国道路元標」が特に楽しめた。ここから日光街道(主に国道4号線)を歩く旅を始めた。
歩き始めて1時間(7:30頃)で上野駅に到着した。入谷を通り、道中で小野照崎神社に立ち寄って参拝した。
8:30頃に千住大橋に着いた。松尾芭蕉の『奥の細道』で立ち寄った場所でも知られており、そういった記念のようなものは見られた。千住大橋を渡り、千住神社をお参りした。
そこからまた国道4号線(日光街道)を歩いた。9:20頃に千住新橋を渡った。日本橋から9キロの地点だ。歩くペースはたいして速くない。さらに歩き続け、11:00頃にやっと東京都を出て、埼玉県草加市に入った。
日光街道を歩くには、国道4号線ではなく県道49号線を歩いたほうがよかった。そこに気づいていれば、草加宿松原庵やまつばら綾瀬川公園を歩けた。惜しいことをした。13:40頃にようやく越谷市に入った。もう足の裏が痛かった。この時点で、日本橋から20キロだった。限界だった。越谷駅をこの日のゴールとし、初日の旅を終えることにした。
第1弾は日本橋から越谷駅まで、約25キロ歩いた。一日中、とにかく暑かった。
◆第2弾 =越谷駅―杉戸高野台駅= 2022年9月25日(日)
朝7:10に越谷駅を出発した。県道49号線を北上した。北越谷駅を過ぎ、大袋駅付近で国道4号線に合流した。8:25頃にせんげん台駅前を通過し、春日部市に入った。先週と比べ、脚の調子は快調だった。
9:35に春日部市の一宮交差点で県道2号線に入り、粕壁宿に入った。脇本陣跡と本陣跡の前を通った。国道4号線に戻り、杉戸町に入った。杉戸に入ってすぐのところに、「すきすきすぎーと36」に立ち寄った。北緯36度の緯線だ。
11:00頃に杉戸宿に入った。1時間ほど歩き、国道4号線に戻った。これまで19キロほど歩いた。12:30頃に食べ放題の焼肉屋で昼食を取った。休憩は取ることは取るが、5分以内で終えていた。一度ゆっくり休んでしまうと、再度歩くのが辛くなると思っていた。足の裏と足の付け根(前部分)が痛かった。今日はゆっくり休んだ後でさらに3キロほど歩いた。14:40頃、本日のゴールの杉戸高野台駅に到着した。
第2弾は越谷駅から杉戸高野台駅まで、約20キロ歩いた。
◆第3弾 =杉戸高野台駅―JR野木駅= 2022年10月23日(日)
7:00に杉戸高野台駅を出発した。出発時は肌寒かったが、1時間くらい歩くと、体がぽかぽかしてきた。まず、幸手の宿場町を歩いた。撮れ高としては一里塚跡といったところだろう。だいたい5キロ歩くのに、90分もかかってしまった。
国道4号線をさらに1時間ほど歩き、栗橋宿に着いた。栗橋での最大のハイライトは八坂神社だった。お参りし、利根川の橋を渡り、茨城県古河市に入った。
古河市に入り、中田宿に入った。それらしい場所を探してみたが、お寺にかつての宿場町の面影を見るのみだった。
11:15頃に古河市内のカスミストアで休憩を取った。ちょうど12:00に古河宿に入った。長谷観音をお参りし、歴史博物館前を通り、古河駅前を通過した。古河宿道標までは宿場町の面影を堪能した。
古河駅前から更に北上し、栃木県野木町に入ったところで、13:00過ぎにうどん屋で昼食を取った。その後、野木神社を参拝した。
最後の力を振り絞り、残りの3キロ程を歩き、14:45にこの日のゴール、JR野木駅に到着した。第3弾は杉戸高野台駅からJR野木駅まで、約23キロ歩いた。
◆第4弾 =JR野木駅―JR自治医大駅= 2022年11月20日(日)
7:30にJR野木駅を出発した。出発時は寒かったが、1時間くらい歩くと、体がぽかぽかしてきた。のどかな田舎道を歩いた。45分くらい歩いて、小山市に入った。基本的に国道4号線を歩いた。
9:20頃に間々田八幡宮の参道前を通りかかった。何だか呼ばれたような気がしたので、立ち寄ってみることにした。15分ほどお参りし、国道4号線に戻った。
2時間半ほど歩き、国道4号線から県道265号線に入った。この県道を歩いて、JR小山駅を目指した。小山市内では須賀神社をお参りした。七五三詣りの家族連れがたくさんいた。参拝後はJR小山駅前を通過した。
その後も歩き続け、下野市に入ったところで、昼食休憩を取った。JR小金井駅前、小金井一里塚跡、小金井宿本陣を通り、14:15頃に、本日のゴール、JR自治医大駅に到着した。第4弾はJR野木駅からJR自治医大駅まで、23キロ歩いた。
◆第5弾 =JR自治医大駅―東武宇都宮駅= 2022年11月27日(日)
朝6:11の電車に乗り、南栗橋駅、JR栗橋駅と乗り継ぎ、7:11にJR自治医大駅に到着した。7:15から第5弾の歩き旅を始めた。朝の霧が寒く感じられた。
国道4号線をひたすら歩いた。1時間ほど歩き、JR石橋駅前に着いた。国道4号線から逸れ、少し寄り道することにした。片道2キロほど歩き、星宮神社を参拝した。
寄り道に1時間近くかかったが、国道4号線に戻り、さらに歩いた。この辺りから右足首の付け根が痛み出した。スタートから2時間ほど歩き、下野市から上三川町に入った。さらに20分ほど歩き、宇都宮市に入った。雀宮宿仮本陣前を通り、雀宮駅前を通過した。雀宮神社を参拝し、「東京から100 km」の標識に着いた。
11:45に国道4号線と国道119号線の分岐点に着いた。ここを右に行くと奥州街道だ。今回は直進(左側)し、日光街道に入る。ここからさらに5キロほど歩き、本日のゴールである東武宇都宮駅に12:30に着いた。ゴール直後に眞壁屋うどん東武宇都宮店で昼食を取った。美味しかった。
第5弾はJR自治医大駅から東武宇都宮駅までの日光街道と、途中の寄り道と合わせて、合計約23キロ歩いた。
◆第6弾 =東武宇都宮駅―JR下野大沢駅= 2022年12月17日(土)
始発電車に乗って、7:16に東武宇都宮駅に着いた。7:20から歩き始めた。前回までは基本的に国道4号線沿いを歩いたが、今回は国道119号線沿いを歩いた。序盤は街中を歩いたが、1時間ほど歩くと、昔の杉並木の道をひたすら歩くことになった。
歩き旅を始めたのは9月だった。半袖で汗だくになって歩いたが、今日は終日寒かった。
道中で智賀都神社に立ち寄り、参拝した。車で日光へ行く時に何度も目にして、気になっていた場所であった。今回は参拝できて、すっきりした。
11:50についに日光市に入った。旅は終盤だ。
昼食はそば処栗山で取った。そばのまち日光らしく、天ざる蕎麦を大変美味しくいただいた。
昼食後は杉並木街道を歩いた。大学生の時は車で走ったが、今は杉並木の保存区域に指定されているため、原則として車は通らないことになっている。久しぶりに、歩いた。
第6弾は東武宇都宮駅からJR下野大沢駅まで、23km歩いた。
◆第7弾 =JR下野大沢駅―東武日光駅= 2022年12月18日(日)
前日に引き続き歩き、2日間で40キロ歩いた。
朝8:10にJR下野大沢駅を出発した。まずは10キロ先の道の駅日光を目指した。1時間ほど歩くと、足が痛くなり出した。やはり2日連続は堪える。2時間半ほど歩き、道の駅日光に着いた。すでに足が痛かった。
道中で瀧尾神社に立ち寄った。旅に出られたことを感謝し、旅の安全をお誓い申し上げた。
痛む足を引きずりながら、上今市駅から杉並木街道をひたすら歩いた。
8:10から歩くこと4時間40分、12:50にようやく本日のゴール、東武日光駅に到着した。
駅前の食事処のあずまで昼食を取り、日光ステーションホテルクラシックにて日帰り温泉に浸かり、旅の疲れを癒やした。東武日光駅15:09発の電車で帰った。
◆第8弾 完結編 =東武日光駅―日光東照宮= 2022年12月25日(日)
6:00に起床し、8:00前の電車に乗り、9:20頃に東武日光駅に着いた。東武日光駅から国道119号線を歩き、神橋に着いた。神橋の交差点を渡って日光山内に入った。10:10頃に表参道に着いた。
東照宮は何度来ても、飽きさせない魅力がある。大鳥居、五重塔を過ぎ、拝観料を納め、表門から境内に入った。改修工事の真最中の下神庫は殺風景だった。陽明門は絢爛豪華な姿を見せてくれた。陽明門をくぐり、御本社の前で自撮りし、拝殿に入った。拝殿では、日光街道歩き旅を完結できたことに対する感謝を申し上げた。
坂下門の眠り猫と奥社を経て東照宮を後にした。その後は二荒山神社を参拝し、芭蕉が日光で詠んだ俳句の句碑を拝み、日光街道歩き旅を完結させた。
◆おわりに =旅の総括の一句=
ありがたし 歩き旅終え 師走かな
9月に始めた歩き旅は12月に終えることができた。歩き終えた瞬間の感情は「感謝」だった。歩き始めた頃は30℃を超える真夏日だった。それが完結編の日、日光市内は雪が降り積もっていた。
歩く過程は正直なところ、疲れたからもう止めようかなと思うこともあったし、道中にあるバス停を見てバスに乗ろうかな、と思うこともあった。そうした誘惑を払いのけ、その日のゴールに着いた瞬間の爽快感は何物にも代え難かった。また、道中で食べた物も美味しかった。最後に入った温泉も気持ち良かった。今回の旅は行先で非日常を楽しむというよりも、移動の過程にある非日常を大いに楽しむことができ、大満足の旅だった。