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ビルドの底なし沼――ゲームの旅:Path of Exile(3.18 Sentinelリーグ)

FF7のマテリアが好きなんです。

「ほのお」は普通に使うとファイアが使えますが、「ついかこうか」と連結すると通常攻撃が炎属性になって、炎が弱点の敵に大ダメージを与えられる。この「組み合わせて使う」という遊びが楽しくて。私が好きな組み合わせは武器で「ハーデス」と「ついかこうか」を連結して、状態異常をモリモリにして撃つ「ぜんたいぎり」です。

そんな「組み合わせ=ビルドを考える」のが好きな私が、ここ3ヶ月やっていたゲーム、Path of Exile(以下PoE)がめっちゃ面白い、8月20日が始めるのに一番良いタイミングなのでやりましょう、という話をします。

PoEは2013年から運営されている基本無料のオンラインゲームですが、「追いつく」必要は全くないし、遊び心地は1人用ゲームに近く、運営型ゲームらしからぬ派手なバランスになっています(なので運営型ゲームを好まない人でも遊べる)。これを支える仕組みについても後述します。

PoEはビルドのゲーム

PoEは「ハクスラ」です。たくさん出てくる敵をどんどん倒して、いい武器を手に入れたら、より強い敵をどんどん倒して、より強い武器を手に入れる、この繰り返し。このジャンルではDiabloシリーズが一番有名で、遊んだことがある人も多いでしょう。

ハクスラジャンルの中でのPoEの際立った特徴は「自分でビルドを組み立てる余地が大きい」ことです。

  • マテリア風のアクティブスキル

  • スフィア盤風のパッシブスキル

  • 多様な、ほんとうに多様な手段によるクラフト(アイテムの強化・加工)

これらが、自由度が高い、PoEのビルドを実現しています。1つづつお話します。

マテリアが6連結!?アクティブスキル

PoEのアクティブスキル(戦闘で使う技)は、FF7のマテリアのように、装備にスキルジェムをはめ込むと使えるようになります。

右側の赤と青の丸に注目

これは私が作ったキャラの鎧と、それにはめ込んだスキルジェムです。見てわかる通り、ジェムが6個連結されています。FF7のマテリアは連結できるのは2つだった事を考えると、もうこれだけでとんでもない仕組みがあると思える人もいるでしょう。私はそうでした。

この鎧には1個のスキルジェムと5個のサポートジェムを付けています。
スキルは「レイジングスピリット召喚」という、炎のドクロを呼び出して敵を追いかけて攻撃させる、というものです。これに、

  • 炎耐性を貫通する

  • 攻撃が2回あたる

  • スキルを時間を置いて使った時に、数回分まとめて発射する

  • ドクロが撒き散らす炎がじわじわと与えるダメージ(DoT)を増やす

  • ドクロのライフを増やす

という5種類のサポートをつけています。1つ1つが1.5倍〜5倍くらいのダメージ増加に繋がっています。後述するパッシブスキルで、このドクロに爆発する機能をつけていて、ライフ増加はその威力を高めています。

最初はたよりないドクロが、サポートジェムを連結することで、突然モリモリ敵を倒せるようになる。PoEでの脳汁が吹き出す瞬間の1つだと思っています。

「拡張できる」スフィア盤、パッシブスキル

PoEのパッシブスキル(習得していると何もしなくてもライフ増加などの効果があるスキル)は、FF10のスフィア盤のように、巨大な盤面の上に配置された物を1レベルに1つづつ獲得していきます。

これ、上半分くらいしか画面に入っていません

これは私が作ったキャラのパッシブスキルです。FF10が755マスなのに対してPoEのパッシブは1000以上あるそうです。
多い分把握するのは一苦労ですが、FF10と違って取得するのはパッシブスキルだけなのと、使うアクティブスキルによって役に立つパッシブスキルはだいたい決まってくるので、有効そうないくつかに絞って頭を悩ませる事になります。

パッシブスキルは「炎のダメージを5%増やす」みたいな効果の小さいスキルが大半ですが、効果の大きいスキルと、風変わりなスキルもまばらに置いてあり、これらを取得するタイミングではプレー感覚が大きく変わります。
先述の「ドクロが爆発する機能」は、正確には

  • ミニオンのライフが満タンの1/3を切ったら爆発して、ライフに比例したダメージを与える

という風変わりなスキルです。これともう1つ、

  • ミニオンが周囲に炎のダメージを与えながら自分のライフも削る

という風変わりなスキルもあって、この2つで、ドクロが誘導機能付き時限爆弾として機能するようになります。

ジュエルでパッシブスキルを拡張する

先程のパッシブスキル画像を少し拡大してみます。

真ん中の宝石みたいなものはジュエルといって、敵が落としたジュエルをはめ込むことで、ジュエルに入っているパッシブスキルを覚える事ができます。
能力が上がるようなシンプルなジュエルもありますが、PoEの面白いところで、周囲の他のパッシブスキルに影響したりされたりするジュエルもあります。内容は、

  • 範囲内にあるパッシブスキルに知性を上げる物が合計で40以上ある場合、スケルトンの替わりにスケルトンメイジを召喚する(画像のもの)

  • 範囲内の近接攻撃強化スキルを弓攻撃強化スキルに変換する

というような感じで、どこに置くかをものすごく悩むことができます(笑顔)。

ジュエルにはさらにすごいものもあって、

この円盤はジュエルで追加されている

左下の紫色のジュエルをはめ込む事で、上の円盤の部分が新しく追加されています。このようなジュエルをクラスタージュエルと言います。
画面上は1つだけの追加ですが、円盤上にもジュエルソケットがあって、追加した円盤にクラスタージュエルをはめ込んでさらに別の円盤を追加できます。
円盤上のパッシブスキルも1レベルに1つづつしか取得はできないので、たくさん増やしても活用できるとは限らないのですが、レベルが上ってきてパッシブスキルの取得に余裕が出てくると、こういったものが活かしやすくなります。

クラフトとアイテムトレードに収束するアイテム大系

ハクスラの武器防具には、「ライフを58増加」であるとか、「近接攻撃のダメージを15%増加」であるとかのランダムな強化効果がいくつかついていて、敵が落としたアイテムに良い強化効果がついていたら装備して強くなる、というのが一般的な流れです。これはPoEでも同じです。しかしPoEは自分の望む強化効果を付与できるクラフトが数多くあります。

PoEの装備品には6つまで強化効果が付きますが、強化効果が5つ以内で枠に空きがある時、これを1つだけ自分でつける事ができます。これがPoEの最も基本的なクラフトです。
1つだけなので、何でも好き放題できるわけではありませんが、惜しい装備品を手に入れた時に自分で加工できるので、それも踏まえた装備の取捨選択ができます。

カレンシーによるクラフト

PoEには、「ノーマルアイテムをレアアイテムにするオーブ」「レアアイテムについてる強化効果をランダムに付け直すオーブ」などの、使う事でアイテムの内容を変更できるアイテムがあります。これらは、お金の概念がなくプレイヤー間のトレードを物々交換で行うPoEで、通貨の替わりとして良く使われる事から、カレンシーと呼ばれています。

  • カレンシーを直接使ってアイテムの中身を自分の望むように変えるクラフトも(頑張れば)できる

  • 先述の基本的なクラフトでも実行するときに特定のカレンシーを消費する

  • 自分のほしいアイテムを誰かが売りに出していたら、カレンシーとトレードしてもらう事ができる

このように用途が豊富なので、カレンシーは資産としての意味をゲーム内で担保できていて、カレンシーを効率よく(敵を倒して)稼ぐ事もPoEでの1つの目標となります。

装備品以外のクラフト

PoEの面白い点の1つに、装備品に使うのと同じカレンシーを使って、装備品以外の様々なものをクラフトできるというのがあります。

代表的なものがマップです。

PoEのシナリオクリア後に遊ぶ主なエンドコンテンツは、敵が落とすマップを使って、ダンジョンを生成して、そこに入って敵を倒す、というものです。
このマップはアイテムで、強化効果を8個までつけられるし、トレードもできます。
強化効果がついていると、敵が強くなったり罠が増えたりしますが、その分良いアイテムドロップが期待できるので、強さに自信があればマップをあえてクラフトで強化して使う事をします。そのためにもカレンシーが必要になります。

後述する他の各種コンテンツにも、遊ぶためのアイテムがあって、同じように強化する事ができ、トレードもできます。

また、先述のパッシブスキルの盤面にはめ込むジュエルも、強化効果を4つまでつけられるし、トレードもできます。

このように、あらゆるコンテンツとアイテムの循環がクラフトとトレードに収束しているので、コンテンツが非常に多彩なPoEの中でも、クラフトとトレードを軸に攻略を考える事が必ずできるようになっていて、複雑さの爆発をある程度までは抑える事ができているのです。

3ヶ月に一度シリーズの新作が出る感じ、チャレンジリーグとコンテンツ

PoEのバージョンアップは、約3ヶ月に1度行われます。バージョンごとに「新しい要素を盛り込んだ、みんなニューゲームで始めるゲーム大会」が開催され、これがそのバージョンの期間中(シーズン)続きます。これをチャレンジリーグと言って、PoEのプレイヤーはその大半がチャレンジリーグを遊んでいます。

「みんなニューゲーム」だからできる、派手なゲーム内経済

一般的に、オンラインゲームやソーシャルゲームなどの運営型ゲームでは、バランス調整や新規コンテンツの導入などはとても慎重に行われます。それは、今まで遊んできたプレイヤーは、遊んできた中で蓄えた資産(お金、キャラ、武器、などなど)を持っていて、バランス調整や新しく追加されたコンテンツでその価値が突然下がる可能性があるからです。すんごい頑張って(あるいは現金を投入して)手に入れた武器が、役に立たなくなったり、急に簡単に手に入れられるようになったら、がっかりしますよね。

しかし、「みんなニューゲーム」なら、プレイヤーの既存資産について、開発チームは考える必要がありません。なので、前のシーズンですごく強くて人気のあった武器や職業やスキルが、ものすごく弱くなる事があります(逆もあります)。また、コンテンツについても、既存のバランスを壊しかねない実験的な仕組みが毎回導入されます。

また、いくらインフレしようとゲーム内経済が混乱しようと、次のシーズンではまた最初からなので、経済を抑制するような仕組み(例えばドラクエ10ならトレードには手数料が取られるし、一度クラフトした物をクラフトし直す事はできないし、自分が装備した物を外して売りに出すこともできない)が入っておらず、かなり好き勝手にトレードできます。

プレイヤー視点でいうと、運営型ゲームで遊ばない期間があるとそれは資産の積み上げにおいて遅れを取る事に繋がりますが、PoEはシーズン毎に資産がリセットされるので、シーズン毎に自分の都合に合わせてプレーの強度を決めやすい(極端な話、「今シーズンはモンハンやるからパスで」みたいな事ができる)のは助かります。

コンテンツのテーマパーク

毎シーズンに追加される新しいコンテンツは、そのシーズンでのプレー状況を見て、次以降のシーズンにも残すかどうか決定されます。多くのコンテンツは残っているため、運営9年目の今のPoEには、実に様々なコンテンツがあります。

全部を把握するのは結構大変ですが、毎回マップに入るごとに、今日は何があるだろうかというのが楽しみになります(なお各コンテンツの出現率は8%で、1回に複数出てくる事もある)。

好みによってもビルドとの相性によってもやりたいコンテンツとやりたくないコンテンツが出てきます。出現率を調整したりコンテンツにボーナスを付けられる仕組みがあるので、それも含めて「どのコンテンツをどう利用して稼ぐか」も楽しい考えどころの1つとなります。

次のシーズンは8月20日から!

現在行われているバージョン3.18のSentinelリーグは8月17日に終了し、少しのインターバルを挟んで8月20日から、バージョン3.19のKalandraリーグが始まります。

つまり、PoEを最も始めやすい、「みんなニューゲーム」のタイミングが、すぐそこに迫っているという事です。

ここまで読んでくださった画面の前のあなた、私はあなたにもPoEを遊んでみてほしいと思っています。今はとても良いタイミングです。始めてみませんか。

コンテンツが多いし、覚える事も多いゲームですが、少しづつ学んで行く形でも楽しめるゲームです。今から初めてくれるあなたのために、この記事の続きとして、「PoEのあるきかた」のような、3ヶ月で300時間遊んだ私が「これを知ってると良さそう」と思う事をまとめた記事を、8月19日に書こうと思っています。(2022/08/20追記:書きました!)そちらも合わせて読んでもらえたら嬉しいです。


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