金融マーケットでよくある「売り」から入る手口 その1

関東では暑い日々ですが、東北地方では秋田を中心に大雨の被害をお見舞い申し上げます。

漸く日本でも金利上昇の話題に敏感になってきましたが、金融マーケットで突然、金利上昇というニュースが出てきた時、何が起こっているかご存知でしょうか。何故こんな質問をするかと言えば、金利上昇と言われてもローン金利や預金金利が上がるわけでもなく、実感がないにも関わらず、経済ニュースでは急に金利上昇が大きく取り上げられるからです。米国の金利上昇も大体同じことが起こっていますので、正確には個別事情に左右されるものの、分かりやすく説明すると、こんなことなのだというのは、知っておいた方がいいと考えます。(ご存知の方はスキップしてください)

さて、ヘッジファンドや機関投資家は、金利上昇のニュースに敏感で、そのような動きがある時、マーケットに自ら仕掛けるかまたは金利上昇ヘッジのため(理由をいちいち説明して先物を売買する必要はありません)、金利、債券、株式の先物等を売ります。この売りが大規模に出ると、需給からその先物価格は下がり、金利上昇がニュースのヘッドラインになります。この間でも、日本の実際の金利は日銀の政策金利にほぼ連動しますので変動ありません。だから、「本当に金利上昇が上昇しているのか?」と疑問に思うわけです。米国金利も同じようなことです。
債券価格が下がると予想されると金利上昇になるのは皆さんもご存知のところです。株価指数も、金利上昇に対してマイナスに働きます。

この後、実際に政策金利の引き上げがあれば、現物買い↓・先物売り↑で、大きな利益が確定するということになります。そうならなければ、売った先物を買い戻して、損失を最小限にします。

実際に、2022年12月20日、日銀は金融政策決定会合において、10年国債利回りの誘導レンジをこれまでの±0.25%から±0.5%に拡大することを決定しました。例えば、1兆円のJGB日本国債先物を売ったとすれば、この25bpsの金利上昇で、大雑把に25億円弱(コスト等控除前)を儲けたことになります。信用リスクの低い日本国債でこれだけ稼げるなら、マネーゲームに賭ける機関投資家がいてもおかしくありません。

今年になっても、海外勢による2023年1月の国債の売越額は4兆1190億円となり、過去最大となりました。(日本証券業協会が公社債の投資家別売買動向(短期国債を除く)による日経新聞2月20日記事より)

外国人投資家は利益追求のために日本国債売るのをためらいませんが、日本人投資家は目立たないようにしているようです。これは米国マーケットではない現象です。

忘れな草

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