降参しました

12月2日木曜日の夜、突然咳が出始めた。正確に言えばいつも通りレモンサワーを2L飲んでから寝て、咳で起きた。午前1時くらいだったと思う。それから、同じ寝室で寝てるヨーさんを起こさないように布団をかぶって咳をしたり我慢したりしていた。気づいたら朝になってた。寝れなかった。

12月3日金曜日、朝にはもう声が枯れていた。でもそれだけ。熱もなければ頭痛もなし。お客様には「なんか声だけ変ですいません」と言って仕事してたらだんだん出るようになってきた。そのかわり何か身体が変。重いというか昔風邪引いた時を思い出すとこんな感じだったのかなっていう。試しに夕方熱を測ってみたらこれ。

そんなはずない。俺はいつも熱い風呂に入り、休みの日はサウナに入り温冷交代浴をして免疫力が高い。高いはず。何かの間違いだから5分後に測り直し。そしたらこれ。

ね。やっぱそうだ気のせいだったんだ。まあこれくらいの微熱なら出る事もあるだろうし気にしない。だからもう測らない。

12月4日土曜日。何も違和感なく快調に仕事を開始した。順調に進める。声も出る。
でも午後早い時間からだんだん声が出なくなる。終わる頃には完全に声が出なくなっていた。アスカさんとマナブに「俺明日これだったら電話出れないんでよろしく」と言って帰った。
夕飯が全然進まない。体温は37.5度だった。
ヨーさんが「コロナ怖いからPCR受けなよ」と言った。普段俺は絶対にヨーさんには逆らわないんだけど、「俺に何かあったらどうすんのよ。俺が病院行く時は俺が倒れた時だけ。それだけ。」と言って聞かなかった。それからどんどん体調が悪くなっていって、午前1時、酷い悪寒で目が覚めた。測ったら体温は39.6度。ヨーさんを起こして「俺明日ダメだわ。ギブアップします。」と伝えた。

12/5 日曜日
ヨーさんが近所の総合病院で祭日でも緊急で検査してくれるのを見つけて連絡してくれた。朝9時起こされて「今行ってきて!」と言った。俺はその日1日寝て、月曜日かかりつけ医で簡単なPCR検査で陰性を勝ち取るつもりだったから「え!今!」と思ったけど起き上がってフラフラで準備してその病院に行った。家から自転車で3分。

コロナとインフルエンザ、両方の検査をして血液検査もした。待ち時間が凄く長かったけど仕方ない。日曜日だ。苦しい苦しい待ち時間だった。不安でしょうがなかったし、座ってるのだけでツラい。途中でヨーさんが来てくれた。「おい大丈夫?」心がフッと軽くなった。

結果はコロナもインフルエンザも陰性。でも血液検査でCRP値とかっていうのが異常値出てるからCTも撮った。

もう座ってるのもツラい、空いてるベッドを借りて全ての結果が出るのを待ってた。やったぜ。陰性を勝ち取ったぜ。ヨーさんがCTの結果を見に行ってくれた。

そしたら「このまま入院かも」って。
冷汗が出た。もしそうなったら仕事どうすんのよ。12月だよ。予約も入ってる。俺がいなきゃダメだろ。色々な事が頭の中をぐるぐる回った。
そして先生の話。「まあ、肺炎です。普通なら即入院です。」「どれくらい?」「2週間。最短でも1週間。余裕持って仕事復帰出来るのは3週間後。」「いやいやいやいや!!ありえないよ!そんなん無理だもん!」

なんも分かってねえ。自分で商売やってねえからしょうがないけど、給料貰うんじゃなくて自分で稼いでスタッフに払うとか色んな支払いを天引きじゃなくて自分で払うとか、土日で俺がどんだけのお客様やるのかとか、なんも分かってねえ。全然分かってねえ。怒りが込み上げて少し声が大きくなった。「入院?無理っすね。帰ります。」
そしたら、
「最後はご自身の判断に任せるしかないんですが、このままいつも通りの生活をして、仕事をしてだと死亡する可能性もあります。だいたい50%の確率で死にます。それくらいの状態です。声が戻らない場合、肺癌の検査もしないといけません。どうしますか?」と先生。
ヨーさんの方見たら優しい目で「うんうん」と頷いていた。これで観念した。降参だわ。
「入院します。でも1回帰ってシャワー浴びてきていいですか?」

帰ってシャワーを浴びた。しばらく風呂にも入れない。出る前にヨーさんが【卵とじうどん】を作ってくれた。沁みたぜ。美味しかったありがとう。こうして昨日から入院生活が始まった。目的が療養と毎日の検査。

最近までコロナの症状で【倦怠感】とか【身体の痛み】とかってのを見て、「仕事してたらそんなのを感じるのは当たり前。皆疲れてるし、どっかしら痛えだろうが。」って思ってたけど、この2日間ずっと寝てて何もしないで分かった。俺は疲れてた。俺の身体はどこか必ず悲鳴を上げてたのに俺はそれを無視していただけだった。自分をごまかし、自分に嘘をついてた。俺ごめん俺。

今回ラッキーだった。
もし周りが言うの聞かずに検査受けてなかったら、受けたとしても自分でやるやつで簡単にとか、駅前の簡易PCR屋さんとかだったら、絶対に急性肺炎は見つからなかった。あと、縛られてた何かから少し解放された気がする。俺いなくても大丈夫だわ。1人だけだったらさすがにまずいけど、店にはアスカさんがいてくれる、マナブがいてくれる。ヨーさんとマーもいつも俺をサポートしてくれる。もちろん両親はじめ周りの家族や仲間みんな助けてくれる。

甘えてみる。今回だけはごめん、甘えさせて頂く。でもまあ年末には帰れるだろうから心配しないでくれ。店が本当に忙しくなるのは後半半分。最初だけ頼んだ。ラスト助けに行くよ。

1日3食バランス良い食事取って、夜食も食べて、酒もタバコもやらず、ダラダラ寝て、ちょっと体重増えて助けに行くよ。

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